キュートな見た目でも走りはホット? かわいい顔の高性能車5選
くるまのニュース / 2021年6月21日 6時10分
クルマのフロントフェイスは、そのクルマのキャラクターを表しています。しかし、なかにはキュートな見た目でも意外とハイパフォーマンスなモデルも存在。そこで、かわいい顔をした高性能モデルを、5車種ピックアップして紹介します。
■かわいいフロントフェイスだけど高性能なクルマを振り返る
クルマの外観を見ると、そのクルマのキャラクターがおおよそ理解できるものです。たとえばスポーツカーは精悍で見るからにスポーティなフォルムを採用し、高級車は押し出し感の強い重厚な雰囲気があります。
とくにクルマの顔にあたるフロントフェイスは、キャラクターを如実に表しているといえるでしょう。
一方、軽自動車やコンパクトカーなどはファンシーな印象のモデルが多い傾向で、ユーザー層や使われるシーンを反映しています。
しかし、なかにはキュートなフロントフェイスながらハイパワーなエンジンを搭載し、コンセプトや走りが辛口なモデルも存在。
そこで、かわいい顔をした高性能モデルを、5車種ピックアップして紹介します。
●スズキ「アルトラパン SS」
クラシカルでかわいい顔ながら本格的なスポーツモデルだった「アルトラパン SS」
2002年にデビューしたスズキ初代「アルトラパン」は、同社の「ワゴンR」と同様にヒンジドアのトールワゴンですが、全高はそれほど高くなく、クラシカルなデザインが特徴のモデルです。
初代アルトラパンはターゲットとしていた若い女性層から人気を得てヒット作となり、静粛性や乗り心地、使い勝手の良さが高く評価されました。
標準グレードに搭載されるエンジンは、最高出力54馬力の660cc直列3気筒自然吸気で十分なパワーでしたが、発売から数か月遅れで60馬力を発揮するターボエンジン車が追加されました。
さらに2003年には男性ユーザーをターゲットとしたスポーツグレード「アルトラパン SS」を追加ラインナップ。
専用デザインのフロントグリルに大型の丸型フォグランプをビルトインしたバンパーで、フロントフェイスはかわいさだけでなくスポーティさが加わっています。
エンジンは最高出力64馬力を発揮する660cc直列3気筒ターボを搭載し、トランスミッションは4速ATに加え5速MTが設定されました。
ほかにも全高を10mmローダウンした強化サスペンションや、165/55R14サイズのタイヤと専用アルミホイールを装備しており、コーナリング性能の向上が図られています。
アルトラパン SSは一定の人気を獲得しましたが、2008年に2代目の登場で廃止となり、以降はラインナップされていません。
●ダイハツ「ストーリア 1300CZ/ツーリング」
愛嬌のある顔でも数々のホットモデルをラインナップした「ストーリア」(画像は英国仕様)
1977年に誕生したダイハツの新世代コンパクトカー「シャレード」は、画期的な1リッター3気筒エンジンや、世界最小の1リッターディーゼルエンジンを搭載するなど、優れた経済性から大ヒットを記録。その系譜を受け継いだのが1998年に発売された「ストーリア」です。
ストーリアは1リッターエンジン車をメインとするごく普通のベーシックカーとして開発されましたが、当時、ダイハツはモータースポーツ活動に力を入れており、ストーリアに120馬力を発揮する713cc直列3気筒ターボエンジンを搭載し、フルタイム4WDとしたモータースポーツベース車の「X4」をラインナップしました。
しかし、X4はかなり特殊なモデルといえ、より使い勝手のよいホットモデルとして1.3リッターエンジンの「1300CZ」と「ツーリング」が設定されました。
両グレードに搭載されたエンジンは1.3リッター直列4気筒自然吸気で、最高出力110馬力を発揮。
圧縮比11のハイコンプ仕様なことからハイオクガソリンを指定しており、最高出力は7000rpmで発生する高回転型となっているなど、ベーシックカーとしては異例の高性能エンジンでした。
さらにFFの5速MT車では車重がわずか850kgと軽量で、まさにホットハッチと呼べるグレードでしたが人気にはならず、いまでは貴重な存在です。
●アバルト「695 ビポスト」
シリーズでもっともストイックなモデルとして君臨する「695 ビポスト」
1957年に登場したフィアット「NUOVA 500(ヌォーヴァ チンクエチェント)」は、イタリアの国民車として大ヒットを記録。今も世界中に数多くのファンがいて日本でも人気があります。
このNUOVA 500をモチーフにした新生フィアット「500」が2007年にデビューすると、やはり大ヒットして現在に至ります。
一方、かつてのNUOVA 500をアバルトがチューニングしたように、500にもアバルトチューンの「595」や「695」が存在。
その究極のモデルとして2015年に発売されたのが、アバルト「695 BIPOSTO(ビポスト)」です。
