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水素社会実現の鍵はトラック? トヨタ・いすゞ・日野の3社提携で「MIRAI」の利便性が上がる訳

くるまのニュース / 2021年4月4日 16時10分

トヨタ・日野・いすゞの3社は、カーボンニュートラル社会の実現や輸送業が抱える課題の解決に向けて、新たな協業に取り組むと2021年3月24日に発表しました。とくに電動化に力を注ぐというのですが、協業でどのような効果が表れるのでしょうか。

■業界に衝撃が走った大規模連携

 トヨタ、日野、いすゞの3社は2021年3月24日に共同会見を開き、カーボンニュートラル社会の実現にむけて「商業事業で新たな協業に取り組む」と発表しました。

「まさか、長年のライバル同士が、このタイミングで笑顔で手を結ぶとは」。産業界で大きな衝撃が走りました。協業でどのような効果が表れるのでしょうか。

 カーボンニュートラルとは、産業界から排出される二酸化炭素(CO2)総量と森林など自然界で吸収されるCO2総量を相殺し、実質的にゼロにする試みです。

 協業を確固たる形にするため、トヨタがいすゞの発行済株式総数の所有割合4.60%を総額428億円で取得する一方で、いすゞも同額規模のトヨタ株式を取得します。

 具体的な協業の方法については、トヨタがこれまで培ってきたCASE(コネクテッド・自動運転・シェアリングなどの新サービス・電動化)を、日野といすゞの商用車にフル活用するという説明です。

 トヨタの豊田章男社長は「日野といすゞ、2社で日本市場の8割となる」として、今回の提携が市場に与える影響力を強調しました。

 長年のライバルである2社が手をつなぐに至る背景については「コロナ禍となり、人々と社会とのつながり方が大きく変わった」(豊田氏)と指摘しています。

 トヨタのグループ企業のひとつである日野の下義生社長は、物流業界がドライバー不足や輸送効率に関する潜在的な課題に加えて、カーボンニュートラルへ対応の必要性を主張しました。

 また、いすゞの片山正則社長は「お客様目線(全国約6万社の物流事業者からの目線)では、(大手メーカーによる電動化やコネクティビティの)システム統一に対する期待が大きい」と指摘。

 さらに片山社長は「(日本政府が目指す、商用車も含めた)2035年の新車100%電動化に向けては、今後5年間がその次の5年間での量産開発を踏まえて重要な期間となる」と早期に電動化の研究開発を強化するべきだと現状に対する危機感もにじませました。

 なお、いすゞは現在スウェーデンのボルボとの提携もあり、そのなかで2021年上旬にボルボ傘下のUDトラックを買収する手続きが終了する予定です。

 しかしこうした話は大型トラックの分野に限定されており、バンや小型トラックについては、トヨタ・日野との協業を選択したことになります。

■小型FCトラックの社会実装を進める

 記者会見のなかで明らかになったのは、3社がCASEのなかで優先的に取り組むのが電動化であるということです。

共同記者会見にて(日野自動車株式会社 代表取締役社長 下 義生/ トヨタ自動車株式会社 代表取締役社長 豊田 章男/ いすゞ自動車株式会社 代表取締役社長 片山 正則)共同記者会見にて(日野自動車株式会社 代表取締役社長 下 義生/ トヨタ自動車株式会社 代表取締役社長 豊田 章男/ いすゞ自動車株式会社 代表取締役社長 片山 正則)

 電動化についてはEVとFCV(燃料電池車)で社会実装を進めるとしていますが、豊田社長は2021年3月に現地訪問した、福島県浪江町での「福島水素エネルギー研究フィールド」を活用する、30万人都市向けの水素エネルギーを活用したFCVを含むモビリティ実証の重要性を強調しました。

 福島県内には福島市、郡山市、いわき市という30万人規模都市があり、これをトヨタでいう「原単位(げんたんい)」として、全国各地に数多い30万人都市での本格的な社会実装に向けた足掛かりとしたい考えです。

 また、カーボンニュートラルでは、原料の採掘から輸送、部品製造や自動車の最終組立、ユーザーによる使用から廃棄に至るまでの長い年月を通じて考慮する、LCA(ライフ・サイクル・アセスメント)の観点が重要です。

 LCAの観点から、6万8000枚の太陽光パネルで発電した電力で水を電気分解して水素を製造する福島での取り組みは、日本がこれから目指すべきカーボンニュートラルで適した方法だというのが、トヨタをはじめとした日系メーカー各社が加盟する日本自動車工業会の基本な考え方です。

 そのなかでは当然、トヨタと日野が共同開発する小型FCトラックに加えて、トヨタ燃料電池システムを搭載するいすゞの小型FCトラックも走り出すことになります。

 そのほか、トヨタとセブンイレブンが2019年から進めてきた小型FCトラックによる社会実証で、2021年からローソン、ファミリーマートを含めた形に拡大し、2022年以降の社会実装を目指すことも明らかになっています。

 こうして社会のなかに小型FCトラックの数が増えていくと、水素ステーションのインフラ整備も必然的に増加し、トヨタ「MIRAI」のような乗用FCVの利便性があがり、新規の乗用FCVの市場参入がしやすくなるはずです。

 今回の会見で豊田社長は「商用車は日本市場全体で見ると、台数では2割だが、走行距離では4割となり、CO2排出量では5割に達する」と具体的な数字をあげて市場現況を示しています。

 そのうえで、協業により日野といすゞで国内商用車市場の8割となることを踏まえると、今回の発表が日本におけるFCV普及の大きな転換期となる可能性が高いと思います。

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