道路の真ん中にマンホール設置なぜ? 鉄製だから雨天時に滑る? 別にある意外な理由
くるまのニュース / 2021年6月3日 10時10分
道路には、マンホールが設置されている場所がありますが、雨の日などはバイクや自転車にとって横転しやすい危険な場所です。なぜ、道路の真ん中に滑りやすく危険な鉄製のマンホールが設置されているのでしょうか。
■マンホールが道路の真ん中に設置されている理由とは?
雨の日は晴天時と比べて事故件数が多くなります。その要因としては、雨による視界不良や路面が濡れていることが挙げられます。
とくに路面状況に関して、マンホールは道路の真ん中に配置されることが多いため危険な存在ともいえます。
なぜ、雨の日に滑りやすく危険ともいえるマンホールは道路の真ん中にあるのでしょうか。
梅雨の時期になると雨の日が多くなりますが、雨が降っていると視界も悪く、路面も滑りやすいため事故の発生が多くなります。
首都高速道路株式会社の調査によると、雨天時の時間当たりの事故件数は、晴天時と比較し、約5倍も高くなっているといわれています。
雨天時にもっとも多い事故はスリップによる事故で、晴天時に比べて濡れている道路は想像以上に滑りやすくなっています。
とくに雨で濡れたマンホールはよりスリップしやすく、自転車やバイクで走行する際はヒヤッとした経験がある人も少なくありません。
そんな滑りやすいマンホールは、なぜか道路の真ん中に設置されていることが多く見受けられます。なぜ道路上の滑ると危険な場所にわざわざ設置されているのでしょうか。
マンホールは、下水道や場所によっては電線や通信ケーブルを通す管に、人がアクセスしたり、メンテナンスをしたりするために設置されています。
下水道の場合では、下水管の埋められている場所にマンホールが設置されており、コスト面やメンテナンス性などから、道路の下に作られます。そのため、道路上にマンホールが配置されていることが多いのです。
バイクに乗る人は、カーブや交差点などマンホールがあってほしくないところにわざとマンホールが設置してあるかのように感じる人もいるかもしれませんが、実はこれにも理由があります。
下水管などのマンホールを製造する株式会社イトーヨーギョーの担当者は以下のように話します。
「道路の下に下水管を通すためには、カーブや交差点では、それに沿って下水管も曲げる必要が出てきます。
下水管はコンクリート製なので、曲げることができません。そのため、方向を変えたいところに『ます』を設置して方向転換する方法をとります」
この「ます」の上にマンホールがあるので、ライン上に滑りやすいマンホールのふたが現れることになります。
また、マンホールは道路の真ん中に設置されているイメージがありますが、実際は2車線以上の道路の場合、中央よりも端寄りに設置されていることが多いといわれます。
設置やメンテナンスの際に、片方車線の通行規制をするだけで済むためですが、既設の地中物がある場合はそれを避けるため、道路の真ん中を利用することになります。
■なぜマンホールの蓋は滑りやすいのか?
どうしてもマンホールを設置しなければならないのなら、滑らないように鉄以外の素材でマンホールのふたを作れないのでしょうか。
マンホールの蓋に、一番求められるのは「強度」です。マンホールの蓋の上は、大型の重機を積んだトレーラーなども通るため、ある程度の強度が必要です。
東京都下水道局によれば、「下水道などのマンホールに使われる蓋は汎用品ではありません。東京都を始め各都道府県によって下水道に使われる蓋には設計基準が設けられ、下水道局がその基準に沿って設計したものが使用されています」といいます。
雨天時のマンホールの蓋は滑りやすいほか、場合によって水が吹き出す可能性も
下水道用マンホールのふたについて、日本グラウンドマンホール工業会の担当者は、次のように話しています。
「マンホールのふたは、ダクタイル鋳鉄と呼ばれる素材が用いられています。
ダクタイル鋳鉄は鉄に銅やカルシウムなど12種類の素材を混合して作られていますが、実はマンホールのふたが滑りやすいのは、鉄だからではありません。
鉄と、タイヤや靴底の間にある水や砂がスリップの原因なのです。
ただ、マンホールふたの表面に凹凸を付けるとその原因を取り除くことができます。
実際に、ぬれたアスファルト路面と同等の滑り抵抗係数(C.S.R)0.45程度のマンホールふたは開発されて、すでに使用されています」
滑り抵抗係数は低いほど滑りやすく、通常のマンホールは、雨に濡れた状態で「C.S.R=0.25」程度とのことです。なお、「東京都福祉のまちづくり条例」では敷地内の通路や建築物の出入口などで「C.S.R=0.4以上」が望ましいとされています。
※ ※ ※
道路上にあるマンホールのふたは、雨の日には厄介な存在です。しかし、インフラ整備の観点からすると必要なものだといえ、さらに滑らないようにする技術進化がおこなわれているのです。
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