「後席リクライニング」なぜ増えない? 快適性あるも車種でばらつきある理由
くるまのニュース / 2021年4月26日 9時10分
クルマの後席シートにはリクライニング機能が採用されているケースがあります。「あると便利」という印象を受ける後席リクライニング機能ですが、採用が進んでいる車種とそうでない車種に差があります。そこにはどのような理由があるのでしょうか?
■後席リクライニングはどんな機能?
最近は、後部座席にもリクライニング機能を備えたモデルが増えつつあります。
「あると便利」という印象を受ける後席リクライニング機能ですが、採用が進んでいる車種とそうでない車種に差があります。そこにはどのような理由があるのでしょうか。
2列シート以上の場合、そのほとんどが2列目や3列目のシートの背もたれを前方に倒したり、跳ね上げて畳んだりといったシートアレンジが可能です。
しかし、後席の背もたれを後方に倒す「リクライニング機能」を備えている車種はそれほど多くありません。
リクライニング機能は車種によって異なりますが、後席が電動で可動するものや数段単位で調整が可能なもの、車内をほぼフラットにしてベッドのようにできるものまでさまざまです。
実際に採用されている車種を調べてみると、高級車もしくは3列シート車に多い傾向があります。
また、高級車には電動リクライニングが採用されている例が多いです。
代表的な例としては、トヨタ「センチュリー」や日産「シーマ」といった、ショーファーカーとしての需要が多い車種や、レクサス「NX」「RX」「LX」などの高級SUVにも後席電動リクライニング機構が採用されています。
3列シート車になると、3列目シートはフルフラットの空間を作るためにリクライニング機構が備わっている場合が多いです。
実際に後席リクライニングを採用する車種や基準はあるのでしょうか。
ホンダ広報部は次のように説明しています。
「後席リクライニングを採用するかしないかは、構造上やコストの問題が大きいです。
ラゲッジスペースを確保しながら、後席の快適性も両立したい場合に後席リクライニングを採用する場合が多いです」
また、スズキ広報部は次のように説明しています。
「後席リクライニング機能を採用するかはシートの形状に依存している部分が多いです。
基本的には左右独立分割可倒式シートを採用している車種にはリクライニング機能を備えています。
これは後席の快適性を高めるというよりかは、後席リクライニングによって多彩なシートアレンジが可能になるという側面の方が大きいです」
■あえて後席リクライニングを採用しない車種も存在、なぜ?
あると便利な機能ともいえる後席リクライニング機能。
しかし、今後採用が増えていくかはケースバイケースだといえます。
ショーファーカーには必須の装備といえますが、個人所有がメインとなるモデルでは装備されていることが、市場で大きなプラスになることはないのかもしれません。
前出のホンダは次のように話しています。
「後席の快適性を確保しつつも、求められるラゲッジスペースを確保できる設計が可能になってきたので、フルモデルチェンジで後席リクライニングを撤廃するということもあります。
これには設計段階で人間工学を研究し、もっとも快適に過ごせる後席のシートポジションに設定したためという理由もあります」
新型ヴェゼルではあえて後席リクライニング機能を採用しなかった?
また、2021年4月23日に発売されたホンダ新型「ヴェゼル」の後席リクライニング機能について、開発担当者は次のように説明しています。
「新型ヴェゼルの後席はリクライニングしない仕様です。これは、角度調整のギミックがあると余分な空間が必要となるほか、シート自体も固定式よりは薄く簡易なものになっていまいます。
そのため、新型ヴェゼルでは、しっかりとした厚みのあるシートと適正な角度にすることで、後席の快適性を実現させました」
※ ※ ※
このように、単に後席リクライニングを採用すればいいという訳ではないようです。
それぞれの車種にはコンセプトが存在し、そのコンセプトによっても後席リクライニングの採用有無が決まるといえます。
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