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ついに「ラリーアート」が復活! ラリーアート・チューンの三菱車3選

くるまのニュース / 2021年5月12日 16時10分

三菱は2021年5月11日におこなわれた2020年度決算説明会で、同社のモータースポーツ部門といえる「ラリーアート」の復活について明言しました。そこで、かつて販売されたラリーアートの名を冠したモデル3車種をピックアップして紹介します。

■三菱のラリーアート・モデルを振り返る

 1990年代から2000年代初頭にかけて、各メーカーとも盛んにモータースポーツへの参戦や、ユーザーによるモータースポーツ活動の支援をおこなっていました。

 そうした背景から各社ともモータースポーツ活動のための部門や別会社を立ち上げ、ブランドにまで発展し、市販車向けにもパーツを開発したり、コンプリートカーの製作までおこなうようになります。

 現在では日産が有する「NISMO」や、トヨタの「GAZOO Racing」などが代表的な存在ですが、三菱も1984年に関連会社として「ラリーアート」を設立。

 その後、三菱はパリ・ダカールラリーやWRCなどに本格参戦し、ラリーアートはモータースポーツ活動のサポートをおこない、さらに市販車用チューニング/カスタマイズパーツの開発と販売を担いました。

 しかし、三菱のモータースポーツ活動は2005年のWRC撤退を期に縮小され、ラリーアートも2010年には実質的な活動を終え、ブランドの名を使ったグッズも2018年以降は見られなくなります。

 ところが、2021年5月11日におこなわれた2020年度決算説明会で、三菱はラリーアートの復活を明言。

 まずは三菱車向けにラリーアートブランドの純正アクセサリーの設定から開始し、モータースポーツへの関与も検討しているともアナウンスされました。

 そこで、ラリーアート復活を記念して、かつて販売されたラリーアートの名を冠したモデル3車種をピックアップして紹介します。

●ランサー ラリーアート

マイルドな高性能モデルに仕立てられた「ランサー ラリーアート」マイルドな高性能モデルに仕立てられた「ランサー ラリーアート」

 三菱の高性能モデルというと2016年に販売を終了した「ランサーエボリューション」が真っ先に思い浮かびますが、もともと歴代ランサーにはスポーティなモデルが伝統的に設定されてきました。

 1973年に誕生した初代ランサーのトップグレード「1600GSR」には1.6リッター直列4気筒SOHCの「4G32型」エンジンに、ツインキャブレターを装着して国内外のラリーで活躍。

 さらに2代目では、1980年にターボエンジンを搭載した「ランサーEX 1800GSRターボ」が発売され同じくラリーに参戦し、その後のランサーもスポーティグレードがラインナップされます。

 そして国内モデルとしては最後となった6代目では、2004年に「ランサー ラリーアート」が登場。

 ボディはセダンとステーションワゴンがあり、エンジンは1.8リッター直列4気筒DOHC GDIターボを搭載し、最高出力は165馬力を発揮します。

 また、駆動方式はFFの2WDでトランスミッションは4速ATのみとされるなど、かなりマイルドな性格のモデルといえ、あくまでも高性能モデルの本流はランサーエボリューションという位置付けです。

 一方、スポーティな専用セッティングのローダウンサスペンション(15mm車高ダウン)、フロントストラットタワーバーの追加、16インチタイヤ&専用アルミホイール、エアロフォルムの前後大型バンパー、前後&サイドエアダム、レカロ製フロントシートなど、本格的な装備が奢られています。

 その後、2005年のマイナーチェンジでフロントフェイスが一新されましたが、2007年にラリーアートが廃止され、2010年にランサーの長い歴史は幕を閉じました。

●ギャランフォルティス ラリーアート

デチューンされた「ランエボX」と言っても過言ではない「ギャランフォルティス ラリーアート」デチューンされた「ランエボX」と言っても過言ではない「ギャランフォルティス ラリーアート」

