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軽自動車は維持費が安いってホント? 小型車との差は年間3万円!? お得なのはどっち?

くるまのニュース / 2021年5月22日 9時30分

昨今は軽自動車が人気で、新車販売の約4割を占めるまでになりました。車両本体価格や維持費が安いといわれていますが、実際はどうなのでしょうか。軽自動車とコンパクトカーの税金や維持費を検証してみました。

■軽自動車 vs コンパクトカー 維持費が安いのはどっち?

 2020年度(2020年4月から2021年3月)に国内で販売された新車のうち、軽自動車が38%を占めました。

 国内の販売ランキングを見ても、上位にはホンダ「N-BOX」、スズキ「スペーシア」、ダイハツ「タント」といった軽自動車が並び、直近の2021年4月では軽自動車比率が40%に達しています。

 ちなみに日本自動車販売協会連合会が公表する数値では、現在の国産車登録台数トップはトヨタ「ヤリス」ですが、このなかにはコンパクトカーのヤリス、SUVの「ヤリスクロス」、スポーツモデルの「GRヤリス」が含まれます。

 少なくともヤリスとヤリスクロスは異なる車種だといえ、登録台数を分割して算出すると1位はN-BOXとなります。

 それにしても、なぜここまで軽自動車の人気が高いのでしょうか。

 その背景には複数の理由がありますが、昔からいわれているのは税金などの維持費の安さです。

 そこで、軽自動車の「N-BOX カスタムL」(176万9900円)と、ホンダのコンパクトカー「フィット 1.3ホーム」(171万8200円)の3年間の維持費を比べてみましょう。

 N-BOX カスタムLの維持費は、軽自動車税/3年分(3万2400円)+重量税/3年分(3700円)+自賠責保険料/37か月分(2万7330円)+リサイクル料金(8840円)+手続代行費用&預かり法定費用概算(5万3300円)+ガソリン代/3万km(20万4000円)+オイル交換/2回分(8000円)+エレメント交換/1回(3000円)+タイヤ交換/1回(3万9000円)。

 N-BOX カスタムLの税金や維持費の合計は37万9570円で、車両価格を含めた総合計は214万9470円です。

 対するフィット 1.3ホームの維持費は、自動車税/3年分(9万1500円)+重量税/3年分(1万1200円)+自賠責保険料/37か月分(2万7770円)+リサイクル料金(9240円)+手続代行費用&預かり法定費用概算(5万3300円)+ガソリン代/3万km(21万6000円)+オイル交換/2回分(1万円)+エレメント交換/1回(3500円)+タイヤ交換/1回(4万6000円)。

 フィット 1.3ホーム税金や維持費の合計は46万8510円で、車両価格を含めた総合計は218万6710円です。なお、両車ともに環境性能割(旧:自動車取得税)は0円となります。

※ガソリン代はWLTCモード燃費で計算。走行距離は3年間で3万km、レギュラーガソリン価格は1リッター当たり145円とします

※手続代行費用などの金額はホンダのホームページに基づく概算で、購入時期や販売会社によって異なります

 N-BOXとフィットの購入費用および3年間の維持費を比較してみると、軽自動車税と自動車税には大きな違いがあります。

 自家用乗用車の場合、軽自動車税は年額7200円から1万800円に値上げされ、1.3リッターエンジン搭載車の自動車税は、年額3万4500円から3万500円に値下げされました。

 そのために差額は縮まりましたが、3年分になるとN-BOXの税額はフィットに比べて5万9100円安くなります。

■事故率が自賠責保険の保険料を左右する!?

 自賠責保険料は、軽自動車も小型/普通車もいまはほぼ同額です。2021年4月に自賠責保険料は値下げされましたが、その下がり方が軽自動車よりも小型/普通車のほうが大きかったためです。

 自賠責保険は社会政策の性格を備えるので、保険料をなるべく安く抑えることが法令で規定されています。

軽の自賠責保険は小型車とほぼ同じ軽の自賠責保険は小型車とほぼ同じ

 利益や損失が生じないようにバランスを取る必要があり、これまでに値上げと値下げを繰り返してきました。

 値上げして保険料を溜めたら、次は値下げして吐き出す。これを繰り返しながら、保険料収入と保険金支出を均衡させるのです。

 自賠責保険も一種の商品なので、値上げと値下げを意図的に繰り返すのは不親切ともいえますが、いまのところこの仕組みになっています。

 ただし2020年度上半期は、コロナ禍によって人の移動が減少したことで事故が減り、2021年4月の改訂は2年連続の値下げになりました。

 なお軽自動車の自賠責保険料は税金と違い、小型/普通車に比べて制度的に安く抑えているわけではありません。保険料収入と保険金支出のバランスに基づいて安くなっているだけです。

 そのために今の軽自動車と小型/普通車を比べると、自賠責保険料の差額が37か月契約でわずか440円に縮まりました。

 20年前の2001年頃の37か月分では、軽自動車は現在と同等の2万7550円でしたが、小型/普通車は3万8450円に達するなど、いまより1万円以上高かったのです。

 近年の小型/普通車は安全装備の充実などによって事故が減り、保険金支出が下がって自賠責保険料も安くなりましたが、これに比べて軽自動車は状況があまり好転していません。

 今後、小型/普通車の保険金支出がさらに減って軽自動車は横這いだと、自賠責保険料が逆転する可能性もあります。

 そのほかの維持費を見ると、N-BOXとフィットでは、あまり差がありません。WLTCモード燃費も同程度なので、ガソリン代もそれほど違いません。

 3年間の税金や維持費の合計は、N-BOXカスタムLが37万9570円、フィット 1.3ホームは46万8510円になり、差額は8万8940円です。このうちの5万9100円は、軽自動車税と自動車税の差額によるものです。

 税金や維持費の合計額を1年当たりの差額で見ると約3万円です。この金額をどのように捉えるかで、軽自動車とコンパクトカーの損得勘定も違ってきます。

 クルマを1世帯に1台だけ所有する場合は「年額3万円の違いならば小型車を選ぶ」と判断するかもしれません。

 しかし公共の交通機関が充実していない地域に住んでいて、1人に1台の割合でクルマを所有する世帯はどうでしょうか。

 1世帯に4台のクルマがあると、1台当たり年額3万円の違いが12万円に拡大します。そうなると軽自動車の安さが際立ちます。

 このような事情から、長野県や鳥取県、佐賀県、島根県、福井県では、10世帯当たり10台を超える軽自動車が所有されています。逆に東京都では10世帯当たり1台を少し上まわる程度です。

 軽自動車は、公共交通機関を利用しにくい地域では、生活に不可欠な移動手段です。従って軽自動車の増税は許されませんが、その実態は、政治や行政の中心地からは見えないようです。

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