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じつは隠れた名車だった!? 1代限りで消滅してしまった車5選

くるまのニュース / 2021年5月2日 6時10分

毎年たくさんの新型車が登場しますが、なかにはモデルチェンジされることなく絶版となったクルマもたくさん存在します。1代限り消えてってしまったクルマのなかから、実力派のモデルを紹介します。

■1代で消滅してしまっても、じつはチャレンジングなモデルだった!?

 クルマの技術は日々進歩しています。新しい技術を活かし、商品力の向上を目的にクルマは登場から4年から6年を過ぎたころにフルモデルチェンジを実施し、新型へと代替わりします。

 しかし、すべてのクルマが順調にフルモデルチェンジするわけではなく、思うように販売が伸びず、残念ながら絶版となってしまうことも多々あります。

 2代、3代と続いたクルマはまだ良いほうで、1代限りで消滅してしまうクルマも決して少なくありません。

 だからといって、1代限りのクルマがダメなのかというと、そうともいえません。たまたま時代にあわなかっただけだったり、あるいは強力なライバル車が存在したりと、販売が不振だった理由はさまざまですが、ヒットモデルに勝るとも劣らない性能や使い勝手を誇るクルマも数多く存在します。

 そこで、惜しくも1代限りで絶版となってしまったクルマのなかから、隠れた名車ともいえるモデルを5台ピックアップして紹介します。

●ホンダ「ジェイド」

 3列シートの6人乗りミニバンとして2015年に登場したのがホンダ「ジェイド」です。かつてホンダが販売していた250ccのバイクと同名で、宝石の「翡翠(ヒスイ)」を意味します。

 ジェイド最大の特徴は、セダン並みの低全高でミニバン並みの居住性と利便性を実現したことです。

 全長4650mm×全幅1775mm×全高1530mm(前期型)とワイド&ローなプロポーションで、機械式の立体駐車場に多い全高1550mm以下という条件をクリアしている数少ないミニバンでした。

 販売の主力だった1.5リッター+モーターを搭載するハイブリッドモデルは、重量物であるバッテリーを車体中心近くに配置することで旋回性能が高められ、さらに3か月遅れで投入された1.5リッターターボは2.4リッター自然吸気並みのパワフルさが魅力です。

 なかでも特別なシャシセッティングを施された「RS」グレードは、見た目も走りもスポーティでした。

 2列目シートが独立したキャプテンシートを採用したこともジェイドの特徴のひとつ。ホイールハウスを避け、斜め後方へ大きくスライドさせる「Vスライドキャプテンシート」を採用し、170mmものスライド量を実現しています。

 2018年のマイナーチェンジでは、3列目シートを廃止し2列目シートを3人掛けとしたステーションワゴンモデルを追加するとともに、安全運転支援システム「ホンダセンシング」が全車標準装備になりました。

 しかし、大掛かりなテコ入れも力及ばず。高めの価格設定やワゴンともミニバンともつかない曖昧なキャラクターが原因か、ひとつひとつの要素を見ると実力派のクルマにもかかわらず、極度の販売不振から2020年7月をもって販売を終了しました。

●日産「ティーダ」

 これまでのコンパクトカーにはない高いクリティを持つ新型車として、2004年に日産が発売した「ティーダ」。

 全長4205mm×全幅1695mm×全高1535mm(前期型FF)という、最新の「ノート」よりわずかに大きいコンパクトな5ドアハッチバックです。

 インテリアはソフトな素材をふんだんに使うとともに、素材の組み合わせにこだわることで高い質感を実現。前席には大型セダンの「ティアナ」と同等サイズのシートが用いられ、後席には240mmものロングスライド機構を導入。

 いちばん前にセットすればステーションワゴンの「ウイングロード」並みの荷室長を、いちばん後ろにすれば大型高級車「シーマ」並みのニースペースを確保することができます。

 エクステリアは「スペーシャス&スパイシー」をテーマに、居住空間を重視したロングルーフにキャビンフォワードを採用し、スクエアなフォルムながらもディテール処理により躍動感を演出。また、上級車種と同レベルの塗装品質もセールスポイントのひとつでした。

 搭載されるパワーユニットは1.5リッターガソリンと1.8リッターガソリンで、どちらも新開発で、中低速域のトルクや燃費も環境性能が向上しています。

 トランスミッションはCVTを中心に、1.5リッターの廉価グレードと4WDモデルは4速ATを搭載し、1.8リッターには6速MTも設定されていました。

 世界戦略車でもあるティーダは発売から3年半で世界での販売台数100万台を突破。海外では2代目、3代目へとモデルチェンジを果たしましたが、日本では初代限りで絶版となっています。

 日本でも3年半で30万台近くを販売したヒット作ではあるのですが、世界戦略車らしく2代目以降は日本の5ナンバーサイズにとらわれないワイドなボディへと進化したため、日本国内での需要は見込めないとの判断が下されたようです。

●マツダ「ベリーサ」

 マツダ「ベリーサ」は2004年から2016年までの12年間販売されたロングセラーモデルです。2代目「デミオ」をベースとするコンパクトカーながら、上質なデザインと丹念な造り込みによる高い質感を特徴とする、小さな高級車に仕立てられています。

