伝統と革新の融合? 豪華さとスポーティさが光る「7th スカイライン」を振り返る
くるまのニュース / 2021年3月17日 6時10分
64年という長い歴史を持つ日産「スカイライン」は、現行モデルで13代目にあたります。この歴史のなかで数々の記憶に残るモデルや名車が誕生していますが、なかでも7代目は大きな節目になったモデルです。そこで、7代目スカイラインを振り返ります。
■ハイソカーの要素も取り入れた7代目スカイライン
日産の現行ラインナップのなかで、もっとも長い歴史を刻んでいるモデルは「スカイライン」です。初代はプリンス自動車(当時の社名は富士精密工業)から1957年に発売され、現行モデルは13代目にあたり、64年もの間つくり続けられています。
これまで記憶に残るモデルや名車として語り継がれるモデルを、数多く輩出してきたスカイラインですが、大きな節目を迎えた世代がいくつかあります。
そのなかでも、7代目は当時の流行を取り入れていたり、超高性能化への序章だったモデルとして、いまも多くのユーザーに愛されています。
そこで、7代目スカイラインはどんなモデルだったのか、振り返ります。
※ ※ ※
7代目スカイラインは1985年に発売されました。愛称は7代目にちなんで「7th(セブンス)」ですが、型式が「R31型」のため、「アール・サンイチ」とも呼ばれています。
ボディは発売当初は4ドアハードトップ、4ドアセダンのみでしたが、後に2ドアクーペと、シリーズ最後となる5ドアステーションワゴンを追加。ライトバンの商用車は6代目をもって廃止となりました。
ボディサイズは全長4660mm×全幅1690mm×全高1365mmで、ホイールベースは2615mm(2ドアクーペ)で、6代目と比べ全長が65mm、全幅が25mm大きく、ホイールベースは同じです。
7代目のボディは大きいというイメージがありますが、8代目(R32型)がダウンサイジングしたことからであり、6代目からは特筆するほどの変化はありません。
外観のデザインは6代目のイメージを踏襲していますが、より平面に近いボディパネルを組み合わせた直線基調となり、エッジを際立たせていることも大きく見える要因のひとつではないでしょうか。
また、「パサージュ」シリーズはトヨタ「マークII」3兄弟に代表されるハイソカーのエッセンスも取り入れて流行をキャッチアップしました。
内装では直線基調のインパネで、助手席側の前はトレー形状とするなど、実用的な面も重視され、スポーティさよりもラグジュアリーな雰囲気が強調されています。
エンジンは6代目から大きく変わったのがトピックスで、6気筒エンジンは旧来のターンフローだった「L型」を捨て、新世代の「RB型」へスイッチ。
エンジンラインナップは2リッター直列6気筒DOHCターボの「RB20DET型」、同自然吸気の「RB20DE型」、2リッター直列6気筒SOHCターボの「RB20ET型」、同自然吸気の「RB20E型」、さらに2.8リッター直列6気筒自然吸気ディーゼルの「RD28型」、廉価モデル用の1.8リッター直列4気筒SOHCの「CA18S型」と、多岐にわたります。
なかでも直列6気筒DOHCエンジンは、1973年に消滅した「スカイラインGT-R」以来となる6気筒DOHCエンジンということが大きく話題となりました。
RB20DET型を搭載するトップグレードの「GTS ツインカム24Vターボ」は最高出力210馬力(グロス)を発揮し、シリーズ最高の出力を更新。
足まわりはフロントにストラット、リアにセミトレーリングアームを採用し、3代目(ハコスカ)から続いているスカイラインの伝統を踏襲していましたが、油圧で後輪の操舵をおこなう4WS機構「HICAS(High Capacity Actively-controlled Suspension=ハイキャス)」を装備し、コーナリング性能と高速安定性を向上。これは量産車では世界初となる新技術でした。
※ ※ ※
