全長4.5mの電動コンパクトSUV! メルセデス新型「EQA」は人気の「GLA」とどう違う?
くるまのニュース / 2021年6月12日 19時10分
2021年1月に世界初公開、そして同年4月に日本で発表された電気自動車(EV)がメルセデス・ベンツ新型「EQA」だ。EQAの全長は4465mmと、日本でも人気のコンパクトSUV「GLA」の4415mmとほとんど変わらないボディサイズだが、どういう違いがあるのだろうか。実際に乗って感じたEQAの魅力とは。
■メルセデス・ベンツの電気自動車「EQシリーズ」第2弾
メルセデス・ベンツが電気自動車(EV)のラインナップ拡大を始めている。
ミドルサイズSUV「EQC」に続いて上陸したのは、日本の道でも扱いやすいコンパクトSUVサイズの「EQA」だ。今後も「EQE」、「EQS」という上級セダンがデビューの順番を待っている。
これらはみなピュアEVだ。ヨーロッパでは法律によって走行中のCO2大幅削減が求められているからだ。
EQAを最初に見たとき、すべてがメルセデス・ベンツのモデルで、何の違和感も感じなかった。ちょうどいいサイズのSUVという印象だけだ。ただしフロントマスクになるラジエターグリルは、形こそメルセデス・ベンツそのものであるが、空気が入るスペースはまったくなくツルンとしているところがEVらしさなのかもしれない。
つまりメルセデス・ベンツはEVの「EQシリーズ」に対し、エンジンを持つ他のメルセデスとの差別化を、デザイン面ではとくに企んでいないということだろう。これはすでに2019年8月に日本上陸したEQCでも同じだった。
実際に乗ってみてもその印象は変わらない。乗り込んでから発進までの手順や操作もエンジン車と変わらず、普段メルセデスに乗っている人なば違和感なく発進までの操作ができるはずだ。
しかし走り出すとEVらしさを感じる。アクセルペダルを踏み込んでいったときの加速力や、アクセル開度に対する反応も自然で違和感はないのだが、さすがEVだけあって音が静かなのだ。EQCも静かだったが、EQAも相当静かだ。EQAではモーターのマウント部を工夫して、モーターからの音や振動を極力キャビンに伝えないようにしているという。
回生ブレーキはハンドルの裏にあるパドル操作により、その強さを変えることができる。
原則的には左パドルを引くと回生が強まり、右パドルを引くと回生が弱まる。その強さはインパネに表示されるが、D+、D、D-(マイナス1)、D- -(マイナス2)、Dオートの5段階で、マイナスが多いほど減速が強くなる。
左パドルを一回引くごとに回生が強くなっていく。反対に右パドルを引くたびに回生は弱くなっていく。右パドルを長引きすると直接Dオートに戻る。
メルセデス・ベンツ新型「EQA」のインパネ
D+は回生をしない純粋なコースティングである。Dオートのときにはアクセルオフによりほとんどコースティングで減速感がないが、先行車に近づくと減速を始める。これはADASのためにカメラやレーダーを搭載しているから、それを有効活用しているのだろう。自然で、なかなか良いシステムに仕上がっている。
■EVっぽさはなくメルセデス流の自然なドライブフィール
今回試乗したモデルは、メルセデス・ベンツ「EQA250」のAMGライン装着車だ。
メルセデス・ベンツ新型「EQA」の走り
ボディサイズは全長4465mm×全幅1850mm×全高1625mmで、ホイールベースは2730mmである。ベースとしてはGLAだからサイズ的にはほとんど同じだが、走ってみるとエンジンを搭載するGLAと比べて静粛性が圧倒的に高く、もうワンランク上級なクルマに感じる。
アクセルペダルの反応も過敏ではなく扱いやすいし、ブレーキペダルのフィーリングも自然な感じで良い。
モーターの出力は最高出力140kW(190ps)、最大トルク370Nm。車両重量は2030kgと重めだが、トルクフルで気持ちよくスイスイ走るから問題ない。
搭載するリチウムイオンバッテリー容量は66.5kWhで、電気をフルに入れた状態からの走行距離はWLTPモードで422kmとカタログに表記してある。
EVだから充電は必須だが、右後ろフェンダー部分にCHAdeMO(急速充電)の給電口がある。家庭用の200V(AC)の普通充電は、後ろのバンパーの右側のリッド内がその場所だ。
EQA250は前輪駆動(FWD)だが、アクセルオンでのホイールスピンもなくスムーズに加速していく。試乗車の装着タイヤはコンチネンタルの「エココンタクト6」で、前後とも235/45R20 100T XLであった。指定空気圧は3名乗車+荷物という条件では前後とも270kPaが車両指定である。5名乗車+荷物という条件では320kPaになる。最近の例にもれず高めのセットだ。
EQA250はドライビングポジションをとって前方をみたときにほとんどボンネットが見えないが、そもそもさほど大きいボディなわけでもないので、取り回しは難しくはない。
いいなと思ったのは、乗り降りのときのシートの高さだ。降りるときに、ドアを開けて足を伸ばすと、自然に路面に足が届くのだ。乗り降りがしやすいというのも、頻繁にクルマを使う人にとっては重要な問題だ。
EVのひとつのネックはレンジ(航続距離)だが、いま日本でも人気のコンパクトSUV、GLAや、3列7人乗りの兄弟車「GLB」との比較で考えたとき、市街地がメインで乗ることが多いなら、このEQAというチョイスも大いにありうる。EQAの登場は、ライフスタイルに合わせたパワートレインの選択肢が増えたということだ。
さらに今後、2021年4月に開催された上海モーターショーでワールドプレミアされた3列7人乗りの電動コンパクトSUV「EQB」も登場予定だ。
メルセデス・ベンツ新型「EQA」
Mercedes-Benz EQA250
メルセデス・ベンツ EQA250
・車両価格(消費税込):640万円
・試乗車オプション込み価格(消費税込み):726万5000円
・全長:4465mm
・全幅:1850mm
・全高:1625mm
・ホイールベース:2730mm
・車両重量:2030kg
・原動機種類:交流誘導電動機
・バッテリー容量:66.5kWh
・モーター最高出力:140kW(190ps)/3600-10300rpm
・モーター最大トルク:370Nm/1020rpm
・交流電力量消費率(WLTCモード):181Wh/km
・一充電走行距離(WLTCモード)422km
・駆動方式:FF
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