BIPOSTOはイタリア語で「ふたつのシート」を意味し、文字どおり500をベースに軽量化のため2シーター化され、エンジンは最高出力190馬力を誇る1.4リッター直列4気筒ターボを搭載。
また、695 ビポストには標準仕様とフルスペック仕様の2種類が設定され、フルスペック仕様はサーキット走行を視野に入れて開発されており、レース用のトランスミッションである「ドグリングトランスミッション」(ドグミッションとも呼ばれる)を搭載。
一般的なマニュアルトランスミッションは、スムーズな変速を可能にするためシンクロナイザーという部品が組み込まれていますが、ドグミッションは変速スピードを優先するためシンクロナイザーは使わずドグクラッチが採用されており、部品点数が減らせることもあってレーシングカーやオートバイでは一般的ですが、市販の4輪車では変速時のショックが大きかったり騒音もあるため、近年ではかなり珍しい存在です。
ほかにも、フルスペック仕様はさらなる軽量化のためサイドウインドウをプラスチックの固定式に変更し、アルミ製ボンネットやチタン製ホイールボルトの採用とエアコンレスなど、見た目とは裏腹に普段使いを考慮しないストイックな仕様となっています。
ちなみに当時の価格(消費税8%込)はフルスペック仕様が845万6400円、標準仕様は599万4000円と、500をベースにしたモデルのなかでも飛び抜けて高額でした。
■名車復刻系の先駆け的な2台にも過激なモデルが存在?
●ミニ「ミニ ジョンクーパーワークス GP」
シリーズ最強スペックのエンジンを搭載した「ミニ ジョンクーパーワークス GP」
BMWが誇るFFプレミアムコンパクトカーの「ミニ」シリーズは、2001年に初代が登場。往年の名車であるBMCミニをオマージュした優れたデザインと、クイックなハンドリングによる運動性能の高さから、世界的な大ヒットを記録しました。
当初、ボディタイプは3ドアハッチバックのみで、グレードはベーシックな「ワン」、チューニングされた自然吸気エンジンの「クーパー」、スーパーチャージャーを装着したトップグレードの「クーパーS」を展開し、その後はラインナップを拡大して、現行モデルは2013年に登場した3代目にあたります。
そして、2019年にシリーズ最強のモデル「ミニ ジョンクーパーワークス GP」が登場。
ミニ ジョンクーパーワークス GPは限定240台で発売され、エンジンは最高出力306馬力を発揮する2リッター直列4気筒ターボを搭載し、最高速度は265km/hを記録しました。
このスピードで走行安定性を確保するため、前後のバンパーは専用のエアロバンパーとされ、オーバーフェンダーも空力を考慮した形状に。さらにルーフエンドには大型かつユニークな形状のリアスポイラーが装着されています。
かなり過激な見た目ですが、フロントフェイスは相変わらず丸目2灯のファニーなままで、そのギャップが面白いモデルでした。
●フォルクスワーゲン「ニュービートル RSi」
内外装にエンジンとすべてが特別に仕立てられていた「ニュービートル RSi」
フォルクスワーゲンが誇る名車中の名車といえば「タイプ1=ビートル」です。第二次世界大戦前に開発され、戦後に世界的な大ベストセラーとなりましたが、最後は2003年にメキシコでの生産を終えました。
そして、タイプ1の生産終了より前の1999年に「ゴルフIV」のシャシをベースに開発されFF車となった「ニュービートル」が登場。前述のフィアット500やミニといった復刻車ムーブメントの先駆けでした。
そして、2001年には世界限定250台でハイパフォーマンスモデルの「ニュービートル RSi」が登場。
エンジンは3.2リッターV型6気筒自然吸気で最高出力225馬力を発揮し、トランスミッションは6速MTのみ、駆動方式はフルタイム4WDの「4MOTION」が採用されました。
外観ではワイド化されたフェンダーに専用デザインの前後バンパー、さらにリアには巨大なウイングが装着されるなど迫力あるフォルムですが、フロントフェイスはいつものかわいいままです。
RSiは日本でも45台が限定販売されましたが、価格は895万円(消費税含まず)とフォルクスワーゲンのモデルのなかでもかなり高額でした。
なお、後にこのエンジンはゴルフIVにも搭載され「R32」として発売されました。
※ ※ ※
今回紹介した5車種のうち4車種は丸目のヘッドライトを採用していますが、近年はスズキ「ジムニー」やホンダ「ホンダe」など丸目を採用するクルマが増えており、海外ではもうすぐ発売のフォード新型「ブロンコ」も丸目です。
デザインの自由度が高いLEDヘッドライトながらあえて丸目とすることで、クラシカルな雰囲気を演出しているのでしょう。
そうなると次は角目2灯/4灯なども出てくるかもしれません。実際にデザインの流行は繰り返すという傾向もありますから。
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