なぜ「無意識あおり運転」続出? 意図的でなくても違反になる? 注意すべき行為とは
くるまのニュース / 2021年3月25日 9時10分
昨今、話題となっている「あおり運転」。実は無意識に「アオっている」可能性があるといいますが、どのような部分に気を付けたほうがいいのでしょうか。
■あおり運転にならないために気をつけたい走行中のポイントとは?
2020年6月末に改正された道路交通法で厳罰化された「あおり運転」ですが、自分では意識しなくても受け手によってはあおり運転になってしまう可能性があります。
あおり運転にならないように、どんなことに気を付ければ良いのでしょうか。
これまでの道路交通法では、あおり運転に関する行為について明確な規定はありませんでした。
しかし、前述の法改正によってあおり運転などの危険行為を「妨害運転罪」として定めたのです。
その内容は、ほかの車両などの通行を妨害する目的で、急ブレーキ禁止違反や車間距離不保持など、定められた10項目の違反行為をおこなった場合には最大で懲役3年、妨害運転により著しい交通の危険を生じさせた場合は、最大で懲役5年が科せられるというものです。
妨害運転罪が定められた背景として、近年ニュースで多く見かけるあおり運転の社会問題化があり、2017年の「東名高速夫婦死亡事故」や2019年8月の「常盤道あおり運転殴打事件」などの大きな事故、事件になってきているのが大きな影響となっています。
そんなあおり運転が社会問題化となっている昨今ですが、自分では意識しなくても受け手によってはあおり運転をしてしまっている可能性があります。
まず、急ブレーキや急ハンドル、急加速などの「急」のつく動作は控えましょう。
道路交通法第24条でも、「ドライバーは、危険防止する場合を除き急ブレーキをかけてはならない」と定められており、こういった動作をすることで周りの車両に不快感を与えてしまいます。
また、ハイビームの点灯もあおり運転と思われてしまう場合があります。
通常、夜間ではハイビームを点灯することが義務づけられていますが、対向車や歩行者から眩しく迷惑となり、相手に不快感を与えてしまいかねません。
近年では、オートハイビーム機能が装着されている車種が多いですが、完全な自動機能ではないため、ハイビームが必要ない場面でも自動で切り替わっている場合があります。
そのため、自動機能をうのみにせず、走行する道路の状況などによって、自身で切り替えることが大切です。
ほかにも、警察庁ではあおり運転予防について、「思いやり・ゆずり合いの安全運転」を推奨しています。
具体的には、安全に停止できるような速度や車間距離を保つ、並進している車両に幅寄せをしない、ほかのクルマの前方への急な割り込みやみだりに進路変更をせずバックミラーで安全を確保したうえで変更することをポイントとしています。
周りのクルマの動きを注意し、思いやりやゆずり合う気持ちをもって運転することが大切です。
走行中の気をつけるポイントについて、警察署交通課の担当者は以下のように話します。
「相手にプレッシャーを与える運転をしないことを心がけると良いでしょう。
クルマ同士で前後左右で安全な距離を空け、急な動作をしないことで、無意識のあおり運転のほとんどは防げると思います。
これは安全運転の仕方でもありますので、あおり運転の有無にかかわらず常に意識してほしいと思います」
■無意識にあおり運転してしまっている?
無意識にあおり運転をしてしまわないよう、走行中は今まで以上に気をつける必要があります。
ですが、運転中は常に意識しながら走行するというのも難しいもので、受け手にとってはあおり運転と思われるクルマの走り方をしている人もいるのも事実です。
実際に、チューリッヒ保険会社が全国のドライバー2230人を対象に調査した「2020年あおり運転実態調査」では、「あおり運転をされた経験はあるか?」という質問に対し、「ある」と回答したドライバーは57.9%と、全体の約6割を占めていることが分かります。
自分は意識していなくても、受け手側はあおり運転と感じている状況が起こっていることをこの数値を見て分かるといえるでしょう。
さらに、近年のあおり運転に関する多くのニュースや法改正による取り締まりの動きが見られるなか、1年以内にあおり運転をされたと回答する人は24.4%を占めています。
道路交通法で厳しく取り締まりを進めても、あおり運転がなくなる状況というのは少ないといえます。
具体的な内訳として、「車両に激しく接近しもっと速く走るよう挑発された」という回答が73.5%、「幅寄せ」が25.3%、「必要のないハイビーム」が24.3%、「前方からの急ブレーキ」が23.3%、「急ブレーキ急ハンドルで避けなければならないほどの進路変更」は21.3%といった結果です。
また、「あおり運転をされたきっかけとして思い当たるのは?」という質問に対し、「制限速度で走っていた」が17.2%、「ほかにも車線変更をした」や「スピードが遅かった」という回答が見られています。
制限速度で走行する、ゆっくりとしたスピードで走行することは間違ったことではありません。
ですが、その時々の状況によっても相手にとっては不快感を与えてしまう可能性があります。
そのため、とくに高速道路や車両の多い道路を走行する際には、今まで以上に気をつける必要があるといえるでしょう。
ドライブレコーダーの映像によっては「あおり運転」と認定される可能性も
無意識のあおり運転について、前出の警察署交通課の担当者は次のように説明しています。
「あおり運転は明確に進路や運転を妨害した場合に適用されるので、無意識下であおり運転をしてしまうという危険性は少ないでしょう。
ですが、逆にあおられた側の主張とドライブレコーダーなどの状況が分かるものがあおり運転を決定付けることもありますので、疑わしい運転をしないに越したことはありません。
受け手によってはあおり運転とられてしまう可能性もあるため、走行中には十分注意しましょう」
※ ※ ※
「自分は大丈夫」と意識せず走行することで、思いもよらないトラブルが起こってしまう可能性があります。
そうならないためにも無意識な行動は避け、安全運転を常に心がける必要があるといえるでしょう。
あおり運転は厳罰化されており、相手にそうだと感じさせる運転は非常にリスキーです。
あおり運転と思われないために、急の付く動作や、ハイビームの消し忘れといったうっかりミスにも注意したいところです。
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