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なぜヒットしなかった? スタイリッシュだけどマニアックな珍セダン5選

くるまのニュース / 2021年4月7日 6時10分

クルマの外観は販売台数を左右する重要な要素のひとつですが、デザインに正解はありません。見た目というのはあくまでも主観であり、優劣よりも好みが優先されるからです。一方で、スタイリッシュなエッセンスを持ちながらヒットに至らなかったクルマも存在。そこで、スタイリッシュだけどマニアックな珍セダンを、5車種ピックアップして紹介します。

■いま見てもかなりイケてるセダンを振り返る

 現在、人気の低迷が続いているセダンですが、1990年代までは各メーカーとも主力のカテゴリーとあって、ラインナップも充実していました。

 そんな数多くラインナップされていたセダンのなかには、スタイリッシュなデザインの要素を持ちながら、ヒットに至らなかったモデルが存在します。

 クルマのデザインは販売を左右する重要なポイントですが、ユーザーの主観によって判断されるため、人気とならなかったクルマはユーザーには好まれなかったということかもしれません。

 そこで、いま見るとスタイリッシュと評されても良さそうなデザインにもかかわらず、ヒットしなかったマニアックな珍セダンを、5車種ピックアップして紹介します。

●三菱「エメロード」

有機的なデザインがユニークな4ドアハードトップの「エメロード」有機的なデザインがユニークな4ドアハードトップの「エメロード」

 かつて、三菱を代表するセダンとして長い歴史を刻んできた「ギャラン」は、6代目までは一貫してスクエアなボディでしたが、1992年に発売された7代目では時代の流れから全車3ナンバーサイズとなり、流麗なフォルムへと変貌します。

 この7代目ギャランをベースに、スタイリッシュな4ドアハードトップのボディとしたのが「エメロード」で、1992年に発売されました。

 エメロードは曲面を多用した滑らかで伸びやかなルックスで、なかでもラウンドしたユニークな形状のヘッドライトを採用したフロントフェイスと、ガーニッシュと一体となった長円状のテールランプが配置されたリアビューが、独創的な見た目を演出。

 ボディサイズは全長4610mm×全幅1730mm×全高1380mmと、全高が7代目ギャランの1410mmより低く抑えられており、ロー&ワイドなフォルムは美しいと評されました。

 エンジンは1.8リッターから2リッターまで4種類が設定され、トップグレードには170馬力を発揮する2リッターV型6気筒を搭載。ギャランVR-4のような高性能グレードは用意されていません。

 そんなエメロードはバブル景気だった頃に企画・開発されたと思われ、ちょうど三菱もラインナップの拡充をおこなっていた時期にデビューしましたが、販売が伸び悩んだことから1996年に生産を終了。いまでは走っている姿は、まずお目にかかれないほど激レアなモデルです。

●マツダ「ペルソナ」

美しいと評された外装だけでなく内装もこだわった「ペルソナ」美しいと評された外装だけでなく内装もこだわった「ペルソナ」

 1980年代の終わりに好景気という背景から、マツダは車種の拡充を開始。そして、1988年に「カペラ」をベースとした4ドアピラーレスハードトップの「ペルソナ」を発売します。

 外観はカペラのイメージを受け継ぎながらも、角を丸めることで全体的にやわらかな印象です。また、Bピラーを排除したことで、開放感がある斬新なデザインのキャビンが実現されました。

 ボディサイズは全長4550mm×全幅1695mm×全高1335mmと、デザインの妙でサイズ以上にワイドな印象です。

 内装は非常に贅沢かつ凝っていて、高級感を演出するラウンジソファータイプのリアシートとし、シートや内装表皮の半分以上を革張りとするグレードを設定。

 今では考えられませんが、ダッシュボードのデザインを優先するためにグローブボックスを排除するほどのこだわりようでした。

 搭載されたエンジンはカペラと同じ2リッターと1.8リッターの直列4気筒で、パワーは2リッター車で140馬力と、このクラスでは標準的なスペックですが、「シルキースムース」と表現されるほどドライブフィールも重視されていました。

 1989年にはユーノスブランドから姉妹車としてユーノス「300」が発売されましたが、小さな高級車に対するニーズもバブル経済の終わりとともに消え去ったことで販売は低迷。ペルソナ、ユーノス 300ともに、1992年に生産終了となりました。

●ホンダ「アスコットイノーバ」

スポーティなフォルムながら人気とはならなかった「アスコットイノーバ」スポーティなフォルムながら人気とはならなかった「アスコットイノーバ」

 ホンダのセダンラインナップは、長い間フラッグシップの「レジェンド」、ミドルクラスの「アコード」、コンパクトモデルの「シビック」によって構成されてきました。

 これら王道セダンに加えて数多くの派生車も展開されており、そのなかの1台として1992年に発売されたのがスポーティセダンの「アスコットイノーバ」です。

 アスコットイノーバは、アコードの姉妹車である初代「アスコット」の派生車として開発されました。

 ボディサイズは全長4670mm×全幅1695mm×全高1380mm(2リッターエンジン車)とアスコットに準じたミドルクラスでしたが、外観のデザインはまったく異なり、Cピラーの傾斜を寝かしたクーペスタイルの流麗なフォルムを採用。

