もはや本物以上!? 自動車メーカーが手がけた本気のレプリカ車5選
くるまのニュース / 2021年6月18日 6時10分
高額なクラシックカーやスーパーカーを手頃な価格で手に入れたい。そんなリクエストで誕生したのがレプリカ車です。既存のクルマをベースに、内外装を別のクルマに仕立てますが、再現度はバラバラです。しかし、クオリティの高さに定評があるレプリカ車も存在。そこで、自動車メーカーが手掛けたレプリカ車を、5車種ピックアップして紹介します。
■クオリティの高さがスゴいレプリカ車を振り返る
クルマにはさまざまな種類やジャンルが存在しますが、なかでもユニークなモデルのひとつがレプリカ車です。
ひと言でいえば模造品なのですが、欧米では古くからそれなりの需要があり、盛んにつくられてきました。
一般的なレプリカ車というと、既存のクルマ(多くは中古車)をベースに内外装をつくり替え、超高額なクラシックカーやスーパーカーに似せるというもので、時にはエンジンまで載せ替えるケースもあります。
そうしてつくられたレプリカ車は、本来博物館級の希少なクルマであっても手軽に乗れることや、本物よりもずっと安価に入手できること、比較的新しいクルマをベースにすれば信頼性が高く、快適にドライブできるなどのメリットがありますが、クオリティについてはバラバラです。
再現度が高いものもあれば低いものもあり、やはり掛けたお金と時間によって大きく変わってしまいます。
そんなレプリカ車を自動車メーカーが作った例があり、しかも性能的には本物以上というモデルも存在。そこで、自動車メーカーが手掛けたレプリカ車を、5車種ピックアップして紹介します。
●トヨタ「トヨダAA型」
記念すべきトヨタの1号車ながら日本に現存していなかった「トヨダAA型」
世界中の自動車メーカーのなかでも、常にシェアのトップ争いを続けているのがトヨタ。今では日本を代表する自動車メーカーですが、初の量産乗用車は1936年に発売された「トヨダAA型」です。
当時の社名とブランド名は「トヨタ」ではなく「トヨダ」でしたが、翌1937年より社名を「トヨタ自動車工業株式会社」に、車名も「トヨタAA型」へと改められました。
トヨダAA型の開発にあたり参考にしたのが、当時輸入あるいはノックダウン生産していたアメリカ車だったことから、トヨダAA型は最高出力65hpの3.4リッター直列6気筒OHVエンジンを搭載する5人乗りの中型車で、当時の価格は3350円(名古屋店頭渡し)と現在の貨幣価値で換算すると2000万円級の高級車に仕立てられていました。
そのため、トヨダAA型は1942年までに1404台が生産されたのみで、さらにほとんどが旧日本軍や政府に納入されたことから、戦時中に焼失したり戦後に廃棄処分されたとみられ現存しておらず、近年、唯一海外で1台の現存が確認されのみでトヨタ自身は所蔵していませんでした。
そこで、トヨタは1986年に、オリジナルを忠実に再現したトヨダAA型のレプリカを製作。
残っていた一部の資料や当時開発に携わっていた人の証言などをもとに、車体からエンジンまですべての図面を新たに作成してトヨダAA型を復刻しました。
1980年代の材料と技術でつくれたトヨダAA型のレプリカ車は、1936年当時の性能を遥かに上まわっていたといい、現在、愛知県にあるトヨタ博物館に動態保存されています。
●ホンダ「スポーツ360」
試作されたものの販売がお蔵入りとなって現存していない「スポーツ360」
ホンダの4輪車第1号は1963年に発売された軽トラックの「T360」ですが、同じく軽自動車のオープンスポーツカーである「スポーツ360」も発売する計画がありました。
実際に、1962年の第9回全日本自動車ショウ(後の東京モーターショー)のホンダブースには、赤いスポーツ360が展示され、大いに注目を浴びます。
しかし、T360に続いて「S500」が発売されたのみで、スポーツ360は発売されませんでした。
その理由はふたつあり、ひとつは国が主導して国際競争力強化のために自動車会社の再編をおこない、統廃合や新規参入の制限をするという法案(特定産業振興臨時措置法案:特振法)の施行が迫っていたため、ホンダは軽自動車だけでなく普通乗用車の発売が急務だったからです。
もうひとつは、日本でスポーツカーの需要が多くなく海外での販売を想定すると、スポーツ360のボディでは小さすぎるという判断もあったようです。
仮に軽自動車のみを発売していたら、ホンダはその後軽自動車専売メーカーになると危惧されましたが、結局、特振法は廃案に。しかし、スポーツ360は発売されることなく幻のモデルとなってしまいました。
その後のスポーツ360は行方不明となり、現存していませんでした。そこで、ホンダの有志によりスポーツ360の復刻プロジェクトが立ち上がり、東京モーターショー2013での展示に向け動き出しました。
復刻にあたり、残っていた一部の図面から部品を製作し、エンジンはT360の直列4気筒DOHCエンジンを流用。ボディも一部残っていたパーツ以外は新規で制作し、写真やOBの証言など資料をつなぎ合わせて完成に至ります。
こうしてスポーツ360のレプリカ車は東京モーターショー2013のホンダブースで、「S660コンセプト」と共に壇上に展示され、再び来場者の注目を浴びることになりました。
●ジャガー「Eタイプ・ライトウェイト」
わずか6台を最新テクノロジーで再現した「Eタイプ・ライトウェイト」
イギリスの高級車メーカーであるジャガーは、第二次世界大戦以前から数多くのスポーツカーを輩出してきました。
そんなジャガーのスポーツカーのなかでも1961年に誕生した「Eタイプ」は、後に「世界一美しいクルマ」と評された名車中の名車です。
このEタイプをベースに1963年にはレーシングモデルとして「Eタイプ・ライトウェイト」が誕生。
純粋なレーシングカーだったEタイプ・ライトウェイトは、当時18台が生産される計画でしたが、結局つくられたのは12台で生産を終えました。
そこで、ジャガー・ランドローバー車のレストアや特別なモデルを仕立てるスペシャル・オペレーションズ部門は、Eタイプ・ライトウェイトの幻に終わった6台の生産を企画。2014年に発表されました。
完全にゼロから再現するかたちで、組み立て作業は当然ながら手作業です。
ボディはオリジナルと同様にアルミ製で、デジタルスキャンによって形状を再現。エンジンは3.9リッター直列6気筒DOHCで、3基のキャブレターを装備し、最高出力340hpを発揮します。
エンジンパーツはすべて再現されていますが、電装系やスターターモーター、安全性に関わる燃料タンクなどは現在のテクノロジーが使われました。
そして、50年ぶりに6台つくられたEタイプ・ライトウェイトは競技用として100万ポンド(当時の為替レートで約1億7000万円)ほどで販売されました。
■ボンドカーや幻のランボもレプリカがあった?
