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ハイトワゴンの流行で絶滅した? 軽スペシャリティカー5選

くるまのニュース / 2021年4月22日 6時10分

現在、日本の自動車市場で、もっとも売れているクルマといえば軽自動車です。なかでも背の高いハイトワゴンやトールワゴンが主流となっており、多いときで月間2万台以上も売れます。一方で、近年に姿を消してしまったのが軽スペシャリティカーです。そこで、往年の軽スペシャリティカーを5車種ピックアップして紹介します。

■軽自動車ながらスペシャリティカーを目指したモデルを振り返る

 明確な定義はありませんが「スペシャリティカー」というジャンルのクルマが存在します。

 代表的なモデルとしてトヨタ「ソアラ」やホンダ「プレリュード」が挙げられ、概ね2ドアクーペもしくは3ドアファストバッククーペのボディで比較的高性能なエンジンを搭載し、スポーツカーほどは運動性能にこだわっていないモデルというのが一般的な認識でしょう。

 かつて、このスペシャリティカーはさまざまなセグメントでラインナップされており、もっとも小さいモデルが軽自動車でした。

 現在は各軽自動車メーカーとも、背の高いハイトワゴンやトールワゴンが販売の主流であり、軽スペシャリティカーは、いまではほとんど見られなくなってしまいました。

 そこで、往年の軽スペシャリティカーを5車種ピックアップして紹介します。

●ホンダ「Z」

軽スペシャリティカーの先駆け的存在である「Z」軽スペシャリティカーの先駆け的存在である「Z」

 1967年にホンダは、同社初の軽乗用車「N360」を発売。当時のライバルたちが25馬力ほどだったところに、N360は360cc空冷直列2気筒エンジンから31馬力を発揮し、FFを採用したことから広い室内空間も相まって大ヒットを記録しました。

 そして、1970年にはN360をベースとした軽自動車初のスペシャリティカー、初代「Z」を発売。ボディは2ドアクーペのみで、特徴的なデザインのリアハッチ形状から「水中メガネ」の愛称で呼ばれました。

 上位グレードのエンジンはN360にも搭載されたツインキャブレターの空冷2気筒で、最高出力は36馬力を誇り、タコメーターのレッドゾーンは9000rpmに設定される高回転型ユニットでした。

 さらに1971年1月には、フロントに軽自動車初のサーボ付きディスクブレーキを採用し、5速MT、ラジアルタイヤ、スポーツシートなどが装着された「Z GS」が登場。

 その後、同年12月にはエンジンが「ライフ」と同じ水冷に換装され、1972年にはBピラーの無い2ドアハードトップとなるなど、よりスペシャリティカーとして素質が向上しましたが、ホンダは初代シビックの生産に注力するという理由からZは1974年に生産を終了しました。

●マツダ「シャンテ」

ロータリーエンジンを搭載する計画もあった「シャンテ」ロータリーエンジンを搭載する計画もあった「シャンテ」

 現在、「CXシリーズ」に代表されるSUVが主力のマツダですが、もともと初の量産乗用車は軽自動車の「R360クーペ」であり、ほかにも数多くの軽自動車を世に送り出してきました。

 そのなかの1台が1972年に発売された「シャンテ」です。

 ボディは2ドアのクーペスタイルで、傾斜したCピラーによってスタイリッシュなフォルムを実現し、精悍な印象のフロントフェイスに四角いテールランプが特徴的です。
 
 エンジンは最高出力35馬力を発揮する360cc直列2気筒2サイクルをフロントに搭載して、リアタイヤを駆動するFRを採用。

 シャンテは優れたデザインにパワフルなエンジンと意欲作といえましたが、ライバルに対して販売は低迷し、1976年に生産を終え、一旦、マツダの軽乗用車は消滅することになりました。

 なお、当時のマツダはあらゆる車種にロータリーエンジンを搭載するフルラインナップ化を進めており、このシャンテにも新開発のシングルローター・ロータリーエンジンの搭載を計画。

 試作も完了していましたが、結局、運輸省(現在の国土交通省)からの許可が取れず、発売を断念したといいます。

●スズキ「セルボ」

「アルト」ベースながらスタイリッシュなデザインの2代目「セルボ」「アルト」ベースながらスタイリッシュなデザインの2代目「セルボ」

 1971年にスズキは、日本初の本格的な軽スポーツカーの「フロンテクーペ」を発売しました。

 高性能な360cc水冷3気筒2サイクルエンジンを搭載していたフロンテクーペですが、軽自動車規格の変更と排出ガス規制の強化もあって1976年に販売を終了します。

 その後、1977年にフロンテクーペのコンセプトを受け継ぎ、新規格に対応したRRのスポーツモデルとして初代「セルボ」が誕生。しかし、550ccの2サイクルエンジンを搭載していたことで、やはり排出ガス規制の強化によって次世代への以降を余儀なくされました。

