絶滅危惧種ながら新型も登場? 2リッターのFFステーションワゴン3選
くるまのニュース / 2021年5月26日 16時10分
ファミリーカーとして定番となったミニバンやここ数年で人気急上昇中のSUV、軽ハイトワゴン、コンパクトカーが日本の自動車市場を席巻している状況のなか、存在感が薄くなってしまったのがステーションワゴンです。しかし、使い勝手やドライビングプレジャーに優れたステーションワゴンの魅力が色褪せたわけではありません。そこで、今では貴重な存在となった2リッター自然吸気エンジンを搭載したスポーティなFFステーションワゴンを、3車種ピックアップして紹介します。
■絶滅が危惧される2リッターNAエンジンのスポーティなステーションワゴンを振り返る
現在、日本の自動車市場で売れているモデルといえば、ミニバンにSUV、軽ハイトワゴンやコンパクトカーが挙げられます。
そんななか、かつては隆盛を極めていながらも今や存在感が薄くなってしまったのが、ステーションワゴンです。
ステーションワゴンは優れたユーティリティがあり、ドライビングプレジャーもセダンと同等という魅力がありますが、人気の低迷から各メーカーともラインナップが激減してしまいました。
また、生き残っているステーションワゴンでも、ターボエンジンやハイブリッドが主流で、かつてのようなパワフルな自然吸気エンジンのモデルはさらに少ない状況です。
そこで、今では貴重な存在となった2リッター自然吸気エンジンを搭載したスポーティなFFステーションワゴンを、3車種ピックアップして紹介。絶版車だけでなく最新モデルもあります!
●日産3代目「プリメーラ W20V」
斬新な内外装のデザインが大いに話題となった3代目「プリメーラ」
日産は1990年にFFセダンの初代「プリメーラ」を発売。優れたハンドリングとセダンとしての基本性能の高さ、シンプルでスタイリッシュなデザインが相まって、日欧で大ヒットを記録しました。
1995年には初代のコンセプトを継承した2代目が登場し、セダンに加え当時流行のステーションワゴンをラインナップしたこともあり、引き続き人気となります。
そして、2001年に発売された3代目では、それまでのシンプルなデザインを一新してアグレッシブなフォルムのセダン/ステーションワゴンへと生まれ変わりました。
外観デザインはウエッジシェイプとなり、セダン、ステーションワゴンともにクーペスタイルを採用。
また、同様に内装もこれまでとは大きく異なり、インパネのセンターに3連メーターを配置し、ナビやオーディオ、空調の操作が直感的におこなえるユニークな操作パネルを採用するなど、斬新なデザインとなっています。
さらにデビューから少し遅れて、最高出力204馬力を誇る2リッター直列4気筒DOHCの「SR20VE型」エンジンと6速MTを組み合わせたスポーティグレードの「20V」を追加ラインナップ。
ステーションワゴンにも「W20V」グレードが設定され、欧州仕込みの優れたハンドリングとパワフルなエンジンは高く評価されました。
しかし、すでにセダンとステーションワゴンの人気が徐々に下落していたこともあり、3代目は初代、2代目ほどのヒットには恵まれず、2005年に国内向けの生産を終了。この代をもってプリメーラは消滅してしまいました。
●マツダ「ファミリア S-ワゴン スポルト20」
シリーズ最後のモデルで復活した高性能車の「ファミリア S-ワゴン スポルト20」
マツダ初代「ファミリア」は1963年に誕生。車名のとおりファミリーカーとして開発され、マツダの主力車種となりました。
その後、代を重ねると高性能化が図られ、ラリーなどモータースポーツで活躍し、ファミリアはスポーティなハッチバック/セダンというイメージが定着しました。
ところが、1994年に登場した8代目からは一転してベーシックカーに原点回帰し、1998年に発売された9代目ではハッチバックが消滅して、セダンとステーションワゴンのラインナップとなります。
デビュー当初、9代目には高性能モデルは設定されていませんでしたが、1999年のマイナーチェンジで、最高出力170馬力を誇る2リッター直列4気筒DOHCエンジンを搭載したステーションワゴンの「ファミリア S-ワゴン スポルト20」が登場しました。
コンパクトなショートワゴンボディにシリーズ最大排気量を誇るエンジンを搭載したことで、かつてのターボエンジン車のような過激な性能ではなく、ツーリングに最適な余裕ある走りを実現。
同時にシャシ剛性のアップや強化されたサスペンションとブレーキによって、失われていたスポーティなファミリアが復活しました。
さらに、2002年にはS-ワゴン スポルト20をさらにチューニングした「スポルト20スペシャル」を発売。より精悍にモデファイされた外装と、FF車には専用のサスペンションが奢られました。
しかし、ファミリアは販売の低迷が続いて2004年に生産を終了し、長い歴史に幕を閉じました。実質的な後継車は2003年に誕生した「アクセラ」で、現在の「マツダ3」です。
■限定モデルで登場した最新の2リッターFFワゴンとは?
●トヨタ「カローラツーリング 2000リミテッド」
500台限定の特別仕様車として発売された「カローラツーリング 2000リミテッド」
2019年9月にトヨタは12代目となる「カローラ」シリーズを発売。グローバルで販売していたカローラよりもボディサイズを小さくして、日本市場に対応したことが大いに話題となりました。
ボディタイプはセダンに加えステーションワゴンの「カローラツーリング」をラインナップ。シャープなデザインとなったフロントフェイスなどスポーティさを強調し、ユーザー層の若返りが図られています。
搭載されたパワーユニットは、1.8リッター直列4気筒エンジン+モーターのハイブリッドと、1.8リッター直列4気筒自然吸気、1.2リッター直列4気筒ターボの2種類のガソリンエンジンが設定されましたが、2020年6月に2リッター直列4気筒エンジンを搭載した特別仕様車「カローラツーリング 2000リミテッド」を、500台限定で発売。
最高出力170馬力を発揮する「ダイナミックフォースエンジン」は、「RAV4」やレクサス「UX」に搭載されるエンジンと同じく高効率でパワフルなパワーユニットです。
トランスミッションはパドルシフト付10速スポーツシーケンシャルシフトマチック(CVT)が組み合わされました。
外装では、切削光輝+ブラック塗装の17インチアルミホイールや、シルバーメタリック塗装のルーフレールなどを特別装備し、カラーリングも特別色を設定。
これまで高性能エンジンを搭載する限定モデルのトヨタ車というと、「GRMN」や「TRD」ブランドからコンプリートカーとして展開されていたことから、カローラツーリング 2000リミテッドは異色のモデルといえます。
さらに、2021年4月にはアウトドアテイストな特別仕様車「カローラツーリング アクティブライド」を500台限定で発売。やはり2リッターエンジンを搭載しており、今後カタログモデルとしての販売も期待されます。
※ ※ ※
現在、数少ない国産ステーションワゴンですが、前述のカローラツーリングだけでなくスバル新型「レヴォーグ」が好調なセールスを記録しており、ステーションワゴン復活の兆しも見えてきました。
また、欧州ではステーションワゴンはファミリーカーとして定番車種なので、現行モデルの欧州車ではラインナップが豊富です。
子育てがひと段落したファミリー層がミニバンからSUVに乗り換えるケースも増えているようなので、ステーションワゴンという選択もアリではないでしょうか。
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