ハイパワーエンジン+4WDで無敵! スカイラインGT-R登場以前の高性能4WD車3選
くるまのニュース / 2021年3月25日 16時10分
1989年は、日産「R32型 スカイラインGT-R」とスバル「レガシィ RS」という後世に語り継がれる高性能4WD車が登場した記念すべき年です。しかし、この2台が登場する以前、すでに高性能4WD車というジャンルは確立されていました。そこで、ターボエンジンとフルタイム4WDを組み合わせた黎明期のモデルを、3車種ピックアップして紹介します。
■黎明期の高性能4WD車を振り返る
1980年代に国産車はターボエンジンの普及によって高性能化が加速。その頂点に立ったのが1989年に登場した日産「R32型 スカイラインGT-R」やスバル「レガシィ RS」で、高出力なターボエンジンに4WDシステムを組み合わせたことから、さまざまな路面で高い走行性能を発揮することを証明しました。
しかし、この2台が登場するよりも前、すでに高性能4WD車というジャンルは確立され、性能を競い合っていました。
そこで、ターボエンジンとフルタイム4WDを組み合わせた黎明期のモデルを、3車種ピックアップして紹介します。
●マツダ「ファミリア GT-X」
国産初のフルタイム4WD車で高性能モデルの「ファミリア GT-X」
高性能4WD車を語るうえで忘れてはいけないのがマツダ「ファミリア GT-X」で、日本初となるフルタイム4WD車という歴史的なモデルです。
車名からわかるとおりマツダの大衆車として誕生したファミリアは、かつては同社の主力車種として代を重ねていきました。
そして、1985年に発売された6代目に、最高出力140馬力を誇る1.6リッター直列4気筒DOHCターボエンジンとフルタイム4WDシステムを搭載したファミリア GT-Xがラインナップ。
ハイパワーなエンジンとフルタイム4WDの組み合わせによって、動力性能は2リッターターボ車を凌駕すると評されたほど、センセーショナルなデビューを飾りました。
4WDシステムはプラネタリーギア方式のセンターデフを使った形式で、雪道などとくに滑りやすい路面では室内にあるデフロックスイッチで前後輪の駆動力配分を固定し、高いトラクションが得られる機構を採用。
また、圧搾空気によって2段階の車高調整機能が装備されるなど、舗装路と悪路での走破性を両立し、ラリーでも活躍しました。
GT-Xの登場によってファミリアは5代目の都会的なクルマというイメージから、高性能モデルへと大きく生まれ変わったといえます。
●トヨタ「セリカ GT-FOUR」
高性能なだけでなく高級なモデルとしても高い人気を誇った「セリカ GT-FOUR」
1970年に誕生したトヨタ初代「セリカ」は、普及拡大を目指した量産スペシャリティカーとしてデビュー。高性能なDOHCエンジンを身近な存在にした立役者でもあります。
その後代を重ね、1985年に登場した4代目は当時のトレンドを取り入れて駆動方式をFFとするなど大きな転換期となったモデルです。
フロントフェイスはリトラクタブルヘッドライトを採用し、ボディは3ドアハッチバッククーペのみで、角を削り取ったようなボディラインはトヨタ自身が「流面形」と表現したほど流麗なフォルムを実現。
そして1986年には、最高出力185馬力を発揮する2リッター直列4気筒DOHCターボエンジンと、センターデフ式フルタイム4WDシステムを搭載した「セリカ GT-FOUR」が追加ラインナップされました。
足まわりは専用チューニングの4輪ストラットを採用し、ブレーキも4輪ディスクが奢られ、パワーに見合うようにシャシ性能も向上しています。
セリカ GT-FOURは1988年にTTE(トヨタ・チーム・ヨーロッパ)から世界ラリー選手権に参戦。1990年には最強だったランチア「デルタ」を破り、カルロス・サインツ選手が日本車初のドライバーズタイトルを獲得し、基本性能の高さを証明しました。
ラリーで活躍したセリカはハイパワーなフルタイム4WD車というイメージが定着し、5代目と6代目にも同様なコンセプトのGT-FOURがラインナップされましたが、最終モデルとなった7代目では全グレードとも自然吸気エンジンを搭載するFF車へとコンセプトを変え、歴史に幕を閉じました。
■わずか550ccエンジンでも高性能4WD車を実現したのはスゴイ!
●スズキ「アルトワークス」
高性能軽乗用車の頂点に君臨した初代「アルトワークス」
前述のとおり1980年代にターボエンジンが国産車に普及しましたが、当初はミドルクラス以上のモデルが中心でした。
しかし、次第に小型車にもターボエンジンが拡大し、1983年に三菱「ミニカアミ55」が軽自動車初のターボエンジンを搭載。
それに追従するように1985年にスズキは「アルトターボ」を発売して軽自動車のパワー競争が始まり、1987年にはパワー競争の頂点に経つ「アルトワークス」が登場。
エンジンは550cc直列3気筒DOHCターボで、最高出力は64馬力を発揮し、これがきっかけで後に軽自動車の出力自主規制の上限が64馬力となります。
バリエーションはビスカスカップリング式センターデフを採用したフルタイム4WDの「RS-R」と、2WDの「RS-S」、「RS-X」の3種類をラインナップ。
わずか550ccエンジンのモデルでDOHCターボとフルタイム4WDを搭載したという、世界に例を見ない高性能車だったといえます。
このアルトワークスに続いてダイハツは「ミラ TR-XX」、三菱は「ミニカ ダンガンZZ」によって64馬力に到達し、3社による覇権争いが激化していくことになりました。
※ ※ ※
今回、紹介したモデル以外にも、1987年には三菱「ギャランVR-4」や同じく1987年に日産「ブルーバード SSSアテーサリミテッド」という高性能4WD車がデビューしています。
どのモデルもモータースポーツ、とくにラリーに参戦することを目的に開発されました。
まだ現在ほど高度に電子制御化されておらず、ドライバーの腕次第な部分もありましたが、そうした荒削りな部分も魅力のひとつだったといえるでしょう。
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