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小型バッテリー搭載は正義!? アウディの新型電気自動車SUV「e-tron 50」の先進思想とは

くるまのニュース / 2021年3月20日 20時10分

2020年9月に上陸した、日本市場ではアウディ初となる市販電気自動車(EV)「e-tronスポーツバック55」に続き、2021年1月に登場した第2弾が「e-tron 50」だ。55よりも小型バッテリーを搭載し、軽量化と低価格化を実現したニューモデルだが、55とはどんな違いがあるのだろうか。その魅力はどこにあるのか。

■より小型のバッテリーで軽量化と低価格化を同時に実現

 いまから電気自動車(EV)のアウディ「e-tron 50」が、いかに画期的なクルマであるかを紹介しようと思っているのですが、その前に、ガソリンが自動車の燃料としてどれほど優れているかを説明しておきましょう。そのほうが、e-tron 50の魅力がきっとわかりやすくなるはずです。

 EVのバッテリー容量を表す単位としてkWhが用いられますが、ガソリンのエネルギー量も同じkWhで表すことができます。ちなみに1リッターのガソリンは約9.3kWhになります。

 皆さん、初代日産「リーフ」のバッテリー容量を覚えていますか? 正解は、40kWh。つまり、ガソリンでいえばたった4リッターほどのエネルギーしか積んでいなかったことになります。

 もっとも、エンジン車とEVではエネルギー変換効率が大きく異なるので単純には比較できませんが、EVはこうした少ないエネルギーを大切に使いながら走る乗り物であることをまず覚えておいてください。

 なぜ、リーフのバッテリーがこんなに小さかったかといえば、バッテリーは高価で、しかも重いことが最大の理由。

 大きなバッテリーを積めば車両価格はどんどん上がるし、おまけに車重も重くなるから、バッテリー容量を大きくしても期待したほど航続距離は長くならない。だから、小さなバッテリーを上手に使って走らせましょうというのが、EVの基本的な考え方になっていたわけです。

 でも、アウトバーンをガンガン飛ばして、1日に何百kmもクルマで移動するのが当たり前になっているドイツの人たちに、この考え方は理解しづらかったのかもしれません。

 そこで彼らは、100kWh近い巨大バッテリーを積んだEVを開発。たしかに航続距離は400km以上まで伸びましたが、車重は2トン以上、車両価格は日本円で1000万円をはるかに超えています。

 だから「本当にそんなに大きなバッテリーが必要?」という、ある種の反動のようなことが起きたのは当然かもしれません。コンパクトカーを中心に、60kWh前後のバッテリーを積むEVが続々と誕生しているのは、そうした世の中の潮流を反映したものともいえます。

 アウディは、そうした時代の変化にいち早く気づいたドイツ車メーカーかもしれません。

アウディ「e-tron 50 クワトロ アドバンスド」のインパネアウディ「e-tron 50 クワトロ アドバンスド」のインパネ

 ちなみに2019年に同社の技術系取締役にインタビューした際、「いま、EVを購入しているのは、それが人生初のEVというお客様が大半を占めます。したがって航続距離が心配で、大きなバッテリーのEVを選んでしまう。きっとEVを2台、3台と買い重ねていくうちに『バッテリーは小さくても大丈夫なんだ』ということに気づかれると思いますよ」と語っていました。

 前置きがかなり長くなりましたが、そうしたアウディの先進思想を盛り込んだEVが、このe-tron 50なのです。

■スタンダード仕様でもパワフルでハイパフォーマンス

 2020年9月に発売されたe-tronの国内第1号車はe-tron スポーツバック 55です。

 スポーツバックはアウディ用語で“クーペ・ボディ”、55はこちらもアウディ流でパフォーマンスを示す数値なので、これは「クーペ版e-tronのハイパフォーマンス版」ということになります。

 いっぽう、今回試乗したのはスポーツバックがつかないe-tron 50。つまり、端正なSUVボディを持つスタンダード仕様のe-tronといえます。

アウディ「e-tron 50 クワトロ アドバンスド」の走りアウディ「e-tron 50 クワトロ アドバンスド」の走り

 パフォーマンス面の違いはおもにバッテリー容量とモーター出力で、55は95kWh/300kW、50は71kWh/230kWと発表されています。

 50はバッテリー容量とモーター出力のどちらも性能的には55に一歩譲りますが、それでも50のWLTCモード航続可能距離は316km。実際に試乗した印象でも、200kmは心配なくドライブできそうです。

 200kmだと、モノ足りませんか? ちなみに日本の自動車ユーザーの半数以上は1日あたりの走行距離が30km以下だそうです。だから「充電は公共施設に任せっきり」という人には心配かもしれませんが、「自宅で普通充電が可能」という一軒家に住む人が普段の足として使うのであれば、これで十分という考え方も成り立ちます。

 230kWのパワーにも不満を抱きませんでした。なにしろ、これって馬力換算すると312psに相当するのですから、むしろ十分にパワフルですよね。ちなみに0-100km/h加速は6.8秒とのことなので、やはり立派なハイパフォーマンスカーです。

 e-tronはEVだから、エンジン音も立てないで粛々と走ります。しかも足まわりはしなやかで、路面からのゴツゴツ感も伝えません。

 それでいながら、エアサスペンションの設定が巧妙なためにコーナリングは軽快。今回も険しいワインディングロードで知られる箱根ターンパイクで試乗しましたが、かなりのペースで走っても姿勢が安定していて不安を覚えませんでした。

* * * 

 それにしても、エンジン音を立てず、走行時にCO2を排出しないEVに乗っていると、自分がとても地球に優しいことをしているという清々しい気分を味わえるから不思議です。

 もちろん、火力発電のようにCO2をたくさん排出する発電所の電気を多用しているようでは本末転倒ですが、アウディジャパンは自然電力株式会社と提携していて、同社の『自然電力のでんき』を契約したe-tronオーナーは、毎月1000円の電力割引料金が1年間提供されるそうです。ここまでやって、ようやくEVは本当に地球環境のために役に立つといえるのかもしれません。

アウディ「e-tron 50 クワトロ アドバンスド」はリアガラスが立ったSUVイメージだアウディ「e-tron 50 クワトロ アドバンスド」はリアガラスが立ったSUVイメージだ

●Audi e-tron 50 quattro advanced

・車両本体価格(消費税込):1069万円
・全長:4900mm
・全幅:1935mm
・全高:1630mm
・ホイールベース:2930mm
・車両重量:2400kg
・電動機最高出力:230kW
・電動機最大トルク:540Nm
・駆動方式:4WD
・変速機:1速固定式
・バッテリー総電力量:71kWh
・一充電走行距離(WLTCモード):316km
・サスペンション前/後:ウイッシュボーン/ウイッシュボーン
・ブレーキ前/後:ディスク/ディスク

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