なぜ三菱は「ラリーアート」を再始動? モータースポーツ効果で三菱復活に期待
くるまのニュース / 2021年5月11日 19時40分
2021年5月11日におこなわれた三菱自動車の2020年度決算会見で、モータースポーツ部門「ラリーアート」の復活が発表されました。なぜ三菱は、ラリーアートを再始動させるのでしょうか。
■ついに三菱の「ラリーアート」が復活!
驚きました! 三菱自動車が2020年度の決算会見でラリーアートの復活を明言した。ラリーアートはスバルでいえば「STI」、日産の「NISMO」のようなモータースポーツ部門です。
ラリーアートのブランドイメージは依然として世界規模で根強く、ヨーロッパにも東南アジアにも大洋州にもラリーアートを名乗る三菱自動車直系の組織が残っています。
実際、私(国沢光宏)のラリー仲間であるニュージーランドのブライアン・グリーン選手のラリー車(現行ミラージュ)にもラリーアートのステッカーを貼ってある。
もちろん三菱自動車の本社は、ラリーアートという名称が海外で生き残っていることに対して強い強い嫌悪感を持っていた。モータースポーツ嫌いだった三菱自動車の益子前社長への忠誠です。
逝去された益子前社長は潔いくらい徹底的にモータースポーツを嫌っており、「ランサーエボリューション」の復活計画の記事など出ると、担当部署に開発していないことを確認するほどだったという。
三菱自動車がサファリラリー以後、WRCやパリダカールラリーでブランドを構築したことを考えると180度の方針変更だったように思う。
なぜ益子さんがモータースポーツを徹底的に嫌っていたのか理由を聞き損ねたものの(以前インタビューしたとき、電気自動車以外は参戦する気がないと明言されました)、三菱自動車を危機的な状況から立て直した益子さん唯一の失策だったと私は思うし、生前からそう書いてきました。やはりモータースポーツ無しで自動車メーカーは元気になれない。
ということを、益子さんにかわって三菱自動車の社長に就任した加藤さんに質問したことがあります。
加藤さんは、「インドネシアにラリードライバーの知り合いがいます。ミラージュをパワーアップしたモデルとか作ったらいいね、という声も出ているんです。やはりモータースポーツは元気が出る。三菱自動車の原点のように思います」とコメント。
続けて「最近パリダカで勝って興奮していた若い頃の会社を思い起こすんです。数日前もパリダカで優勝した経歴を持つ社員ドライバーである増岡さんの隣に乗って感動したし、ランサーエボリューションVIIIに乗って楽しかった」と。
このインタビューは2020年11月におこなったのですが、そして今回の復活宣言というわけです。どうやら言葉だけではなかったようだ。
■将来的にはモータースポーツにも参戦か!?
今回の決算発表では「ラリーアートというブランドを復活させる。当初はスポーツパーツの販売などをおこなう。将来的にモータースポーツへの関与も考えている」といったレベルだったものの、むしろいままで強く踏んでいたブレーキを離した効果が驚くほど大きいと考えます。日本より世界規模でラリーアートは復活するに違いない。
11年ぶりにラリーアート復活を明言した三菱
現在進行形で「ミラージュ」や「トライトン」(タイ生産のピックアップトラック)を使ってラリーなど競技に出ている人達がいる。
三菱自動車のファンだったり、三菱自動車のディーラーだったりと、組織や規模はさまざまですが、ここに三菱自動車本体から「やってよい!」というお墨付きが与えられるというわけだ。三菱自動車にはモータースポーツ好きがたくさんいます。
おそらく最初は小さい規模だと思う。けれど成果が出たら、そこで元気も出てくる。元気が出たらクルマも売れ始めるだろう。三菱自動車本体が大きな予算を付けなくても、動きは出てくるに違いない。
加藤さんは素晴らしい判断をしたと思う。喝采を送りたいです。元気な三菱自動車を見られる可能性が出てきました。
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