 前述のランサーエボリューションは、2007年に発売された「ランサーエボリューションX」をもって消滅してしまいました。

 この最後のランサーエボリューションのベースとなったのが、2007年に発売された「ギャランフォルティス」です。

 そして、ランサーエボリューションとは異なるアプローチの高性能モデルとして2008年に「ギャランフォルティス ラリーアート」がデビューしました。

 エンジンはランサーエボリューションXにも搭載された2リッター直列4気筒ターボ「4B11型」で、扱いやすさを重視したチューニングによって最高出力240馬力を発揮。

 トランスミッションは「ツインクラッチSST」(DCT)のみとされ、駆動方式はフロントヘリカルLSD+「ACD」(アクティブセンターディファレンシャル)+リア機械式LSDで構成される、3つの走行モードを選択可能としたフルタイム4WDを採用。これらドライブトレインもランサーエボリューションX譲りです。

 外観は専用デザインのフロントバンパー、ダクト付きのアルミ製ボンネットフード、デュアルマフラーなどが装着されましたが、派手なエアロパーツは装着されず、シックな雰囲気の高性能車といった佇まいに仕立てられていました。

 ランサーエボリューションXの存在があったため、ギャランフォルティス ラリーアートはあまり注目されませんでしたが、ジェントルなスポーツセダンとして高評価を獲得。

 しかし、2015年にギャランフォルティスは生産を終了し、46年も続いたギャランの長い歴史は終焉を迎えました。

 なお、5ドアハッチバックの「ギャランフォルティス スポーツバック」にも、同様にラリーアートグレードが設定されました。

■まさに「ラリーアート」チューンといえるコンパクトカーとは?

●コルト ラリーアート バージョンR

かなり本格的に作り込まれていたホットハッチの「コルト ラリーアート バージョンR」かなり本格的に作り込まれていたホットハッチの「コルト ラリーアート バージョンR」

 三菱の現行ラインナップでコンパクトカーというと2012年に発売された6代目「ミラージュ」ですが、2000年に5代目をもって一旦は販売を終えています。

 このミラージュの実質的な後継車として2002年に「コルト」がデビュー。1.3リッターから1.5リッターエンジンを搭載する、ベーシックなグローバルコンパクトカーとして開発されたモデルです。

 その後、2004年のマイナーチェンジで、ショートワゴンの「コルトプラス」の誕生と同時に、147馬力を発揮する1.5リッター直列4気筒DOHC MIVECターボエンジンを搭載した「コルト ラリーアート」と「コルトプラス ラリーアート」が設定されました。

 両モデルは高性能グレードという位置付けで、カスタマイズされた内外装に、専用チューニングしたサスペンションと電動パワーステアリング、4輪ディスクブレーキなど装着されるなど、パワフルなエンジンに見合うシャシチューニングが実施されていますが、トランスミッションはCVTのみとマイルドな印象です。

 ところが、三菱はさらにチューニングしたモデルを用意しており、2006年に「コルト ラリーアート バージョンR」が発売されました。

 外観はフロントスポイラーやディフューザー形状のリアバンパー、エアアウトレット付きのボンネット、樹脂製オーバーフェンダー、ルーフスポイラーなどが装着され、より戦闘的なフォルムに変貌。

 エンジンは最高出力154馬力を発揮する1.5リッター直列4気筒ターボを搭載し、組み合わされるトランスミッションは5速MTとCVTが設定されていました。

 シャシもさらに強化され、各部に施されたスポット溶接の増し打ちと補強により、ねじり剛性はベースに対して約30%向上。足まわりも強化スプリングの装着やショックアブソーバーの減衰力アップに、ステアリングのギア比をクイック化することで、優れたコーナリング性能を発揮しました。

 また、乗車定員も5名から4名にするなど、生粋のホットハッチとしての性格を明確にしています。

 コルト ラリーアート バージョンRはかなり本格的につくり込まれていたチューニングモデルといえますが、2012年にコルトの生産終了をもって姿を消してしまいました。

※ ※ ※

 ラリーアートの復活は三菱ファンにとって朗報でしょう。今回の決算報告では2期連続の最終赤字と芳しい状況ではありませんが、こうした取り組みはファンへのアピールだけでなく、社内のモチベーションにも良い影響を及ぼします。

 かつて三菱はスバルやトヨタ、ランチアとWRCで戦うことで高性能な市販車をつくり、それがブランドイメージ向上にも繋がりました。

 三菱のラインナップから高性能車が消えて久しいですが、再びラリーアートブランドの名を冠したモデルの登場や、モータースポーツへの復帰が実現されれば、高性能車の復活も現実味を帯びるのではないでしょうか。

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