まさにターボマジック! ターボエンジンで大化けしたコンパクトカー3選
くるまのニュース / 2021年3月11日 16時10分
1980年代にターボエンジンが普及すると、国産車の高性能化が一気に進みました。当初は中型モデルからターボエンジンが搭載されましたが、次第に小型モデルにも波及。そこで、ターボによって飛躍的に高性能化したコンパクトカーを、3車種ピックアップして紹介します。
■飛躍的に高性能化を果たしたコンパクトカーを振り返る
1979年に日産は「5代目セドリック/6代目グロリア」に、国産車で初となるターボエンジンを搭載しました。その後、ターボエンジンの普及が拡大し、1980年代になると国産車の高性能化が一気に加速。各メーカー間でパワー競争が繰り広げられました。
ターボエンジンは当初中型クラスのクルマから搭載されましたが、次第により小型のクルマにも波及し、軽自動車にも搭載されるようになり、現在につながります。
そこで、ターボエンジンによって飛躍的に高性能化したコンパクトカーを、3車種ピックアップして紹介します。
●マツダ「ファミリア GT-X」
国産車初のフルタイム4WD車という歴史的なモデル「ファミリア GT-X」
マツダはトヨタ「カローラ」、日産「サニー」という二大大衆車に先駆け、1963年に初代「ファミリア」を発売。同社初の小型乗用車でした。
その後、ファミリアはマツダの主力車種として代を重ね、1980年にデビューした5代目はFF化され、スタイリッシュなフォルムから大ヒットを記録。同時にシリーズ初のターボエンジン車もラインナップされます。
そして、1985年に登場した6代目は、大ヒットした5代目の外観デザインを踏襲しながら、角を丸めることでよりスマートな印象となっています。
この6代目ファミリアには、日本初となるフルタイム4WD車の「ファミリア 1600GT-X」がラインナップされました。
エンジンは最高出力140馬力を誇る1.6リッター直列4気筒DOHCターボを搭載。ハイパワーなターボエンジンとフルタイム4WDの組み合わせによって、動力性能は2リッターターボ車に迫るほどでした。
4WDシステムはプラネタリーギア方式のセンターデフを用いており、とくに滑りやすい路面では室内にあるデフロックスイッチで前後輪の駆動配分を固定し、駆動力が高められる機構を採用。
また、圧搾エアーによって悪路を想定した2段階の車高調整機能が装備されるなど、先進的な技術が惜しみなく投入されました。
ファミリア GT-Xはラリーにも参戦を果たし、好成績を収めたことがイメージアップにつながり、走り好きの若者を中心に高い人気を誇りました。
●三菱「ミラージュ サイボーグ」
高性能なターボ車として一世を風靡した「ミラージュ サイボーグ」
1978年に発売された三菱初代「ミラージュ」は、「ランサー」に代わる大衆車のポジションを担う新世代のコンパクトカーです。同社初のFF車であり、広い室内と欧州テイストのスタイリッシュな外観でヒット車となりました。
そして1982年にはライバルに先駆けてターボエンジンを搭載し、最高出力105馬力を発揮する1.4リッター直列4気筒ターボの「ミラージュIIターボ」がきっかけとなり、コンパクトカーのパワー競争が勃発したほどです。
三菱の主力車種となったミラージュは代を重ね、1987年に3代目が登場し、トップグレードには1.6リッター直列4気筒DOHCターボエンジン「4G61型」を搭載。最高出力145馬力を誇るスポーティモデル「サイボーグ 16V-T」がラインナップされます。
さらに1989年のマイナーチェンジでは最高出力160馬力までパワーアップされ、ハイパワーな2WD/4WD車として一時代を築き、モータースポーツでも活躍。
しかし、4代目から高性能グレードが高回転型自然吸気エンジンにシフトしたため、過激なターボモデルはこの3代目の一代限りとなってしまいました。
■悲運の高性能コンパクトカーとは!?
●日産「パルサー GTI-R」
結果は残せなかったものの記憶に残る高性能モデルの「パルサー GTI-R」
日産は1958年に参戦した豪州ラリーでのクラス優勝を皮切りに、国内外のラリーに積極的に参戦し、一時は「ラリーの日産」と形容されたほどです。
1970年代以降の世界ラリー選手権(以下、WRC)では「ブルーバード」や「フェアレディZ」、「バイオレット」で参戦して数々の優勝を重ね、市販車のポテンシャルの高さをアピール。
そのWRCへの参戦において最後のベース車両となったのが、1990年に発売された「パルサー GTI-R」です。
初代パルサーは1978年に「チェリーFII」の後継車として発売されたベーシックなFF車です。1982年に登場した2代目では1.5リッターのターボエンジンが設定され、スポーティなクーペの「パルサーエクサ」もラインナップ。
そして1986年にデビューした3代目では全車自然吸気エンジンに戻されましたが、1990年に登場した4代目で、高性能な4WDターボのパルサー GTI-Rが登場。
同じく4WDターボの8代目「ブルーバードSSS-R」は国内ラリーが主戦場だったのに対し、パルサー GTI-RはWRCへの参戦を目的に開発されました。
エンジンは2リッター直列4気筒DOHCターボの「SR20DET型」を搭載し、最高出力230馬力を発揮。トランスミッションは5速MTのみで、駆動方式はブルーバードと同様のセンターデフとビスカスカップリングを組み合わせたフルタイム4WDシステムの「アテーサ」が採用されています。
外観ではボンネット上にインタークーラー冷却用ダクトと、巨大なリアルーフスポイラーを装備し、高性能さをアピール。
また、ブルーバードと比べ100mm以上短いホイールベースのコンパクトな車体に、パワフルなターボエンジンを搭載したことで、ラリーカーとしてポテンシャルの高さが期待されました。
しかし、ライバルひしめくWRCでは最高位が総合3位と結果を残せず、1992年シーズンをもって、日産はWRCのワークス活動から撤退を決定。
その後、パルサーは1995年に5代目にモデルチェンジして再び全車自然吸気エンジンとなり、高性能グレードの「VZ-R」はホンダ「シビックタイプR」をライバルに戦場をサーキットに移しましたが2000年に生産を終了し、パルサーの歴史に幕を閉じました。
※ ※ ※
今回、紹介した3台を振り返ると、昔は各メーカーともモータースポーツの参戦とサポートを積極的におこなっていたことがうかがえます。
しかし、近年はかなり消極的になってしまい、レースベースとなる高性能なコンパクトカーも激減してしまいました。
かつてはモータースポーツでの活躍が販売に大きく影響していましたが、もはやそういう時代ではないということでしょう。
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