●アストンマーティン「DB5ゴールドフィンガー・コンティニュエーション」
数々の秘密兵器まで詳細に再現された「DB5ゴールドフィンガー・コンティニュエーション」
映画「007」シリーズは、昭和の時代から日本でも人気がありますが、なかでも劇中に登場するクルマ「ボンドカー」が大いに話題となりました。
ボンドカーは当時の最新モデルに数多くの秘密兵器を搭載し、有名な例としてトヨタ「2000GT」(ジェームズ・ボンドは運転していない)や、ロータス「エスプリ」がありますが、近年の作品にもたびたび登場するのがアストンマーティン「DB5」です。
DB5は1964年に公開された映画「007ゴールドフィンガー」のボンドカーとして有名になり、スポーツカーの理想像として現在もクラシックカーのなかでも高い人気を誇っています。
このDB5が2020年に、「DB5ゴールドフィンガー・コンティニュエーション」の名で25台限定の復刻モデルとして生産されました。
DB5ゴールドフィンガー・コンティニュエーションは単にDB5を再現しただけでなく、ボンドカーの装備も搭載。
フロントのマシンガン(ダミー)に回転して切り替わるナンバープレート、リアにポップアップする防弾パネル、シート射出用のスイッチなど、当時のボンドカーの装備を忠実に再現しています。
なお、価格は275万ポンド(邦貨換算約3億8000万円)で販売されましたが、残念ながら公道走行は許されず、あくまでもコレクション用でした。
●ランボルギーニ「ミウラ SVR」
美しく野蛮なスタイルが素晴らしいイオタレプリカの「ミウラ SVR」
1970年代の日本において、小中学生を中心としてスーパーカーブームが起こりました。とくに当時人気があったスーパーカーはランボルギーニ「カウンタック」とフェラーリ「365GT4BB」でしたが、この2台に負けず劣らず人気だったのがランボルギーニ「ミウラ」です。
ミウラはカウンタックの前身となったモデルで、1966年に誕生。リアミッドシップにV型12気筒エンジンを横置きに搭載し、地を這うように低く美しいボディが多くの少年を魅了しました。
さらに、このミウラをベースに1971年にレース仕様に仕立てられたプロトタイプカーが「イオタ」で、これもスーパーカーブームの頃に人気となりますが、実はブームの頃にはすでに事故で廃車となっており、当時の写真に写っていた個体の多くは、ランボルギーニが顧客のリクエストでイオタに似せてつくったレプリカ車です。
数台が生産されたイオタのレプリカ車は仕様によって分けられ「ミウラ SVJ」と「SVR」が存在。このSVRのうちの1台はスーパーカーブームの頃から日本人がオーナーで、2018年にランボルギーニの本社で完全にレストアされて日本でお披露目されました。
フロントのチンスポイラーと固定式に変更されたヘッドライト、大きく張り出したリアフェンダーにルーフ後端に取り付けられたウイングなど、まさしく昭和の少年を夢中にさせたイオタそのものです。
なお、765台つくられたミウラのオークションでの相場は現在1億円以上ですが、もしSVRが出品されたらいくらになるのか想像もできません。
※ ※ ※
市販のレプリカ車で多く見かけるのがポルシェ「356」とAC「コブラ」ではないでしょうか。
356はフォルクスワーゲン「タイプ1(ビートル)」をベースにつくられ、かつては比較的安価で人気があり、現在は価格が高騰していますが日本でも中古車が入手可能です。
コブラは鋼管フレームにFRPやアルミ製ボディをかぶせ、フォードやシボレーのV8エンジンを搭載する手法で、仕上がりは玉石混交ですがレプリカが多数存在します。
さらにコブラは開発したシェルビー公認の復刻モデルが現在もつくられており、日本でも新車が1000万円強から入手できます。
レプリカ車のなかでも比較的高額ですが本物は数億円といわれているため、コブラを思いっきり走らせるにはレプリカ車がうってつけではないでしょうか。
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