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エンジンチェックランプ点灯は酸素が密の証!? クルマのO2センサーで見える化できることとは

くるまのニュース / 2021年6月7日 19時10分

三密を避けるために飲食店などに設置されるようになったCO2センサーは、室内の換気のタイミングを見える化するものだが、クルマに装着されているO2センサーはどのような役割を持っているのだろうか。

■排気ガスに含まれる酸素量でエンジンの燃焼を見える化

 現代のクルマは、環境性能が非常に重要視されるようになった。たとえば燃費性能でいえば、ほんの10年、20年前なら、1リッターあたり10kmも走れば燃費がいいといわれていたが、いまは20km/Lどころか30km/Lでも現実的な数値となっている。

 同様に排気ガスのクリーンさも、ひと昔前とは格段にレベルが上がってしまった。そこで自動車メーカーは、年々厳しくなる法的な規制をクリアするために、不断の努力を続けているのである。

 では、具体的にどんな手段で燃費をよくし、排気ガス濃度を下げているのだろうか。

 簡単に要約すると、現代のクルマはかつてのクルマと比べると、より薄い混合気を燃焼させることが可能となった。つまり、1回の燃焼に使う燃料が少なければ、それだけ燃費がよくなるのだ。

 それを可能とするために、エンジンはさまざまなセンサーを搭載し、そこで得られた情報をECU(エンジン・コントロール・ユニット)と呼ばれるコンピュータに送って燃料噴射量や点火時期を調整するなどして、もっとも効率のいい燃焼状態を実現できるようエンジンを制御している。

 このように数多いセンサー類のなかでも、知識として知っておきたいのが「O2センサー」である。

●理論空燃比とは

 O2センサーは、文字どおり酸素量を計測するもので、クルマでは排気ガスを浄化する触媒の前後にセットされていることが多い。クルマによってはひとつだったり、あるいは3つ4つセットされていることもあるのだが、このO2センサーはどんな働きをしているのだろうか。

 それを知るためには、まずエンジンが燃料を混合気としそれを爆発・燃焼させることで動力を得ていることを理解しておく必要がある。ガソリンや軽油などの燃料は、液体の状態よりも気化させて空気と混合して着火したほうが、より大きな動力を生み出せるのである。

 さらにいえば、ガソリンの場合には空気量14.7に対して、ガソリン1という、14.7:1という割合が、もっとも燃焼効率がよくなるため、動力を得やすく、排気ガスもクリーンになる。

 この14.7:1という数値を、理論空燃比というのだが、この状態をなるべく保つことが、燃費の良さを実現するためには必要なのだ。

 ところが現代のエンジンは、この理論空燃比よりももっと少ないガソリン量で動いているものが多い。最新のエンジンは、点火プラグの周辺のみ混合気が濃くなるようにシリンダー内部の空気の流れを工夫するなどして、より少ない燃料でも効率の良い燃焼状態を作り出せるようになっているのだ。

 このようにエンジンを細やかに制御する場合に重要なのが、排気ガスに含まれている酸素量の測定となる。

 排気ガスに酸素がたくさん含まれているということは、燃焼状態が悪いことであるのは、理解してもらえるだろう。燃料は空気中の酸素を利用して燃焼するわけだから、酸素が排気ガス中にたくさん残っているということは、完全に燃焼しきれていないということになるからだ。

 こうした状態の排気ガスには、CO(一酸化炭素)やHC(炭化水素)がより多く含まれている。このHCは、つまりは燃え残りの煤といえるもので、これが排気ガス中に多量に含まれていると、プラチナなどを使っている触媒への攻撃性が高くなり、その状態が長く続くと触媒が機能しなくなってしまう。

 そこでO2センサーは、排気ガス中の酸素量をリアルタイムで計測し、その情報を元にECUは、燃料を噴射する量を細かく調整することでより効率的な燃焼状態を実現しているわけなのである。

■コールドスタート時に排気ガスが臭いわけ

 ところがこのO2センサーは、ある程度暖まってからでないと機能をしない。O2センサーの鍵となる酸素濃度に反応して電気を発生する材料であるジルコニア素子は、約300℃にならないとその起電力を発生しないからである。

 エンジンさえ暖まっていれば、排気ガスの温度は軽く300℃を超えており、エンジンが高回転で運転しているときには、800℃くらいまで上昇する。その状態であれば、ジルコニア素子は問題なく機能する。

エンジンさえ暖まっていれば、排気ガスの温度は軽く300℃を超えており、エンジンが高回転で運転しているときには、800℃くらいまで上昇するエンジンさえ暖まっていれば、排気ガスの温度は軽く300℃を超えており、エンジンが高回転で運転しているときには、800℃くらいまで上昇する

 ここでひとつ問題となるのは、冷えきった状態でのエンジン始動である。

 エンジンが冷えきっていると、当然ながら排気ガスの温度も低いままだ。そうするとO2センサーが働かないのだ。そのためO2センサーも同時に暖めてやらないと、どの程度燃料を噴射していいのか、ECUは判断できなくなってしまう。

 そこでO2センサーには、ヒーターが装備されている。エンジンキーやプッシュボタンをONの状態にしたとき、水温が低い状態であったら、O2センサーのヒーターが作動して、ジルコニア素子を暖めるというわけだ。

 さらにいうと、エンジンが冷えているときは、着火性能を高めるため、また素早くエンジンの温度を上げるために若干混合気を濃くしている。また、水温が高くなりすぎたときには、燃料を気化させることによる気化潜熱を利用して燃焼室の温度を下げるために混合気を濃くする。こうした場合も、混合気の燃焼状態をリアルタイムで監視するO2センサーの役割は大きい。

●もしもO2センサーが故障してしまったら

 このO2センサーが故障をしていたら、ECUは適正な燃料の噴射量を判断できなくなってしまう。その場合、エンジンが不意に止まってしまうことを防ぐため、燃料を濃いめに噴射する。

 そうすると排気ガス濃度が濃くなるので、排気ガスの臭いがきつくなったり、黒っぽい排気ガスがマフラーから出てきたりする。さらにアイドリングがばらつく、などといった症状も出がちになる。

 しかし、そういった症状を確認する以前に、O2センサーが異常の場合には、エンジンチェックランプが点灯するので、不具合は把握しやすい。

 長年受け続けた振動によってジルコニア素子にダメージを受けたり、配線の劣化や、排気ガス中に含まれている不純物の堆積などがO2センサーの故障の主な原因なのだが、故障したまま走行を続けていると、燃費が悪くなるだけでなく、触媒の故障などを引き起こすことになる。

 単にO2センサーのみの交換であれば数万円で済んだ修理費用が、触媒交換ともなると、軽くふた桁万円は掛かってしまう。

 もちろんエンジンチェックランプは、O2センサーだけではなく、他のセンサーの不具合も含めたエンジン関係の不具合で点灯するものだ。

 もしこれが走行中に点灯したら、なるべく早めにディーラーや整備工場に入庫し、どんな不具合が起こっているのか点検してもらうことをお勧めする。早めの対処は修理費用を大きく抑えることにつながるからだ。

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