このように、7代目スカイラインは新世代エンジンやハイキャスを搭載するなど技術的にも意欲作といえ、ハイソカーの要素も取り入れるなどスポーティなモデルと高級感のあるモデルをラインナップしたことで、幅広いユーザー層から支持されてヒット作になりました。
そして、いまも語り継がれる存在のスポーツモデルが登場。これがスカイラインGT-R復活への序章とは、まだ知るよしもありませんでした。
■シリーズ最強のモデルとなった「GTS-R」とは
排出ガス規制が強化された1970年代を除き、スカイラインはモータースポーツと密接な関わりがありました。7代目スカイラインも同様で、1985年から始まった「全日本ツーリングカー選手権」に本格参戦します。
この全日本ツーリングカー選手権は「グループA」と呼ばれるカテゴリーで争われ、市販車をベースに変更できる部品が厳しく制限されており、ノーマルの状態でのポテンシャルがそのまま戦闘力の向上につながりました。
レースベースに特化したチューニングが施された「スカイライン GTS-R」
そのため、日産は1987年にレースベースに特化したマシン「スカイラインGTS-R」を800台限定で発売。
GTS-R専用に開発されたエンジンは2リッター直列6気筒DOHCターボの「RB20DET-R型」で、専用のターボチャージャー、エキゾーストマニホールドなどが採用され、シリーズ最強の210馬力(ネット)を発揮しました。
外観では、通常のGTSでは70km/h以上で出現する可動式だったフロントスポイラーは、レギュレーションの関係から固定式に改められ、大型のリアスポイラーを標準装備し、フロントグリルやバンパーも専用の意匠を採用。
そして、発売年の1987年シーズン終盤から、GTS-Rは全日本ツーリングカー選手権へと投入されました。
1987年当時の全日本ツーリングカー選手権には、トヨタ「スープラ」、フォード「シエラRS500コスワース」、三菱「スタリオン」など強豪がひしめく状況のなか、GTS-Rはライバルと対等以上の戦い見せ、1989年のシーズンでは長谷見昌弘/A.オロフソン組が3勝を挙げ、シリーズチャンピオンを獲得します。
また、1988年には欧州でもGTS-Rは別な使命を背負って「欧州ツーリングカー選手権」に参戦していました。
レースマシンは日本のグループA車両と同等の仕様ですが、排気量や吸気系などのパーツは異なり、イギリスのファクトリーで仕立てていたので、電装系やシートなどのパーツ類も日本のレース仕様とは異なっていたといいます。
本来、ツーリングカー選手権は、市販車のポテンシャルの高さをアピールして販売増に繋がるという効果が期待できました。しかし、スカイラインは国内専用に近く、一部の国や地域を除いて販売されておらず、欧州へも本格的に輸出されていませんでした。
では、なぜスカイラインが欧州ツーリングカー選手権に参戦したかというと、それは後の「ル・マン24時間耐久レース」への布石です。
シーズンを戦うためにイギリスに拠点となる「NME(日産モータースポーツ・ヨーロッパ)」を設け、欧州を転戦することでル・マン24時間耐久レース挑戦への体制作りを進めました。
GTS-Rの最高位はスパ・フランコルシャン24時間レースの6位と大きな結果は残せず、わずか1シーズンの戦いでしたが、日産のグローバルなレース活動には大きく貢献したといえます。
※ ※ ※
1989年に8代目スカイラインが登場し、7代目の役目は終わりました。
そして、3代目となるR32型スカイラインGT-Rが登場して、公道でもレースでも圧倒的なパフォーマンスを見せつけ、伝説となります。
華やかな面では歴代でも8代目が注目されますが、7代目はスカイラインの伝統と革新が融合した集大成といえるモデルとして、いまも多くの人々の記憶に残っていることでしょう。
なお、それを証明するように7代目スカイラインを専門に扱うショップもあり、いまではメーカーでは取り扱っていない部品を供給するなど、7thオーナーの強い味方となっています。
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