右も左もSUVだらけ! なぜ販売好調? 過去10年で3.5倍の市場成長の背景とは
くるまのニュース / 2021年4月25日 7時10分
昨今、SUV人気が続いていますが、さまざまなボディタイプがあるなかで、2010年頃から現時点で3倍以上の伸びを見せています。なぜSUVばかりが人気といわれるのでしょうか。
■SUVって本当に売れているの?
近年、世界のみならず日本でもSUVが人気だといいますが、販売台数では軽自動車やコンパクトカーが上位を占めています。
一方で、国産メーカーは続々と新型SUVを市場投入していますが、果たして本当に売れているのでしょうか。
現在、国内の普通車市場で展開されるボディタイプは、コンパクトカー(ハッチバック含む)、ミニバン、SUV、セダン(クーペ含む)、ステーションワゴンという形で分類出来ます。
かつての普通車は、1990年代前半まではセダン、その後ステーションワゴンやコンパクトカー、2000年代からはミニバン、そして2010年以降ではSUVが新車市場の流行りとなっていました。
2010年以降に登場した主な新規SUVとしては、日産「ジューク(2010年)」、スバル「XV(2012年)」、ホンダ「ヴェゼル(2013年)」、マツダ「CX-3(2015年)」、レクサス「NX(2014年)」、トヨタ「C-HR(2016年)」、レクサス「LX(2015年)」と相次いで登場。
その後も、マツダ「CX-8(2017年)」、三菱「エクリプスクロス(2017年)」、レクサス「UX(2018年)」、トヨタ「ライズ(2019年)」、ダイハツ「ロッキー(2019年)」、マツダ「CX-30(2019年)」、日産「キックス(2020年)」、トヨタ「ヤリスクロス(2020年)」を新たに発売しています。
2020年の登録車全体では243万台を記録。内訳は、コンパクト・ハッチバックが84万台(37%)、SUVが71万台(29%)、ミニバンが51万台(22%)、セダン・クーペが32万台(10%)、ステーションワゴンが13万台(6%)となりました。
SUV市場の規模としては、2010年代初頭が20万台前後でしたが約10年経った現在では70万台超えという成長を見せています。
こうしたSUV市場の動向について、国産メーカーの担当者は次のように話しています。
「最近、SUVが好調な背景にはSUV自体の商品性が上がったからといえます。
かつてのゴツゴツして車高が高く、悪路走破性も良いRVが流行った際には乗り心地の悪さで敬遠される人がいました。
その後、都市型SUVが徐々に商品化されていき、乗り心地は向上したものの、ボディサイズが大きかったこともあり、そこまでの人気にはつながっていません。
そして、2010年頃から日本の道路事情でも扱いやすいコンパクトSUVが増えたことで販売台数が伸びることとなります。
また、かつては家族3世代で移動することも多く見られましたが、年々核家族が増えてきたことで、3列シートを備えたミニバンでなくてもいいという人が出てきました。
そうしたSUV自体の商品性と多様なラインナップ、時代ごとのニーズに変化などの複数の要素によって、SUV市場が伸びているのだと思います」
また、地方部の国産系販売店のスタッフは次のように話しています。
「地方では1人1台とはいわないまでも複数台のクルマを所有するケースは多々見かけます。
以前までは、普通車と軽自動車というセットが多かったですが、最近ではミニバンとコンパクトSUVという家庭も増えています。
コンパクトSUVを所有する背景として、近所の移動という部分は変わらないものの、最近ではオンロードだけでなくオフロード性能を有するモデルも増えていることで、山間部や積雪時などでも安心して乗れるということが挙げられます」
※ ※ ※
自動車メーカーが新型モデルを続々と市場投入する背景には、これらの複合的な「売れる要素」があったことが分かります。
また、SUVのラインナップが増加することでユーザー側としても選択肢が広がるというメリットがあります。
2021年には、トヨタ「カローラクロス」や日産「アリア」といった新たなSUVが国内市場で発売される予定であるほか、既存モデルのフルモデルチェンジなども控えているため、当分の間はSUVが乱立する形となりそうです。
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