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充電レーン登場 物流拠点のPA 車線は狭くなる? NEXCO東が描く近未来の高速道路とは

くるまのニュース / 2021年5月26日 17時10分

NEXCO東日本が「次世代高速道路の目指す姿」提示。道路やクルマを取り巻く課題について解決の方向性を整理しまとめています。時代の変化に積極的にアプローチする姿勢が垣間見えるなかで、どのような未来像が見えるか4つ挙げて紹介します。

■課題解決の具体的な方策として並ぶ108の「打ち手」

 このほど、NEXCO東日本がなんとも大胆な“将来事業の方向性”を発表しました。

 今から10年後の2030年代、また20年後の2040年代までの社会変化を捉えて、道路事業者がどう対応するべきかという施策を「新しいモビリティサービス」という観点で取りまとめたのです。

 その内容は、単なる“夢の構想”ではなく、高速道路が現在抱えている様々な課題を解決するための具体的な方策が詳しく描かれています。

 手法としては、次世代の高速道路が目指す姿として次の10の目標を立てています。

(1)安全性:技術の進化により実現する事故ゼロの道路
(2)高速性:拠点間移動での優位性を発揮できる道路
(3)定時制:予定通りの移動・輸送を当たり前にする道路
(4)代替性・冗長性:災害に強く救援につながる道路
(5)結節性:様々な交通手段の組合せで移動の選択肢を広げる道路
(6)快適性:スムーズな移動で車内時間が心地よくなる道路
(7)利便性:使い勝手の良い道路
(8)持続可能性:カーボンニュートラルに貢献する道路
(9)地域融和性:まちに溶け込みまちとともに成長する道路
(10)エンターテインメント性:使うたびにわくわくできる道路(UXの追求)

 これだけでは、なんとなく抽象的な印象を受けますが、今回の発表の特徴はこれら10の目標に対して、具体的に「108の打ち手」を明記し、さらにその中から「31の重点プロジェクト」を決めてプロジェクトの実行を目指すという点にあります。

 重点プロジェクトが実現した場合、どのような課題解決が可能かを、筆者(桃田健史)の考えを踏まえて4つのケースで挙げてみたいと思います。

■SA/PAは「単なる休憩施設」ではなくなる

 サービスエリア/パーキングエリア(SA/PA)で大型車と小型車が混在する仕組みを改め、大型車専用のPAを設置。加えて、高速道路上のバス停などで使っているスペースを拡大することで、コンパクトサイズのPAを設置します。

 また、ダブル連結トラックや、自動運転による隊列走行の形成・解除拠点を新たに設けます。そこではデータ連携によって、ドライバーと車両の空き状況と積荷の種類や行き先をマッチングした物流拠点を新設します。

 通常のSA/PAでの小型車向け駐車マスを確保した上で、駐車マスの事前予約や自動のバレーパーキングの実現を目指し、SA/PAの効率的な利用を実現します。

 さらには、SA/PAに一般道からのバスの発着場やカーシェアの拠点などを設けて、高速バスと一般交通との連携を強化するなど、これまで単なる休憩施設だったSA/PAのイメージを刷新します。

■大雪での立ち往生を絶対に起こさない

 2020年シーズンは、関越道や北陸道で大雪による高速道路上での長時間の立ち往生が発生しました。

 解決策として、道路事業者からは「今後はより早い段階で通行止めの判断をおこなう必要がある」との見解が示されています。

 そのために、徹底した「データ連携」をおこないます。衛星など各種気象観測機器からのデータや車両プローブ情報、過去の事例から気象変化を予測。さらに、通行止めになる前から、一般道路を含めた広域迂回ルートへ誘導します。これは大雪だけではなく、地震など様々な災害へ対応を念頭に置いたものです。

 また、除雪車の自動運転化も進め、遠隔による凍結防止剤散布や除雪プラウ操作などを導入していきます。

■電動車の充電、走りながらでも可能に!?

除雪車の自動運転化も進める。写真はイメージ。除雪車の自動運転化も進める。写真はイメージ。

 電気自動車(EV)の充電設備の拡充も課題となりますが、その解決策として、SA/PAにプラグ接続なしで充電可能な非接触充電の駐車マスを整備します。

 さらに、走りながら充電できる「走行中ワイヤレス給電レーン」についても導入を検討していきます。

 筆者がこれまで取材したところでは、走行中ワイヤレス給電は非接触式のほか、クルマとインフラ設備が走行中に一時的に接触して給電する実証試験が世界各国でおこなわれています。

 例えば、欧州では大型トラックのルーフに電車のようなパンタグラフを装着するタイプがあり、日本ではホンダが栃木県のツインリンクもてぎで、乗用車はフォーミュラカーで基礎実験をおこない、その模様は自動車関連の学会で報告されています。一連の実験装置は現在、ホンダ関連施設とは別の場所に移されており、近未来での社会実装に向けた実験が進んでいます。

■車線が減少し幅員が狭まる可能性

 自動運転が本格化すると、交通量が計画的かつ効率に流れ、最適化していきます。その結果、道路構造のスリム化が可能と考えられています。

 具体的には、車線数の削減、車線幅員の狭小化、また橋梁では走行する車両の過重設計方針を変えて構造をスリム化できるといいます。

※ ※ ※

 これまで高速道路というと、あくまでも“クルマが走るインフラ”であり、道路側から積極的に時代変化にアプローチをかけるというイメージはありませんでした。

 強いていえば、ETCやVICSなど通信サポートの拡充や、サービスエリアのアミューズメント施設の充実化はありましたが、道路全般の“次の一手”については明確な方向性が見えていなかったように思えます。

 そのため、今回の発表内容は、まさに高速道路における“100年に一度の産業革命”という印象を受けます。

 各プロジェクトが今後、確実に実現することを期待したいと思います。

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