さすがにハードルが高かった? 先代を越えられなかったモデル5選
くるまのニュース / 2021年5月15日 6時10分
これまで販売されたクルマのなかには、大ヒットを記録したモデルがあります。大ヒット車はメーカーにとっても大いにありがたいことですが、大変なのが次の世代のモデルではないでしょうか。そこで、大ヒットした先代を越えられなかったクルマを、5車種ピックアップして紹介します。
■偉大な先代を越えられなかったクルマを振り返る
世の中には大ヒットしたクルマがあります。そうしたクルマは単に出来が良いだけでなく、その時代の経済状態やニーズの変化などさまざまな要因が重なって、ヒットに至ったといえます。
ヒット作になるということはメーカーにとってもありがたいことですが、大変なのがその次の世代のモデルです。ヒットしたモデルからキープコンセプトとするのか、それともガラッと一新するのかは悩みどころではないでしょうか。
実際には次世代も大ヒットするケースはあまり多くなく、むしろ評価を落としてしまったモデルも存在。
そこで、大ヒットした先代を越えられなかったクルマを、5車種ピックアップして紹介します。
●日産6代目「シルビア」
性能向上を果たしたもののデザインが不評だった6代目「シルビア」
かつて日産のスペシャリティカーの1台だった「シルビア」は、1988年に発売された5代目が大ヒットし、スポーツカー兼デートカーというイメージを確立しました。
この5代目のヒットを受けて1993年に登場した6代目は、コンセプトは5代目を踏襲していましたが、当時のトレンドだった3ナンバーサイズにボディを拡大。
搭載されたエンジンは、トップブレードに最高出力220馬力を発揮する2リッター直列4気筒ターボが設定され、熟成されたサスペンションセッティングと相まって、走行性能が5代目から格段にアップしました。
しかし、クーペ人気の低迷に加え、スマートな印象だった5代目に対して大型化して丸みを帯びた6代目のボディは、視覚的にスピーディな印象ではなく販売は低迷してしまいます。
そこで、1996年のマイナーチェンジでフロントフェイスをシャープなデザインに一新するテコ入れがおこなわれましたが、販売は伸び悩んだまま1999年に7代目へとモデルチェンジしました。
新車当時は人気がいまひとつだった6代目シルビアですが、走行性能が優れていながら中古車が比較的安いということもあり、生産終了後にチューニングベースとして人気となる皮肉な結果となってしまいました。
●ホンダ4代目「プレリュード」
グローバルでの競争力強化もあって大型化した4代目「プレリュード」
前出の5代目シルビアと人気を二分したデートカーといえば、1987年に発売されたホンダ3代目「プレリュード」です。
ワイド&ローを基調としたシャープなクーペボディに世界初の4輪操舵を搭載するなど、デザインも技術も最先端のモデルとなっていました。
そして、バブル景気末期の1991年に、4代目が登場。ボディサイズは全長4440mm×全幅1765mm×全高1290mmと全車3ナンバーになり、外観の印象もボリューム感がある2ドアクーペへと生まれ変わります。
エンジンは全車2.2リッターDOHCとなり、トップグレードの「Si VTEC」には200馬力を発揮する2.2リッター直列4気筒DOHC VTECエンジンを搭載。4WSも3代目の機械式から電子制御へとグレードアップしました。
しかし、奇しくも6代目シルビアと同じく大型化したボディは不評で、クーペ人気低迷も重なって販売は低迷。
1996年に3代目を彷彿とさせるシャープなデザインの5代目へバトンタッチされますが、もはやクーペのニーズはわずかで、さらに販売が低迷し、2001年に生産を終了してプレリュードの歴史は幕を閉じました。
●マツダ2代目「ロードスター」
コンセプトは変わらずもシャープさに欠けたのが惜しかった2代目「ロードスター」
1989年に発売されたマツダ(ユーノス)初代「ロードスター」は日本のみならず海外でも大ヒットし、世界的に需要が低迷していたライトウェイトオープン2シーターの人気を復活させた立役者です。
そして、1998年に発売された2代目ロードスターは初代からキープコンセプトとされつつも、ボディは前後のデザインが一新され、とくにフロントはリトラクタブルヘッドライトから固定式に変わったことで印象が異なります。
また、エンジンの出力アップやサスペンションセッティングの見直し、シャシ剛性の向上がおこなわれた結果、走行性能は進化。
さらに、2003年には、最高出力172馬力を発揮するシリーズ唯一のターボ仕様「ロードスター ターボ」や、クローズドボディのコンプリートカー「ロードスター クーペ」が登場するなど、初代にはないバリエーション展開がおこなわれました。
こうして、2代目ロードスター確実に進化を果たしたといえますが、初代とくらべて精悍さが弱くなった外観や若干の重量増は否めず、初代を超えるヒット作にはなりませんでした。
現在は初代と3代目の中古車価格が高騰していますが、2代目はそれほどでもなく、ある意味狙い目です。
■空前のヒット作となったその後は厳しい?