 そして、1982年に発売されたのが、初代「アルト」をベースに開発されFFとなった2代目セルボです。

 2代目セルボの外観は、フロントフェイスはアルトに酷似していましたが、ボディは専用のファストバックスタイルの2ドアクーペを採用。

 発売当初に搭載されたエンジンは、29馬力の550cc直列3気筒自然吸気のみで、1983年のマイナーチェンジで40馬力を誇るターボ車が追加されました。

 スタイリッシュなフォルムの軽スペシャリティカーとして2代目セルボは個性的な存在でしたが、代を重ねて4代目ではオーソドックスな2BOXスタイルとなり、2011年に5代目をもって消滅しました。

■軽ハイトワゴン人気の影で販売が低迷した2台の軽スペシャリティカーとは?

●ダイハツ「ソニカ」

新時代の軽スペシャリティカーとして開発されたが短命に終わった「ソニカ」新時代の軽スペシャリティカーとして開発されたが短命に終わった「ソニカ」

 2006年に発売されたダイハツ「ソニカ」は、新時代の軽スペシャリティカーとして開発された2BOX5ドアハッチバックのモデルです。

 すでに軽自動車市場ではトールワゴンが主流になりつつありましたが、1470mmという低めの全高によるスタイリッシュなフォルムを実現しています。

 ダイハツ自らソニカを「爽快ツアラー」と標榜するだけあって、ボディ各所に風切り音やロードノイズを低減する技術を採用して静粛性を向上。

 さらにキーフリーシステムや、一部グレードには花粉除去モード付きのオートエアコン、セキュリティアラームが採用されるなど、軽自動車という枠にとらわれない充実した装備となっています。

 搭載されたエンジンは全車最高出力64馬力を発揮する660cc直列3気筒ターボのみで、トランスミッションはCVTが組み合わされ、余裕ある走りを獲得。

 また、低い全高による低重心化とロングホイールベースにより、優れた走行安定性と乗り心地の良い快適な走りを両立しています。

 当時、ソニカは高く評価されましたが、すでに市場には軽スペシャリティカーのニーズがなく販売は低迷。発売からわずか3年後の2009年に生産を終了しました。

●スバル「R1」

内外装のデザインやコンセプトは優れていたものの売れなかった「R1」内外装のデザインやコンセプトは優れていたものの売れなかった「R1」

 現在、スバルは軽自動車の生産から撤退していますが、「スバル360」に代表される軽自動車の老舗メーカーです。

 これまで数多くの軽自動車を開発してきましたが、その終焉の間際に誕生した同社最後の新型車が「R1」です。

 R1のボディは5ドアハッチバックの「R2」をベースにした3ドアハッチバッククーペで、後席スペースは実質的に緊急用と割り切った2+2に設定。あくまでも前席2名乗車をメインに開発された、スペシャリティカーに位置付けられます。

 外観はR2のルーフを短くしたイメージでサイドビューは台形のフォルムとなり、ユニークで画期的なデザインが高く評価されました。

 内装のデザインはR2に準じていましたが独自のカラーコーディネートが採用され、アルカンターラとレザーを組み合わせた内装のモデルも設定されるなど、スペシャリティカーにふさわしい内容です。

 エンジンはデビュー当初、最高出力54馬力を発揮する660cc直列4気筒自然吸気を搭載し、後に64馬力の直列4気筒DOHCスーパーチャージャーを追加ラインナップし、トランスミッションは全車CVTのみ。

 足まわりには4輪独立懸架を採用しており、上質な走りにもこだわっていました。

 しかしソニカと同様に、市場には軽スペシャリティカーのニーズはなく販売が低迷。2010年にR1はR2とともに生産を終了しました。

※ ※ ※

 軽自動車は日本独自の規格であり、ボディサイズとエンジンの排気量には制限があります。

 そのため、「大は小を兼ねる」という考え方が浸透して、より広い室内の軽ハイトワゴンが人気となったのは自然な流れだといえるでしょう。

 しかし、どれも同じようなフォルムのモデルが量産されてしまった感は否めず、今回紹介したような個性派モデルは、もう出てくるのは難しい状況となってしまいました。

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