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マツダ3代目「ロードスター」は挑戦だった! NC型開発で重視した“マツダらしさ”とは

くるまのニュース / 2021年3月20日 14時10分

マツダ「ロードスター」はこれまでに4世代が登場しています。3世代目にあたるNC型は、どのようなことを重視して開発されたのでしょうか。当時の開発陣に聞いてみました。

■NC型ロードスターは「Best performance car」

 見た目も走りも力強い。マツダ3代目「ロードスター」(NC型ロードスター、以下NC)に改めて触れてみて、「やっぱり、NCはこうなんだよな」と感じました。

 これは、いま(2021年)から16年前の2005年、米・ハワイ島で開催されたグローバル報道陣向けの公道試乗会で、実車を見たときの感覚と同じです。

 今回NCで東京周辺の街中や首都高速などを走行しても、ハワイ島での初試乗で感じた思いと同じでした。

 初代から2代目へと受け継がれたアンダーボディは初期設計から16年ぶりに刷新され、エンジンは排気量も2リッターまで拡大されたことにより、ロードスターはパワフルになったのです。

 当時ハワイ島では、NA、NB、そしてNCの主査を務めた貴島孝雄氏と、その後にNC、NDの主査となる山本修弘氏から、「NCで目指したこと」をいろいろお聞きしました。

 いまでも印象に残っているのは「グラム戦略」という言葉です。100名近い開発メンバーが車座になって図面を広げて、軽量化に向けてさまざまなアイディアを出し合ったといいます。

 NCの商品企画から量産にいたる期間、当時の親会社であるフォードはマツダに対して、会社全体の財務はもとより開発に至るまで大きな影響力を持っていました。

 そうしたなかで、NC開発陣が必死で「マツダらしさ」を追求したことを、NC誕生からこれまでの間、マツダ幹部らといろいろな場面で情報交換するなかでその実態が明らかになりました。

 ロードスター歴代の主査は現時点で、NCをどう見ているのでしょうか。

 3代目・4代目主査の山本修弘氏は「NAはBest Fun to Drive car、NBはBest Handling car、NCはBest performance car、そしてNDはBest Roadster」と、全世代のなかにおけるNCの特徴を表現しています。

 また、NCに限らず、ロードスターの進化の過程では「レギュレーション対応と顧客ニーズへの対応をそのときの最高の技術を導入し課題を克服しながら、コンセプトを進化していった」と振り返ります。

■開発陣が語るNC型ロードスターのあるべき姿とは

 デザイナーである中山雅氏は、NC開発中の2001年から2004年まで独・フランクフルトのデザインスタジオに勤務しており、欧州での生活のなかで「第一級のスポーツカーであるためには、それ相応の存在感を示す『オーラ』が、そのクルマのプロポーション自体から放たれていなければならないと悟った」といいます。

マツダ3代目「ロードスター(NC型)」マツダ3代目「ロードスター(NC型)」

 また、「NCは、クルマの大きさそのものは『大きく』なること、より性能の高いクルマになることも分かっていました。またシャシを見れば、それまでのロードスターよりも本格的な作りをしています。

 インテリアについては、ドライビングポジションやトンネルの高さ、サイドシルの高さなどからも走りに傾注した作りがうかがえます」と分析したそうです。

 実務としては「フランクフルトのデザインスタジオから、エクステリアとシャシの特長を活かしたシンプルさと小気味よさを表現したインテリアを本社に提案しました。

 グローバル3拠点(日本、ドイツ、アメリカ)でのコンペの末、ドイツからのインテリア案が採用され、私はヨーロッパから本社に『逆出張』してデザイン作業をおこないました」と当時を振り返ります。

 さらに「私にとってNCとは、『ロードスターのこれからはどうあるべきか?』を考え始めるスタートラインとなったクルマ」とし、このときから中山氏がNDチーフデザイナーへの道を歩み始めていたことがうかがえます。

 一方、現在のND主査である齋藤茂樹氏は、筆者(桃田健史)からの「あたなにとってNCとは?」という問いかけに「挑戦」と表現しました。そのうえで、NC開発における体験を詳しく語ってくれました。

「NCの開発には、走り・燃費実研のチームリーダーとして参画しました。とにかくこだわったのがエンジンレスポンスです。エレキスロットルを採用し、より綿密なアクセルコントロールが可能となりましたが、従来のケーブル式と比べ、電気デバイスを通るためにタイムラグが発生します。

 この対策のため設計部門やサプライヤーと一緒に取り組み、当時として世界一反応スピードの速いエレキスロットルを開発できました。

 また、反応の遅れをエンジンだけで対応するのではなく、クルマとして捉え、エンジンマウント、プロペラシャフト、ドライブシャフトなどのねじれ剛性の最適化を図り、アクセルを踏んだらすぐにタイヤが回転するダイレクト感を向上させるため、最先端のシミュレーション技術にも取り組みました。

 さらに、より楽しさを向上させるため、走る/曲がる/止まるという操作フィーリングを統一させる“統一感タスク”を立ち上げ、関連実研部門と一緒にクルマのチューニングの合わせ込みをおこなっています。

 NCではさまざまな新しい取り組みに挑戦し、後につながるチャレンジ精神を養うことができたと思います」

※ ※ ※

 時系列で見れば、NCがあってNDがあるのは、いま振り返れば当然のことですが、改めてNCという挑戦がロードスターの歴史のなかでいかに重要なのかを、歴代主査の皆さんのコメントから感じ取ることができました。

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