●三菱3代目「パジェロ」
RVブームの終焉が大いに痛手となってしまった3代目「パジェロ」
三菱「パジェロ」は1982年に誕生。悪路走破性は「ジープ」に匹敵しながらも快適性も考慮したことで、普段使いできる本格オフロード4WD車として人気を獲得しました。
1991年には2代目となり、フルタイム4WDとパートタイム4WD両方の長所をあわせ持つ、世界初の「スーパーセレクト4WD」を採用。悪路走破性を高めるとともにラグジュアリー性も重視し、1990年代のRVブームをけん引する存在で、大ヒットを記録。
そして、1999年に発売された3代目では、2代目までのトラックと同様なラダーフレーム構造から、より乗用車に近いビルトインフレーム構造のモノコックボディに変更され、高い剛性を保ちながら軽量化も実現し、優れた操縦安定性と乗り心地も向上させました。
ボディは引き続き2ドアのショートと4ドアのロングをラインナップ。エンジンは最高出力220馬力の3.5リッターV型6気筒DOHC GDIと、175馬力の3.2リッター直列4気筒ディーゼルターボを設定。後に3リッターV型6気筒も加わります。
駆動方式は、あらゆる路面状況においても対応可能なスーパーセレクト4WDをさらに進化させた、スーパーセレクト4WD IIにアップデートされました。
装備も充実して全方位が進化した3代目パジェロですが、RVブームの終焉という大きな影響があって、2代目から販売台数は半減してしまい、2006年に4代目にバトンタッチしました。
●トヨタ4代目「プリウス」
燃費では世界一に君臨するもデザインがいまひとつだった4代目「プリウス」
1997年にトヨタ初代「プリウス」が誕生し、世界初の量産ハイブリッド車として革命的な存在となります。しかし、まだハイブリッド車に懐疑的なユーザーも多く、価格も同クラスのモデルよりも50万円以上高額だったことからヒットには至りませんでした。
ところが2003年に2代目が登場するとすべてが進化し、ついにヒット作となります。この2代目からのキープコンセプトとした3代目が2009年に発売されると、エコカー減税やエコカー補助金という後押しもあって、ピーク時は年間31万台以上を販売する空前の大ヒットを記録
そして、2015年には現行モデルの4代目が登場。外観のデザインは、さらなる空気抵抗低減を実現するため「トライアングルシルエット(横から見て三角形に近似している)」の5ドアハッチバックとなっています。
ハイブリッドのメカニズムはもはや円熟の域に達したTHS-IIで、初代から基本構造はそのままながらも徐々に進化してきた結果、軽自動車を含めても国産車燃費トップに君臨。
4代目プリウスの燃費は、当初JC08モードで40.8km/L(Eグレード)を記録しました。
しかし、アクが強いと評された前後デザインはとくに年配のユーザーから敬遠され、2018年12月に前後のデザインを一新するビッグマイナーチェンジを実施。
販売台数は回復しますが、もはや3代目ほどの勢いは潜めてしまいました。ただし、むしろ3代目が異常なまでにヒットした存在で4代目が売れなかったわけでなく、2019年には12万5587台を販売して登録車トップに返り咲きました。
※ ※ ※
最後に紹介した4代目プリウスは2020年に販売台数がほぼ半減してしまいました。コロナ禍の影響もありますが、SUVやコンパクトカーにシェアを奪われたというのが大きく、2021年は月間TOP10に入ることもなくなっています。
とはいえデビューから6年が経とうとしているモデルですから、そろそろ次期型の噂も出始めており、そう遠くない将来に5代目が登場するのは間違いないでしょう。
これまでの歴代プリウスがそうであったように、きっと5代目も自動車業界をアッといわせるほどインパクトのあるモデルとなることに期待します。
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