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1700万円で販売中! AMGのワイドボディはバブル期最強の1台

くるまのニュース / 2021年5月15日 8時30分

バブル当時、フェラーリと同等かそれ以上の近寄りがたいオーラを放っていたAMG。30年以上の時を経たいま、AMGジャパンでワイドボディ化された個体に価値はあるのだろうか。

■高級車が日本から流出するには訳がある

 海外マーケットでは、「日本で販売され、日本で使用されていたクルマは程度がいい」といわれている。それはなぜか。

 ポイントはいくつかある。たとえば、走行距離。多くの場合、ヨーロッパやアメリカで使われていたクルマと比較すると、日本で走っていたクルマは年式のわりに走行距離が少ない。日本では1年間で1万km走っているというのが、中古車を見るときの基準となっている。つまり、新車登録から10年経ったクルマは、10万kmが目安となっているわけだ。

 ところが、ヨーロッパやアメリカでは、1年間で数万km走行するのは普通の使い方である。10年落ちなら20万km、30万km走っているクルマは普通である。

●1986 メルセデス・ベンツ「500 SEC 6.0 AMG ワイドボディ」

 クルマは、走行距離が増えると、サスペンションやブレーキといったパーツが消耗してしまう。こうした交換できるパーツに関しては定期的にメンテナンスをおこなうことは可能だ。

 しかし、クルマでもっとも重要なボディがヤレてしまい剛性が落ちてしまうことに関しては対処のしようがない。もちろん、外せるパーツをすべて外したホワイトボディ状態にして、スポット溶接を増し打ちするなどすれば、ボディを蘇らせることもできなくはない。しかし、そこまで手を掛けお金を掛ける人は、ごくごくわずかである。

 また、日常の使い方も日本のほうが丁寧だ。ヨーロッパの大都市では、駐車に際して車間を詰めて停めるため、クルマを出す際にはバンパーで前後のクルマを押して隙間をつくって発進するという話を聞いたことがある人もいるだろう。

 現代ではこのような光景はほぼ見られなくなったが、今から20年ほど前に訪れたミラノで、路駐しているクルマが前後のクルマにバンパーをぶつけて押している光景を見たことがある。

 日常的にこのようにクルマが使われていれば、外装などクルマの状態は悪くなる一方だ。

 また、日本では月に一度はワックス掛けを欠かさないという人も珍しくなく、さらに車検制度も相まって、メンテナンスがいき届いている個体が多いようだ。

 こうしたことから、海外マーケットでは日本で使われていたクルマの評価が高くなっているのだ。それは海外の有名オークションに日本市場にデリバリーされたクルマが、数多く出品されていることからも容易に想像できる。

 今回、RMサザビーズオークションに登場したメルセデス・ベンツ「500SEC 6.0 AMG」は、日本からアメリカ・フィラデルフィアに送られたものである。

■AMGジャパンで正規に製作されたクルマは価値があるのか?

 もともと出品車両のW126型「500SEC」は、ヤナセがドイツから輸入し、1985年9月に販売され登録された1986年モデルだ。ここで注意すべきは、「AMG 6.0 SEC」ではなく、あくまで最初は500SECであったということである。

●1986 メルセデス・ベンツ「500 SEC 6.0 AMG ワイドボディ」

AMGジャパンでワイドボディ化され、エンジンも6リッター化された「500 SEC」(C)2021 Courtesy of RM Sotheby'sAMGジャパンでワイドボディ化され、エンジンも6リッター化された「500 SEC」(C)2021 Courtesy of RM Sotheby's

 詳細ははっきりとはしていないが、このクルマを手に入れたオーナーは、おそらくAMG好きだったのだろう。いつのことかはわからないが、500 SECをAMGジャパンに持ち込み、AMG仕様の製作を依頼したと考えられる。

 というのもこのクルマは、装備やバッジに、AMG純正とは違うポイントがいくつかあるからだ。

 搭載されているエンジンは、ヨーロッパ仕様の5.5リッターV型8気筒「204」ユニットをベースとした、6.0リッター仕様で、各気筒4バルブとなっている。マフラーはセブリングが製作した、AMG by Sebringが装備されている。

 エクステリアのエアロパーツは、AMGのジェネレーション2ワイドボディで、ボディカラーはパールホワイトを採用している。

 インテリアはパールウッドを基調としたものとなっていて、ステアリングはナルディ製、シートは電動調整機構付きのレカロCSE、ヘッドユニットはアルパイン製のCDシステムとなっている。

 さらに、オーディオをアップグレードしたことも関係あるのかもしれないが、エンジンルーム内に、アース線の増設もされている。

 ホイールは、当時のAMGの定番であった5スターディッシュデザインだが、純正AMGが16インチだったのに対し、17インチサイズとなっている。ただブレーキに関しては、500SECの純正ブレーキシステムがそのまま使われている。

 そのほか付属品として装備されていた日本語のマニュアルとAMGのオーナーズマニュアル、純正車載工具やジャッキ、ファーストエイドキットなども完備。スペアタイヤもそのまま使える状態で積載されている。

 インテリア、エクステリアともに上々のコンディションを保ち、走行距離は7万3400kmあまり。1986年モデルということを考えると年平均2000kmほどしか走行していないことになる。

 RMサザビーズオークションでは15万−17万5000ドル(邦貨換算約1630万−1900万円)というエスティメートを掲げていたが、どうやら流札となり、現在15万5000ドル(邦貨換算約1690万円)で継続販売中のようである。

 当時の「AMG6.0SEC-4V」の新車価格は2500万円くらいだったと思うのだが、AMG仕様のクルマで1690万円とは、いかにこの当時のAMGに人気があるかという裏付けにもなったようだ。

 AMGがメルセデス・ベンツ傘下の企業となったいま、こうした見るからに極悪仕様のAMGは、もはや望むべくもない。まして日本で大切にされ、内外装ともに美しい状態の個体ならばなおさらであろう。

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