 フロントフェイスも比較的オーソドックスなアスコットに対し、4代目「プレリュード」にも似たアグレッシブなデザインとなっています。

 搭載されたエンジンは2リッター直列4気筒SOHCとDOHC、2.3リッター直列4気筒DOHCの3種類で、2.3リッター車は最高出力165馬力を発揮。
 
 足まわりはアコード譲りの4輪ダブルウィッシュボーンとされ、優れたハンドリングを実現しています。

 しかし、アコード/アスコットよりもスポーツ志向だったアスコットイノーバですがヒットには至らず、1996年に一代限りで生産を終えました。

■日産が誇るスタイリッシュな珍セダンとは?

●フォルクスワーゲン「サンタナ」

日本で生産されながら欧州デザインが評価されたセダンの「サンタナ」日本で生産されながら欧州デザインが評価されたセダンの「サンタナ」

 1980年代初頭、日産とフォルクスワーゲンは業務提携契約を締結。その事業のひとつとして、日産はフォルクスワーゲンのグローバルセダン「サンタナ」を日本でノックダウン生産し、日産ディーラーでも販売することに合意します。

 ボディサイズは全長4530mm×全幅1690mm×全高1395mmと、本来は全幅が1710mmだったところを日本では3ナンバー車の自動車税が高額だったことから、外装パーツの一部変更で5ナンバーサイズに改められました。

 全体のフォルムは直線基調の伸びやかなスタイルで、欧州車らしいスタイリッシュな6ライトウインドウのキャビンが特徴です。なお、海外市場では5ドアのステーションワゴン「ヴァリアント」も設定されました。

 エンジンは2リッター直列5気筒と、1.8リッター直列4気筒、1.8リッター直列4気筒ディーゼルをラインナップ。1987年には最高出力140馬力を発揮するスポーティな2リッター直列5気筒DOHCエンジンも加わっています。

 サンタナはフォルクスワーゲンブランドの強みもあり、発売当初は好調なセールスを記録しました。しかし、好景が上向いていくと、「外車信仰」からもっと高級なBMWやメルセデス・ベンツに人気が集中し、サンタナの販売台数は減少。1990年に国内での生産を終了し、日産とフォルクスワーゲンの提携関係も解消されました。

 ちなみに、サンタナは中国ではベストセラーとなる人気ぶりで、現在もフィリピンでサンタナの名を冠したモデルが販売されています。

●日産「レパード」

先代から大きく変わったものの人気とはならなかった「レパード」先代から大きく変わったものの人気とはならなかった「レパード」

 1980年に発売された日産初代「レパード」は、先進的なスタイリングの4ドア/2ドアハードトップのスペシャリティカーとしてデビュー。

 そして1986年に登場した2代目ではスタイリッシュな2ドアクーペにデザインを一新し、TVドラマシリーズ「あぶない刑事」の劇中車として登場したことから、若者を中心に高い人気を獲得します。

 しかし、1992年に登場した3代目では「レパードJ.フェリー」に名を変えて、ラグジュアリーセダンに変貌しましたが、デザインが酷評されたことから販売は極端に低迷。

 もともとレパードJ.フェリーは北米向けのインフィニティ「I30」として開発されたモデルで、デザインもアメリカ人の趣味嗜好に合わせたモデルだったのです。

 そこで、日本市場独自のモデルとして4代目が1996年に登場。再びレパードに車名を戻し、9代目「セドリック」系をベースとするモデルへと生まれ変わりました。

 外観はスポーティさを強調した印象のフロンフェイスとキャビンデザインを採用した4ドアハードトップで、ボディサイズは全長4895mm×全幅1765mm×全高1425mmとセドリック/グロリアよりも25mm長く、実際に伸びやかなフォルムとなっています。

 エンジンは新世代の「VQ型」がメインユニットとなり、トップグレードには最高出力270馬力を誇る3リッターV型6気筒ターボを搭載。

 こうして先代のイメージから劇的に変化したレパードですが、販売台数は期待されたほど増えず、2000年に生産を終了して、レパードはこの代をもって消滅しました。

※ ※ ※

 バブル期のマツダと同様に1980年代から1990年代当時は、各メーカーともラインナップの拡充がかなりエスカレートしていました。

 しかも、グローバルで展開されない日本市場専用車も数多く存在しており、それだけ内需のパワーがあったということです。

 近年は車種整理も一段と進み、さらに軽自動車以外はグローバルで販売するのが当然となっているため、ユニークなモデルがなかなか見られなくなってしまったのは寂しいところです。

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