まさにFRスポーツカーならではのフォルム! ロングノーズ・ショートデッキの車5選
くるまのニュース / 2021年6月28日 6時10分
スポーツカーといえば見るからに速そうな外観ですが、なかでもFR駆動のスポーツカーで多く見られるのが「ロングノーズ・ショートデッキ」と呼ばれるフォルムです。このスタイルは古くから確立されており、最新のモデルでも採用しています。そこで、古今東西のロングノーズ・ショートデッキのクルマを、5車種ピックアップして紹介します。
■ロングノーズ・ショートデッキを採用したFRスポーツカーを振り返る
クルマの外観を見ると、そのクルマのキャラクターがおおよそ想像できます。とくにスポーツカーやスーパーカーといった走行性能を重視したモデルはわかりやすく、見るからにスピーディな印象です。
そんなスポーツカーのなかでもFR駆動のモデルで多く採用されているのが「ロングノーズ・ショートデッキ」と呼ばれるフォルムです。
文字どおり長いフロントノーズでトランクまわりのリアデッキが短く、第二次世界大戦以前のスポーツカーやレーシングカーにおいて、すでに確立されていました。
FR車でも直列6気筒エンジンなど長いエンジンを搭載するには必然的にボンネットやノーズ部分を長くする必要があり、前後重量配分を最良にするにはキャビンを後退させ、リアタイヤから後ろを短くするのが理にかなっているため、ロングノーズ・ショートデッキが採用されたのです。
さらに、より重量配分を均一にするため、リアアクスル付近にドライバーが座るようなモデルもあります。
そこで、古今東西のロングノーズ・ショートデッキのスポーツカーを、5車種ピックアップして紹介します。
●ジャガー「Eタイプ」
ロングノーズ・ショートデッキのスポーツカーの代表的存在である「Eタイプ」(画像はレース仕様)
ロングノーズ・ショートデッキのFRスポーツカーをセレクトするにあたって、絶対に外せない1台がジャガー「Eタイプ」です。
イギリスの高級車メーカーであるジャガーは、第二次世界大戦以前から数々のスポーツカーを製造するメーカーであり、1961年のジュネーブモーターショーにおいて、後に「世界一美しいクルマ」と評されるEタイプがデビュー。
当時、もっとも先進的だったジェット戦闘機をモチーフとしたボディラインと、イギリス製スポーツカーの見本のようなロングノーズ・ショートデッキが特徴的なモデルです。
ボディは2種類あり、オープンタイプのDHC(ドロップヘッドクーペ)と、クーペタイプのFHC(フィクストヘッドクーペ)を設定していました。
なかでも精悍なフロントフェイスで、もっとも美しいと評されるのが「シリーズ1」と呼ばれる初期のモデルです。
エンジンは3.8リッターまたは4.2リッターの直列6気筒DOHCを搭載し、後のモデルでは5.3リッターV型12気筒も追加。
Eタイプ・シリーズ1は見た目の美しさだけでなく最高速度240km/hを誇り、1960年代のハイパフォーマンスカーにおけるベンチマークとしても君臨していました。
●トヨタ「2000GT」
世界に通用する性能を実現した和製スポーツカーのトヨタ「2000GT」
トヨタは1960年代の中頃に世界に通用するスポーツカーを生み出すという目標を掲げ、1967年5月に「トヨタ2000GT」が誕生しました。
外観のデザインは英国製スポーツカーにインスパイアされたロングノーズ・ショートデッキで、空気を切り裂くような流麗なファストバックスタイルを採用。
内装も海外のスポーツカーの要素を多く取り入れ、ローズウッドをふんだんに使ったインパネやセンターコンソールに7連メーターを搭載するなど、まさに当時の国産車とは一線を画するものでした。
エンジンは国産量産車初となる2リッター直列6気筒DOHCで、ツインチョークのソレックス3連キャブレターを装着して最高出力150馬力(グロス)を発揮。
パフォーマンスも最高速度220km/h、0-400m加速15.9秒、0-100km/h加速8.6秒と、十分に世界で通用する走行性能です。
後にフロントマスクのデザイン変更などマイナーチェンジがおこなわれ、1970年までのわずか3年ほどで生産を終了。輸出分を含めても生産台数はわずか337台でした。
●日産「フェアレディZ」
まさにFRスポーツカーとしての理想的なデザインの初代「フェアレディZ」
日産は1950年代にはスポーツカーを生産しており、1962年にはアメリカ市場も見据えたオープンカーのダットサン2代目「フェアレディ」がデビューしました。
