コンパクトからフルサイズまで4車種用意!アメリカの象徴「キャデラック」のSUV攻勢とは
くるまのニュース / 2021年4月4日 12時0分
アメリカのプレミアムカーの象徴といえばキャデラックだ。キャデラックといえばビッグサイズのセダン、というイメージがあるが、いまではセダンは日本で1車種(「CT5」のみ)。それに比べてSUVは、コンパクトSUV「XT4」からフルサイズSUV「エスカレード」まで4車種ラインナップを揃えている。あらためてキャデラックの「今」を考えてみた。
■GMの最上級に位置するプレミアムブランド
キャデラックのSUVラッシュが続いている。
2020年11月にフルモデルチェンジされた新型「エスカレード」の発売を皮切りに、年が明けた2021年1月は、新型モデル「XT4」と、一部改良をおこなった新しい「XT5」と「XT6」という3台のSUVを日本に投入。
これにより、キャデラックには、XT4/XT5/XT6、そしてエスカレードという4台のSUVラインナップが揃った。
今回は、キャデラックというブランドの歴史と魅力、そして4台のSUVの特徴を説明しよう。
キャデラックは、GMが擁する数多くのブランドの最上級に位置する存在だ。いまでこそ世界的なシェアを下げたGMだが、ほんの10数年前となるリーマンショックまでは、70年以上世界ナンバーワンの自動車メーカーであったのだ。
とくに欧州が疲弊した第二次世界大戦後のGMは、まさに圧倒的存在であり、その頂上に君臨するキャデラックは、アメリカだけでなく日本などのアジア、さらには欧州においても、最上級のクルマとして垂涎の的であった。
まさにアメリカの富と成功の象徴とも見られ、「キャデラックを手に入れる=人生の成功者」というイメージさえ生まれていたのだ。
ただし、キャデラックの示した最高級の姿は、現在のドイツ勢のプレミアムブランドとは、趣が大いに異なる。
もちろん、時代時代の最先端の技術をキャデラックは採用してきた。いまでは自動車技術の基本となる部品の標準化を100年以上も前に実現。さらに、セルモーターやシンクロメッシュ・ギヤ、V型8気筒エンジンなどを第二次世界大戦前に実用化。戦後はオートマチックトランスミッションやエアコン、パワーステアリングなどの普及の先駆けとなっていた。
つまり、キャデラックはイージードライブできるエレガントな高級車を提案してきたのだ。こうした姿勢がアウトバーンをハイスピードで飛ばすことに熱心な欧州プレミアブランドとの大きな違いだろう。
また、世界最大の自動車メーカーのトップブランドとして、カーデザインにも世界に大きな影響を及ぼしたのもキャデラックならではの足跡だ。そうしたカーデザインのひとつが1950年代から60年代にかけて一世を風靡したテールフィンだ。
1962年製キャデラック「エルドラド」。リアデザインはテールフィンになっている
キャデラックは時代の変化を巧みに順応してきたブランドともいえるだろう。
アメリカの自動車市場は、1970年代のオイルショック以降、徐々に環境性能を重視する小型車、とくに日本車がシェアを伸ばしてきた。そのなかでキャデラックは苦戦を続けるが、1999年にブランド初のSUVとなるエスカレードを投入。2000年代になってラグジュアリーなフルサイズSUVという活路を見出すことに成功。巨大でゴージャスなエスカレードが、若い世代にとって “格好良い”“成功者の象徴”と再び認められることになったのだ。
■全長4605mmから5382mmまで、4モデルのSUVを用意
そんなキャデラックのブランドイメージを牽引するフラッグシップ、エスカレード。その最新の第5世代モデルが世界に公開されたのは2020年2月のことであった。同年11月には日本での先行販売がスタートし、納車は2021年夏が予定されている。
キャデラック新型「エスカレード」
新型の特徴は歴代モデルと同様に、圧倒的な大きな存在感と最先端テクノロジーの惜しみない採用だ。
全長5382mm×全幅2060mm×全高1948mmという堂々たる巨躯に、スリムなホリゾンタルヘッドライトを備える顔つきは、非常にクールなもの。
