なぜ流れるウインカー流行らない? 法改正から7年も採用車種拡大ならず?
くるまのニュース / 2021年4月28日 9時10分
2014年から認められるようになった「流れるウインカー」。ウインカーを出した際に、流れるように点灯する仕組みで、高級ブランドのモデルや上級グレードに採用されていますが、LEDライト並に普及してはいません。なぜなのでしょうか。
■なぜ「流れるウインカー」は爆発的に流行らないのか?
ウインカーを出した際に、流れるように点灯する通称「流れるウインカー」は、2014年から認められるようになりました。
しかし2021年現在でも、それほど多くの車種に採用されているわけではありません。そこにはどんな理由があるのでしょうか。
流れるウインカーは、「シーケンシャルウインカー」と呼ばれるほか、保安基準などでは「連鎖式点灯方向指示器」と呼ばれます。
2014年に道路運送車両法の改正によって流れるウインカーが認められるようになったことで、採用車種が登場するようになりました。
流れるウインカー自体は、1960年代頃から日産「ブルーバード SSS」やフォード「マスタング」といった事例があります。
流れるウインカーは、その後の法改正で事実上禁止されることになりますが、一部の間では違法改造のひとつとして知られた存在でもありました。
その後、2000年代に入り自動車用ライトにLEDが採用されることが多くなったことで、流れるウインカーが再び注目されるようになりました。
なかでもLEDライトをデザインのアクセントに据えたアウディが、海外市場で高性能スポーツカーである「R8」の流れるウインカーを採用。
そして、2014年の法改正で日本国内でも流れるウインカーが認められるようになったのと同時に、アウディやレクサスなどの高級ブランドのモデルで採用されるようになります。
近年では、レクサスのSUVや、トヨタ「ハリアー」、ホンダ「N-BOX Custom」といったモデルでも採用される事例が見られるようになりました。
一方、LEDのウインカー自体は急速に普及しましたが、流れるウインカーはLEDの普及と比例して採用事例が増えているわけではないようです。
理由のひとつは、コスト面にあります。省電力かつ高輝度のLEDを採用するメリットは少なくありませんが、「流れる」ようにすることで、通常よりも多くの制御装置が必要になり、より多くのコストが必要となります。
そのため、多くの車種に積極採用されるわけではなく、高級ブランドや上級グレードなどに限定して採用されていることが多いようです。
また、デザイン上の理由もあるようです。現行法では流れるウインカーは内側から外側へと流れるものしか認められていないため、必然的に横型のデザインとなります。
もちろん、N-BOX Customのように軽自動車の採用があるため、必ずしも横幅の大きなクルマにしか適さないわけではありません。
しかし、追加の制御装置や排熱のための空間的余裕を考慮すると、ある程度横幅の広いモデルのほうが適しており、結果として、ボディサイズの大きい高級モデルなどでの採用事例が増えると考えられます。
では、軽自動車初となった「流れるウインカー」をN-BOXカスタムに採用した理由とはどのようなものなのでしょうか。ホンダは次のように説明しています。
「『N-BOX Custom』のデザインコンセプト『セレブリティスタイル』に合わせて、内外装に上質な装備を揃えています。
『Custom』をお選びいただくお客さまのなかには、上のクラスから乗り換えられるダウンサイザーの人も多いです。
それらの上質志向のお客さまにもご満足いただけるように、高級車でも取り入れられている『シーケンシャルターンシグナルランプ』を採用しました」
■流れるウインカーは印象が良くない? ユーザー感情も理由のひとつ?
流れるウインカーが爆発的に普及しない背景として、前述のコストやデザイン上以外の要因もあるようです。
自動車業界関係者は、次のように話します。
「グローバルで見れば、アウディはLEDを活用したライトデザインに定評があるブランドで、流れるウインカーを採用したのも先進的なアイデアといえます。
一方、流れるウインカー自体は、日本国内でも、トラックなどを中心に見ることができました。しかし、それらはあくまで違法改造でした。
2014年の法改正で、諸外国と足並みを揃えるという狙いのもとで、流れるウインカーが日本国内でも認められるようになりましたが、合法化されても『違法改造』のイメージが根強く残っているユーザーも少なくないようです」
軽自動車では初となる流れるウインカーを採用したホンダ「N-BOX Custom」
また、SNSでも流れるウインカーには賛否両論あるようで、好みは人それぞれのようです。
流れるウインカーには、視認性に優れるといった、合理的なメリットも多くあります。
また、各メーカーの技術レベルが均一化してきた現代では、デザインが差別化の大きな要素であり、ウインカーやライトはまだまだデザインの余地が多く残されているといわれています。
流れるウインカーが合法化された今、「違法改造」というイメージは年々薄れていくと考えられ、流れるウインカーを採用する車種は、今後緩やかに増えていくのではないでしょうか。
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