「お手上げ!」 探知不可な速度取締りがレインボーブリッジで実施!? 見破りづらい「光電管方式」とは
くるまのニュース / 2021年7月2日 10時10分
例年6月には全国各地で不正改造車の取締りがおこなわれています。2021年6月下旬の週末に首都高のレインボーブリッジ近辺で実施された速度取締りは、光電管方式でした。どのような内容だったのでしょうか。
■レインボーブリッジの手前で速度取締りがおこなわれる理由とは
2021年6月の最終週末は、全国各地で不正改造車の取締りがおこなわれました。
首都高では芝浦・箱崎・辰巳第一の各PA閉鎖に加え、レインボーブリッジ(11号台場線)付近で「光電管方式」による大規模な速度取締りがおこなわれたといいますが、どのような内容だったのでしょうか。
首都高での速度取締りといえば、この1年は移動オービスを使ったものが都心環状線(C1)を中心に首都高各所で実施されてきました。
これは、主に新型コロナ禍において増加するルーレット族を取り締まることを目的としたもので、同時に、ルーレット族が集まりやすいPAを週末深夜に閉鎖するなどの対策も講じられてきました。
しかし、移動オービスを検知するレーダー&レーザー探知機の性能が進化し、SNSで瞬時に情報が拡散される昨今では移動式とはいえ、仲間内ではすぐに場所が共有されます。
実際に首都高で検挙さている車両は、警察が取り締まりたいルーレット族ではなく、首都高の取締り情報に疎いルーレット族以外の車両が多いという実情もあるようです。
そこで、今回の取締りでは探知機による探知が困難な「光電管方式」が採用されたと考えられます。
ネズミ捕り(定置式)や移動オービスと異なる光電管方式とは、どのようなものなのでしょうか。
●ネズミ捕り方式(定置式)
昔からある取締り方法で、正式名称は「定置式速度取締り」です。
取締りには現認係、停止係、取調係など最低でも4-5名の警察官と、違反車両を引き込む場所、取り調べをおこなう場所も必要となるため移動オービスと違ってかなり大掛かりです。
速度測定は「レーダー式」と「光電式」の2種類の方法が主体です。
レーダー式は測定器のレーダー発信部を車道に向け、走行してくる車両にレーダーを当てて速度を計測します。
光電式(光電管方式)は道路の両端に2台のセンサー(光電管)を約3m間隔で設置し、通過車両の速度を割り出す方法です。
市販のレーダー&レーザー探知機での探知は難しいとされています。
●移動オービス(可搬式オービス)
2016年に埼玉県警が初めて導入して全国に普及しつつある新しい速度取締り方法です。
高速道路などに設置されるオービスと同様、速度違反のクルマを検知すると写真を撮ってナンバープレートに登録された住所に速度違反の通知が送られてきます。
可搬式(持ち運びできる)という言葉通り、場所を固定せず、また市街地の狭い道路にも装置を設置ができることが特徴です。
その場で撮影されるため、違反車両を引き込む場所や誘導する警察官なども不要です。
■レインボーブリッジで実施された取締り内容とは
2021年6月下旬の週末に首都高のレインボーブリッジ近辺で実施された速度取締りは、光電管方式でした。
取締り場所は、有明JCTで湾岸線西行きから11号台場線レインボーブリッジ方面に入り、緩いカーブが終わったあたりです。
台場線2.8kmポストにある非常駐車帯に警察車両のトヨタ「アリオン」が停まっており、そのすぐ先の道路の両端に光電管のセンサーが設置されていました。
緩やかなカーブを抜けた場所であり、また左側にもフェンスがあるため、取締りがおこなわれていることはほとんどわかりません。
非常駐車帯も狭く、道路の照明も薄暗くて、アリオンも一般車両が停まっているように見えました。
最初に通過した際にはアリオンのすぐ後ろに三脚のようなものが見えたので、「あれ? 移動オービス?」と思ったのですが、移動オービスの三脚にしては小さく細かったので違うと判明。
撮影した写真を見たら白い光電管のセンサーが確認できたので光電管による取締りだとわかりました。
ところで、ネズミ捕り方式の取締りでは、違反車両を引き込む場所と取り調べをおこなう通称サイン会場が必要です。
高速道路上ではその場所を確保するのがなかなか大変なわけですが、先週末にレインボーブリッジ手前でおこなわれた取締りでは橋を渡り終えた先にある芝浦PAがその会場となっていました。
違反車両の「サイン会場」は芝浦PAとなっていた
ちなみに、芝浦PAは現在もルーレット族対策のため辰巳第一PAや箱崎PAと同様、毎週金・土の深夜22時から翌朝4時までは閉鎖されています。
この日はレインボーブリッジの2車線のうち右側車線がカラーコーンやパトカーなどで完全に閉鎖されていました(違反車両が逃走するのを阻止し、ほかの交通の安全を守るためだと推測)。
そのため、左側1車線のみが走行可能となっており、閉鎖された芝浦PAに違反車両が誘導されていたようです。
芝浦PAに入ろうとした知人によると、「トイレ利用はできません!」とその場にいた警察官に断固拒否されたとのこと。
なお、サイン会場に使われるかどうかは関係なく、週末閉鎖時の芝浦PAと辰巳第一PAのトイレ使用は不可です。
毎週末閉鎖されている3つのPAのなかで、唯一トイレ利用が可能なのは箱崎PAです。
同じ日に訪れてみましたが、通路に十数台のクルマが停まっており、クルマ1台がやっと通れる程度という「満車」状態でした。
なお、光電管方式の取締りはレーダーでもレーザーでも探知ができません。
また、関係者によると光電管方式の取締り機器は高額となるためレンタル方式で運用しているとの情報もあります。
ところでレインボーブリッジ付近で速度取締りがおこなわれる理由のひとつに、サイン会場として使える芝浦PAが近くにあることと、もうひとつ大きな理由があります。
それは、この場所の最高速度が60km/hということです。湾岸線から11号台場線へは有明JCTから進入しますが、有明JCT近辺の湾岸線は最高速度が80km/hです。
しかし11号台場線に入ってすぐに60km/hに変わるため、湾岸線の感覚で速度を落とさず通過する車両が多く、すなわち速度違反するクルマが多いという実情があるのです。
制限速度が60km/hに低く設定されているのには安全上の理由があるため、光電管や移動オービスが設置されていたとしても制限速度を守って走っていれば何の問題もありません。
また、都心環状線(C1)の最高速度はほぼ全線で50km/h。高速道路とはいえ一般道の法定速度(60km/h)よりも低いことを知っておきましょう。
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