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EV化進むもなぜ日産「リーフ」販売落ち込む? 今後は防災需要に期待か

くるまのニュース / 2021年3月26日 10時10分

世界的にEV化が進んでいますが、その市場を黎明期からけん引してきたのが日産「リーフ」です。しかし、ここにきてリーフの販売台数が落ち込んでいるといいます。ユーザーの関心が高まっているなかで、どのような事情があるのでしょうか。

■EVの先駆者「リーフ」 EV化進むなか販売苦戦か

 自動車業界は世界的に電動化にシフトしていますが、「世界一売れている電気自動車」である日産「リーフ」の販売状況は、雲行きがあやしくなっています。
 
 なぜ、電気自動車市場をけん引してきたともいえるリーフの人気に陰りが出ているのでしょうか。

 自動車業界は世界的に急速な電動化への流れの真っ只中にあります。

 メルセデス・ベンツは「エレクトリック・ファースト」と題した戦略を掲げ、2022年までに6車種のEV「EQシリーズ」を投入すると発表しました。

 フォルクスワーゲングループでは、フォルクスワーゲン「ID.3」やアウディ「e-tron」、ポルシェ「タイカン」といった電気自動車を各国で販売し、今後の新モデル発売もアナウンスされています。

 また、ボルボやジャガーなど、ガソリンエンジンからの撤退を発表しているメーカーもあります。

 一方、日本では経済産業省が2020年12月に策定した「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」のなかで「遅くとも2030年代半ばまでに、乗用車新車販売で電動車100%を実現できるよう包括的な措置を講じる」とし、この内容はメディアで大きく報じられました。

 そんな世界の自動車電動化をリードしていたのが、日産の「リーフ」でした。

 リーフは、2010年12月の発売以来、累計生産台数が50万台を超える大ヒットとなり、「世界一売れている電気自動車」との称号を受けています。

 このように世間の関心が電気自動車に傾きつつあるなかで、日本国内でのリーフの売れ行きに陰りが見え始めているようです。

 2020年の販売台数は11万286台と、前年比57%に留まっており、さらに直近の2月の新車販売台数では、956台と前年同月比で32.1%にまで落ち込んでいます。

 2020年における登録車全体の販売台数が前年比87.7%だったことから、コロナ禍に苦しんだ自動車業界のなかでもとくに落ち込みが目立つといえるでしょう。

 リーフの売れ行きが落ち込んだ原因について、日産の販売店スタッフは以下のように話します。

「2代目リーフが発売されたのが2017年9月で、需要が一巡したのかなという印象です。

 環境に配慮するという企業イメージのアップにつながるため、リーフを選んでくださる法人需要もありますが、コロナ禍でその需要も伸び悩んでいます」

■充電サポートの値上げも要因?

 さらに、日産が提供する充電サービスの内容に変更があったことも、リーフの売れ行きにブレーキがかかった一因と指摘されています。

 2019年12月16日、日産はリーフのマイナーチェンジに合わせて充電サポートプログラム「日産ゼロ・エミッションサポートプログラム」の内容を変更しました。

 これまで提供されていた「日産ゼロ・エミッションサポートプログラム2」では、月額2000円(税抜)を支払えばNCS(合同会社日本充電サービス)の充電スポットにある急速充電器を無料で使い放題でした。

 しかし、「日産ゼロ・エミッションサポートプログラム3」ではこれが廃止され、コースごとに設定された月額基本料金にプラスして、充電回数に応じた料金を支払うシステムに変更されました。

 その結果、自宅に充電設備を持たない、マンションなどの集合住宅に住むユーザーなどにとっては、充電料金の負担が増すこととなります。

 日産は変更の理由について「自宅に充電設備があるユーザーも急速充電での運用をすることが多くなり、一部の急速充電器の順番待ちが恒常化」していることを挙げています。

 これについて、前出とは異なる日産の販売スタッフは、次のように話します。

「走行条件にもよりますが、『ノート』や『セレナ』などのe-POWER搭載車のほうがお得だと判断されるケースは多くなりました。

 また、他社からも多様な電気自動車が登場したことで、お客さまの選択肢が増えてきたことも要因だと思います」

 国内での電気自動車では、2009年の初代リーフや三菱は「i-MiEV」を皮切りに、2011年に「ミニキャブMiEV」、2013年に「ミニキャブMiEVトラック」を投入。

 テスラは2014年「モデルS」、2016年に「モデルX」、2019年に「モデル3」が登場しました。

 2020年に入ると、ホンダ「Honda e」、プジョー「e-208」、DS「DS 3 CROSSBACK E-TENSE」、レクサス「UX300e」、2021年はマツダが「MAZDA MX-30 EV MODEL」を発売するなど、国産、輸入車メーカー問わずライバルも増えてきています。

 こうしたライバルが増えてきた状況について、日産の販売スタッフは以下のように話します。

「リーフは進歩的なお客さまには根強い人気があります。競合が増えることはEVに関する理解が深まることになり、発売10年を越える実績のあるリーフには追い風になると思っています」

V2H (Vehicle to Home)のイメージ図(画像:日産)V2H (Vehicle to Home)のイメージ図(画像:日産)

 また、日産はリーフを防災対策としての活用する動きを進めており、次のように説明しています。

「防災対策にぴったりな蓄電池は、従来の定置型蓄電池だと消防法の関係上17.76kWhまでの容量しか設置出来ません。

 しかし、リーフとV2H(クルマの電器を過程で使用するシステム)を組み合わせることで、40kWh仕様と62kWh仕様のふたつの大容量バッテリーを搭載しています。

 そのため、4人家族で2日から4日間過ごす電力を家全体に供給することが可能で、万が一の災害時も密を避けて自宅をシェルターに出来るから安心だといえます。

 また、コスト面では例えば定置型蓄電池(7.2kWh)が約200万円となり、1kWhあたり28万円です。

 しかし、クルマとしても使えるリーフ(40kWh)で約400万円、さらにV2Hが約80万円と一見割高ですが、1kWhあたり12万円と経済的です。

 さらに、【令和2年度第三補正予算】にて既存の『CEV補助金』に加えて『環境省補助金』または『経産省補助金』が新設されました。

 これにより、電気自動車と充放電器(V2H)や外部給電機(V2L)などに対しての補助金が出るため、より電気自動車のハードルが下がったと考えられます」

※ ※ ※

 世界一との称号を受けていたリーフですが、世界的にEV化が進み、ますます新技術が搭載されたクルマが登場してくることでしょう。

 ですが、実際のところ人気に陰りが見えているとはいえ、月に1000台前後の販売台数を誇る電気自動車は国内にはなく、まだまだ電気自動車におけるけん引役といえるでしょう。

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