実際にアメリカでも好評だったことから、日産はさらにアメリカでの需要を見込んで、1969年に新時代のスポーツカーとして初代「フェアレディZ」を発売。
外観はスポーツカーらしさあふれるスピード感のある、ロングノーズ・ショートデッキを採用しました。
さらに特徴的なのは、シャープな印象のフロントノーズとルーフからテールエンドまで緩やかなカーブを描くキャビンの融合で、まさにファストバックと呼ぶにふさわしいデザインです。
エンジンは後に名機と呼ばれた2リッター直列6気筒SOHCの「L20型」がスタンダードで、輸出用に2.4リッターの「L24型」があり、2.4リッター車は遅れて日本市場にも投入されます。
さらに、同じく1969年に誕生した「スカイラインGT-R」と同じ2リッター直列6気筒4バルブDOHCエンジンを搭載し、最高出力160馬力(グロス)を誇る「フェアレディZ432」もラインナップ。
軽量なボディにストラット式4輪独立サスペンションによる走りの良さと、既存のクルマから積極的にパーツを流用することで比較的安い価格設定としたが相まってヒット作となり、とくにアメリカでは生産台数の8割近くが売れたほどの大ヒットを記録しました。
■ロングノーズ・ショートデッキを採用した最新のFRスポーツカーとは
●トヨタ「スープラ」
最新の造形と古典的なフォルムの融合に成功した「スープラ」
トヨタ「スープラ」はFR駆動に直列6気筒エンジンを搭載するという伝統を初代から守っており、2019年に登場した現行モデルにも踏襲されています。
スープラは先代のA80型が2002年に生産終了してから17年ぶりに復活。プラットフォームやエンジンはBMW「Z4」と共通で、生産はオーストリアのマグナシュタイヤーでおこなわれています。
外観はボンネットにフェンダー、ルーフが立体的な造形のグラマラスなボディで、前述のトヨタ2000GTをオマージュしたかのような正統派のロングノーズ・ショートデッキです。
内装はシリーズ初の2シーターとなっており、ドライバーを包み込むように設計された運転席のレイアウトは、まさに走ることに特化したコクピットといえます。
エンジンはトップグレードのRZに最高出力387馬力を発揮する3リッター直列6気筒ターボを搭載し、258馬力の2リッター直列4気筒ターボも設定。
また、シャシはアルミニウムとスチールを用いた骨格構造となっており、異なる素材同士の接合強度を追求して高剛性化を実現。
そのため、現代のスポーツカーらしく乗り心地を犠牲にすることなく、高い旋回性能を誇るピュアスポーツカーに仕立てられています。
●メルセデス-AMG「GTクーペ」
美しい流麗なフォルムにふさわしいハイスペックなモデルの「GTクーペ」
2014年に発売されたメルセデス・AMG「GTクーペ」は、メルセデス・AMG専用に開発されたモデルで、古典的ながらエレガントなデザインのロングノーズ・ショートデッキが特徴です。
垂直ルーバーを持つフロントグリルは伝説の「300 SL」レースカーをモチーフにデザインされ、クラシカルな一面を覗かしつつ迫力あるフロントフェイスを演出。
また、高度な空力性能と冷却性能を実現しながら、大きく張り出したフェンダーなどによって力強さを主張しています。
エンジンは2基のターボチャージャーをVバンク内側に配置した、4リッターV型8気筒ツインターボを搭載。
現在の日本仕様ではスタンダードな「GT」で最高出力530馬力、高ブースト圧と軽量フライホイールが与えられた「GT C」では557馬力を発揮します。
そして、オンロードレーシングカーを謳う「GT R」には、ドライサンプ方式のオイル潤滑を採用するとともに、専用ターボチャージャーや制御プログラムによってチューンナップされ、最高出力585馬力を実現。
GT Rは0-100km/h発進加速3.6秒、最高速度は318km/hと強烈な動力性能を誇り、もはやスーパーカーの領域です。
※ ※ ※
文中で紹介したフェアレディZですが、新型の7代目のデビューが目前に迫っています。
7代目の外観デザインは歴代フェアレディZのエッセンスが散りばめられ、とくに全体のフォルムは初代をインスパイアしたといえるロングノーズ・ショートデッキを採用。
先代のZ34型や5代目のZ33型も初代のイメージを色濃く反映していましたが、いい換えれば、それほどまでに初代のデザインは完成度が高かったということでしょう。
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