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カスタム費用4500万円以上! 旧くて新しいポルシェ「911」とは

くるまのニュース / 2021年5月11日 11時10分

クラシックカーをレストモッドするのが流行っているが、それはポルシェも例外ではない。1989年に登場した964型「911」をさらにクラシックな911風に仕立て、最新技術を惜しみなく投入した驚愕の1台を紹介しよう。

■外観はクラシックに、中身は最新にアップデート

 2016年、自動車デザイナーであるアダム・ホーリー氏によって、イギリス・オックスフォードシャーを拠点に設立されたテオン・デザイン(Theon Design)。この会社は空冷エンジンを搭載したポルシェのオーダーメイドやフルレストアをメインの業務としておこなっている。

 今回紹介するテオン「HK002」は、そのネーミングからも分かるように、香港のポルシェオーナーからの依頼を受けて製作された2台目のモデルだ。

 もともとホーリー氏は、クラシック・ポルシェに、最新のテクノロジーを活用することで、現代のスポーツカーを凌ぐ走行性能を与えたい、と考えていた。

 はじめて製作したプロトタイプは、「911SC」をベースに、993型「911」のパワーユニットを搭載したものだったのだが、それが高評価を得たために、テオンデザインを設立したという経緯がある。そしてホーリー氏の息子であるテオ君にちなんで、「テオン」と名付けられた。

 HK002のベースとなっているのは、非常に人気が高く中古車市場価格も高騰中の964型911である。

 このクルマをベースとして、まずデジタルスキャニングによってボディ各部をモデリングし、964の純正ワイドボディからインスパイアされたオリジナルのボディワークのための型を製作。その型を元に、手作業でパネル類が仕上げられている。

 さらに、バンパーやスポイラー類は、F1サプライヤーが製作したものを装備している。テオン・デザインの本拠地であるオックスフォードシャーは、「モータースポーツバレー」と呼ばれるイギリスのモータースポーツ産業が盛んな地域。そうした関係もあって、オーナーの依頼があればフルカーボンでのボディ製作も可能となっている。

 エンジンは3.8リッター水平対向6気筒自然吸気で、6基の独立スロットルの装備に加え、クランクまわりの重量バランス改善とマーレー社製ピストンの採用、カムシャフト交換などのNAメカチューンがおこなわれている。

 最高出力は376ps、最大トルクは406Nmを発揮する。

 トランスミッションは、993型911用のG50型6速MTをリビルドしたものを搭載。これは964型「カレラRS」よりもローマウントされることから、低重心化にも貢献している。サスペンションは、減衰力をバンプ側とリバウンド側でそれぞれ独立して調整可能なKW社のバージョン3車高調を装備する。

 さらに、オリジナルの964では、エンジンの上部後方にセットされていたパワーステアリングユニットとエアコンユニットを、テオン・デザインではフロントの底部に移設。それらのユニットは現代的な高効率のものに換装されているため、重量バランスの改善とともに軽量化にも貢献している。

 車両重量は、燃料満タン状態で1248kg。オリジナルの964の車重が1350kg、軽量化されたカレラRSの車重が1230kgであったことを考えると、現代的な装備を省くことなくかなり頑張ったダイエットだということが分かるだろう。この軽い車重は、走りの楽しさを実現する大きなポイントになる。

■カスタム費用は4500万円!

 テオン・デザインがデリバリーするクルマは、すべてがオーダーメイドとなっている。そのため、インテリアはオーナーの好みが色濃く反映されたものとなっている。

徹底した軽量化を進めながらも、ドアミラーは懐かしいデザインのアルミビレットとするなど、ヒューマンフレンドリーなテイストを残している徹底した軽量化を進めながらも、ドアミラーは懐かしいデザインのアルミビレットとするなど、ヒューマンフレンドリーなテイストを残している

 HK002では、レカロ社製のシートはセミアニリングリーンをベースに、イエローストライプを入れたレザー仕上げとなっている。コンソールやドアにはカーボン製パネルが採用され、センターマーク付きのナルディ・クラシックは特注品だ。

 そのほかダッシュボード後部には、マグネット式のワイヤレスチャージャーが装備されており、スマートフォンをセットするとサウンドシステムのコントロールやナビとして活用ができるようになる。また、走行中は隠れているが、リバースギアにシフトをセットするとパネルが反転してバックカメラ用スクリーンが現れるというギミックも採用されている。

 最新のエアコンを装備しながら、あえてヒーターコントロールノブをケーブル式とすることで、マニュアル操作の味を残したり、徹底した軽量化を進めながらも、ドアミラーは懐かしいデザインのアルミビレットとするなど、単に現代風・高性能にするのではなく、ヒューマンフレンドリーなテイストを残しているのが、テオン・デザインの特徴といえるだろう。機械的に優れているのは当然だが、相棒と呼べるクルマづくりをしているところに、テオンデザインの魅力があるのだ。

 テオン・デザインに車両製作を依頼する場合には、ベースとなる車両を用意した上で、製作費を用意する必要がある。その費用は、30万ポンド(約4500万円)から。

 製作日数は18か月とのことなのだが、おそらくは二度と味わえないであろう空冷高性能エンジン車を、将来にわたってストレスなく味わい尽くすことができる、ということを考えたとき、テオンデザインに制作を依頼するというのも、選択肢のひとつとなるのではないだろうか。

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