運転席を覗けば、自動車業界初となる湾曲した対角38インチ超(およそ1m弱!)のOLEDディスプレイが鎮座する。ただし、インテリアは全体としてクラフトマンシップ漂うウッド&レザーで埋め尽くされており、ホッとするような温かみがある。
また、3列シートでありながらも、室内空間が広々としているのも特徴だ。搭載するエンジンは、最高出力426psの6.2リッターV型8気筒エンジン。瞬時に減衰力を変化させるマグネティックライドコントロールと車高調整機能付きのエアライドアダプティプサスペンションを採用。セレクタブル4WDシステムを備え、オンロードでもオフロードでも安定した走りが期待できる。
大きくて、ゴージャスでエレガント。それでいて最先端技を満載した快適な走り。まさにキャデラックのイメージを体現する内容だ。
エスカレードはモノグレードで、車両価格は1337万円(消費税込、以下同)となっている。
* * *
そんなキャデラックのイメージを受け継ぎつつ、ブランド最小のSUVとして生まれたのが、2021年1月より日本で発売開始となったキャデラックXT4だ。
コンパクトSUV「キャデラックXT4」
キャデラックからのリリースには「初のコンパクトSUV」とあるが、そのサイズは全長4605mm×全幅1875mm×全高1625mmと、ミドルサイズSUVのトヨタ「RAV4」に近いもの。BセグメントSUVがヒットする日本では、もう少し大きなクルマの印象になるはず。
最高出力230馬力の2リッター4気筒ターボを9速ATと組み合わせた4WDモデルだ。キャデラックとして最小ではあるものの、本革レザーのシートや本物のウッド&金属素材を使ったインテリアの質感の高さは、上位モデルに負けない。また、衝突被害軽減自動ブレーキやACCなどの、今どきの先進運転支援システムも、しっかりと装備する。小さくとも、誰が見てもキャデラックとわかるルックスとエレガントな室内が備わった、ラグジュアリーなSUVだ。
XT4は3グレードあり、車両価格はプレミアムが570万円、スポーツは640万円、プラチナムが670万円だ。
* * *
XT5は世界市場の売れ筋となるミドルサイズSUVだ。全長4825mm×全幅1915mm×全高1700mmのボディに、最高出力314psの3.6リッターV型6気筒+9速ATのパワートレインと4WDシステムを搭載する。
現行型キャデラック「XT5」
クールで個性的なキャデラックならではのルックスと、高品位なインテリア&充実の先進運転支援システムというキャデラックSUVに共通する特徴を備える。キャデラックSUV兄弟のなかでのXT5の個性といえば、パワフルな走りだろう。上位のXT6とエスカレードは3列シート車であるし、XT4は2リッターモデル。2列シートのミドルサイズのボディに強力なエンジンを搭載するXT5は、キャデラックのラグジュアリな雰囲気とスポーティな走りが融合するモデルとなる。
XT5はプラチナムスポーツの1グレードで、車両価格は785万円だ。
* * *
XT6の特徴は、3列シートを備えていることだ。
現行型キャデラック「XT5」
全長5060mm×全幅1960mm×全高1775mmの貫禄のサイズ感のボディにゆったりとした、そしてラグジュアリ感たっぷりの室内空間を用意するのがXT6の魅力だ。
パワートレインは、XT5と同じく最高出力314psの3.6リッターV型6気筒+9速AT。もちろん駆動方式は4WDとなる。体躯は大柄だが、それをものともしない十分なパワーが備わっている。
「3列シートのラグジュアリーなSUVが欲しいけれど、さすがにエスカレードは大きすぎるし、高すぎる」という人にお勧めのモデルだ。
日本での普段使いでいえば、サイズ的には間違いなくエスカレードよりも運転が楽になる。「キャデラックの最上級のアイコンが欲しい」というのでなければ、十分に選ぶ価値のあるモデルだ。車両価格は885万円となる。
* * *
フラッグシップとなるエスカレードを頂点に、コンパクトなXT4、ミドルサイズでパワフルに走るXT5、3列ソートのXT6と、幅広いラインナップを揃えたキャデラックSUV。ラグジュアリなSUVを望む人であれば、チェックしてみると良いだろう。
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