もはやクルマじゃない? アグレッシブすぎるデザインのクルマ5選
くるまのニュース / 2021年7月6日 6時10分
クルマの外観デザインは、販売台数に大きく影響を与えるほど重要なパートです。そのため、各メーカーとも広く好まれるデザインを目指すといえますが、なかにはかなり奇抜なデザインのモデルも存在。そこで、市販車ながらアグレッシブすぎるデザインのクルマを、5車種ピックアップして紹介します。
■超絶ユニークなデザインのクルマを振り返る
クルマの販売台数に大きく影響を与える要素のひとつに、外観のデザインがあります。同じような価格帯と性能ならば、最終的には好みに合うデザインのクルマを選ぶケースが多いのではないでしょうか。
デザインは好むか好まざるかという主観的な判断によるところが大きいため、各メーカーとも多くの人に好まれるデザインを目指すのが一般的です。
しかし、そうした流儀とは一線を画するような、超個性的なデザインのクルマも存在。
そこで、市販車ながらアグレッシブすぎるデザインのクルマを、5車種ピックアップして紹介します。
●ランボルギーニ「カウンタック」
今もスーパーカーの代名詞的存在である「カウンタック」
1970年代の日本で、小中学校の子どもたちが夢中になったスーパーカーブーム。この時、人気の二大巨頭といえば、フェラーリ「365GT4BB(もしくは512BB)」とランボルギーニ「カウンタック」でした。
なかでも1974年に誕生したカウンタックは、1973年に生産を終えた「ミウラ」の実質的な後継車としてデビュー。
最大の特徴であるガルウィングドア(いまではシザーズドアに分類)と、クサビ型の頂点に君臨するような外観のデザインは、当時の常識では考えられないほどのインパクトがありました。
このデザインはイタリアの名門カロッツェリア、ベルトーネに委ねられ、数多くのスーパーカー、スポーツカーを手掛けたマルチェロ・ガンディーニによるものです。
初期モデルの「LP400」では最高出力375馬力を誇る4リッターV型12気筒エンジンをミッドシップに搭載し、最高速度は公称300km/hを誇りました。
しかし、300km/hというスピードは少年たちにとって想像すらできない領域で、それよりもカウンタックという形そのものが、少年たちを夢中にさせた理由でしょう。
●アストンマーティン「ラゴンダ」
もはやセダンとは思えないほど前衛的なデザインの「ラゴンダ」
イギリスの高級車メーカーであるアストンマーティンは、これまで数多くのスポーツカーを輩出してきました。
現在、アストンマーティンのモデルは流麗なフォルムのクーペが中心で、ラグジュアリーSUVのDBXも大いに話題となっていますが、1978年に発売した第2世代の「ラゴンダ」は歴代モデルのなかでも異質なモデルとして知られています。
ラゴンダはクサビそのものといったスタイルの大型の4ドアセダンで、極限まで薄く作られたフロントマスクは大きく前方にオーバーハングし、ヘッドライトは4灯のリトラクタブル式を採用。
リアのトランク部分も大きく後方にオーバーハングし、フロントマスクと同様に上下に絞り込まれた形状です。
また、内装は英国製高級車では伝統的な本革と本木目を使いながらデジタルメーターを搭載するなど、伝統と革新が同居した斬新なものです。
ラゴンダはアストンマーティン車のなかでも特異な存在ですが、他社を含めても似たようなモデルが皆無といえるほど超個性的なデザインでした。
●シトロエン「SM」
ユニークなモデルが多いシトロエン車のなかでも伝説的な「SM」
シトロエンの作るクルマというと古くから個性的なデザインのものが多く、シトロエン車ならではの乗り味を含め熱狂的なファンが存在します。
なかでもファンを虜にしているモデルが1970年に発売された「SM」で、シトロエンのデザインの集大成といえるモデルです。
SMは全長5m近くあり、全幅も1.8mを超える巨大な3ドアハッチバッククーペで、スペース効率よりもデザインを優先したためか、サイズの割に室内の居住性は二の次という潔さが逆に魅力となっています。
外観は「宇宙船」と表現されたほど斬新で、長大な全長を巧みに生かしたファストバックスタイルは唯一無二といえるフォルムです
また、フロントフェイスは6連ヘッドライトが印象的で、ハンドルと連動してヘッドライトが左右に動く画期的なものでした。
エンジンはマセラティから供給された3リッターV型6気筒DOHCをフロントに縦置きで搭載し、前輪を駆動するFFレイアウトを採用。
SMはフルモデルチェンジすることなく、誕生から5年ほどで生産を終了。今では伝説的なモデルとして、マニア垂涎の1台です。
■有機的なデザインのモデルと、無機質なデザインの最新モデルとは
●ミツオカ「オロチ」
神話に登場する「八岐の大蛇」をヒントにデザインされた「オロチ」
1994年に日本で10番目の乗用車メーカーとして認められたミツオカは、これまで数多くの個性的なクルマを販売してきており、2020年11月には同社初のSUVである「バディ」を発売して注目されています。
このミツオカが開発したモデルのなかでもアグレッシブなモデルとして知られているのが「オロチ」です。
オロチはもともとショーカーとしてつくられ、何度かの仕様変更を実施したうえで2007年4月から市販されました。
車名は日本の神話に登場する「八岐大蛇(ヤマタノオロチ)」からとって「大蛇(オロチ)」と名付けられ、デザインもヤマタノオロチからヒントを得たスタイリングで、『一見すると「怖い」、しかし「見たい」』という衝動に駆られる妖艶さをコンセプトにデザインされました。
ボディサイズは全長4560mm×全幅2035mm×全高1180mmと、欧州製スーパーカーと同等のサイズです。
エンジンは最高出力233馬力を発揮するトヨタ製3.3リッターV型6気筒DOHCをリアミッドシップに搭載。スペック的には決して高性能ではありませんが、あくまでも見た目が重視された結果です。
オロチは2014年に生産を終了しましたが、いまもミツオカを代表するモデルとして君臨しています。
●テスラ「サイバートラック」
とても市販車のデザインとは思えないほどアグレッシブな「サイバートラック」
2003年に設立されたテスラモーターズ(以下テスラ)は、電気自動車に特化したメーカーで、その技術力を生かしてさまざまな電力系事業も展開しています。
このテスラから2019年に発表されたのが「サイバートラック」で、もちろんピュアEVです。
サイバートラックは2列シートキャビンのスポーツ・ユーティリティ・トラック(SUT)にカテゴライズされますが、外観は誰もが市販車となることを疑うほど斬新なデザインを採用。
外板のほぼすべてのボディパネルは平面で構成され、まるで往年のステルス攻撃機「F-117」をオマージュしたかのようです。
とくに特徴的なのが三角形のサイドビューを実現したキャビンで、誰の目にも奇異にも映りますが、流麗なフォルムが全盛の時代に対するアンチテーゼともいえるでしょう。
その後、2021年2月にテスラはサイバートラックの最終デザインを発表。2021年の終わりから2022年初頭にかけて、生産が始まる予定となっています。
※ ※ ※
モーターショーに出展されるコンセプトカーは、実用的な面を考えずにデザインされるモデルも多いですが、今回紹介した5台はすべて市販車ということが驚異的なことではないでしょうか。
また、カウンタックは見るからにスーパーカーといえますが、実際に空力性能はそれほど優れていないという実証実験もあるなど、やはり見た目が重視されたということです。
たしかに実用性ではこの5台とも疑問符がありますが、こうしたデザインを実現できたことは、すばらしいのひと言に尽きるといえます。
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