 エクステリアは伸びやかなラウンドシェイプを基本に、面の張りやコントラストを強調することで上質感や高密度感を演出。全長3975mm×全幅1695mm×全高1530mmというコンパクトサイズを感じさせないスマートなたたずまいを実現しています。

 インテリアもまたラウンドシェイプを基調とし、広がりとくつろぎを表現。このクラスでは珍しくレザーシートやウッド調パネルなど高級車の装備が用意されていました。

 搭載されるエンジンは、1.5リッターガソリンのみ。最高出力は113馬力と決してハイパワーではありませんが、アクセル操作に対するレスポンスが素早く意に沿った加速が得られ、気持ち良く運転することができます。

 注目すべきは静粛性の高さです。シャシやサスペンションからの振動を低減するとともに、風切り音が発生しづらくなるようにAピラーの形状にも配慮。さらには各部の遮音性を向上させることでエンジン音などが車内に侵入することを防いでいます。

 ベリーサ以前にも他メーカーが何度かチャレンジしたものの、小さな高級車というジャンルはなかなか日本に根付きません。

 そのなかでベリーサは、デビューから7年目の2010年までは年間販売台数が1万台を超えるという奮闘を見せました。

 しかし、2011年に販売は大きく落ち込み、2014年に登場した4代目デミオ(現行マツダ2)」がプレミアム感を持ち合わせたこともあり、ベリーサは2016年3月に販売を終了しました。

■スズキと三菱の意欲作だったモデルとは?

●スズキ「キザシ」

 軽自動車やコンパクトカーを得意とするスズキがはじめて開発したミドルクラスの4ドアセダンが、2009年に発売された「キザシ」です。

 車名には、世界の市場に向けて新しいクルマ作りに挑戦する「兆し」という意味が込められました。

 スズキのコンパクトカー「スイフト」などに通じる塊感のあるスタイリングのため小振りに見えますが、実際は全長4650mm×全幅1820mm×全高1480mmと堂々たるサイズ。

 欧州車でいうDセグメントにカテゴライズされ、当時のメルセデス・ベンツ「Cクラス(W204前期型)」よりひと回り大きいほどでした。

警察車両でおなじみ!?のスズキ「キザシ」警察車両でおなじみ!?のスズキ「キザシ」

 日本仕様はワングレードの高級仕様のみ。シートは本革が標準で、運転席は10ウェイ、助手席は4ウェイのパワーシートが備わります。

 インパネにはサテンメッキの装飾が施されたり、スズキ初の9エアバッグが標準になるなど、フラッグシップらしい装備にあふれていました。

 パワーユニットは2.4リッターガソリンで、型式こそSUVの「エスクード」と同じですが、大幅にリファインされて最高出力は188馬力にも及びます。

 海外仕様には6速MTも用意されましたが、日本ではCVTのみ。唯一選べたのが駆動方式で、FFと4WDがラインナップされました。

 前ストラット×後マルチリンクのサスペンションはもちろんシャシまで完全新設計と意欲作ではありましたが、残念ながら販売は振るわず2015年末に販売終了。

 約6年の販売期間での登録台数は3500台に届かず、しかもそのうちの4分の1以上がパトカー(覆面も含む)として警察に納入されているため、一般車両はかなりレアな存在となっています。

●三菱「アイ」

 三菱「i(アイ)」は、曲線を多用した丸っこいスタイリングが目を惹く軽自動車です。開発は2001年からスタートしましたが、発売に至ったのは2006年のこと。開発期間の短縮がトレンドな昨今と比べると、5年というのはたっぷり時間をかけての開発といえるでしょう。

 それだけに斬新なのは見た目だけにとどまりません。新設計のシャシは、後輪の車軸上にエンジンを配置する「リア・ミッドシップ」レイアウトを採用。タイヤを四隅ギリギリに配することで、2550mmもの超ロングホイールベースを実現しています。

 これはホンダ「フィット」(現行モデル)を上回る数値で、軽自動車としては驚くほど広々とした室内空間を確保しました。

 45度傾けてリアミッドに搭載されたエンジンもまた新開発。アルミ製シリンダーブロックを採用する660ccターボで、MIVEC(連続可変バルブタイミング)が備わります。遅れてノンターボ版も追加されましたが、ターボが64馬力なのに対し、ノンターボは52馬力とややおとなしめです。

 前後重量配分に優れるリア・ミッドシップに加え、軽自動車としては大径の15インチタイヤを履くこともあり(前後異径)、走りは軽快感と安定性のバランスがとれています。

 アイはほとんどの部分を新規に開発したという三菱の力作で、数々の賞を受賞しました。しかしながら、月間目標販売台数を超えられたのは最初の2か月だけと苦戦。マーケットには受け入れられず、2013年9月に販売を終了しました。

 ちなみに、三菱はアイのガソリンエンジンをモーターとバッテリーに変えた「i-MiEV(アイ・ミーブ)」を、世界初の量産電気自動車として2009年に発売。こちらは2021年3月まで生産されていました。

※ ※ ※

 どれも新しいチャレンジをしているクルマばかりですが、残念ながら市場に受け入れられず、1代限りで終焉を迎えてしまっただけで、人気車に対して性能が劣るわけではありません。

 むしろ果敢な挑戦は評価されるべきことで、今後あらためて再評価される可能性は十分にあります。常識的な相場で中古車を購入できる今がチャンスなのかもしれません。

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