高値安定はまだまだ続く? 世界で人気のスポーツカー5選
くるまのニュース / 2021年7月16日 6時10分
近年、1980年代から1990年代に誕生した、ネオクラシックと呼ばれるクルマが人気です。とくに高性能なスポーツカーは世界的にも人気で、中古車価格の高騰が続いています。そこで、世界でもとくに高値で取引されているスポーツカーを、5車種ピックアップして紹介します。
■驚愕の価格で取り引きされるスポーツカーを振り返る
ここ数年の出来事ですが、1980年代から1990年代に誕生した「ネオクラシック」と呼ばれるクルマの人気が高まっています。
誰もが欲しがるというほどではありませんが、クルマ好きには大いに魅力的に映るのでしょう。
こうした傾向は日本のみならず世界的に広まっており、とくにアメリカや欧州ではこの年代のスポーツカーが人気で、中古車が高額な価格で取引されている状況です。
そこで、世界的に人気沸騰中のスポーツカーを、5車種ピックアップして紹介します。
●日産「スカイラインGT-R」
日本を代表する高性能車であり世界でも注目されている「スカイラインGT-R」
ネオクラシック人気の頂点といってもいいのが、日産「スカイラインGT-R」シリーズです。1969年に誕生した初代から、2002年に生産を終えた5代目の「R34型」まで、すべての世代が高値となっています。
スカイラインGT-Rの人気が高い理由はさまざまありますが、ひとつは日本専売(一部の国、地域を除く)だったため、海外では貴重な高性能車ということが挙げられます。
また、現行モデルの「GT-R」の先祖であることや、映画やTVゲームで紹介されたこと。ほかにもレースで勝つために誕生したというストーリーも、カーガイたちを魅了しているようです。
こうした旧車ブームが始まる前は、3代目の「R32型」なら過走行車が100万円台で入手できましたが、現在は最低でも300万円台。
最終モデルのR34型は2000万円前後が相場で、2021年7月11月のオークションでは、新車から未登録(走行距離10km!)だった限定モデルの「VスペックII ニュル」が6050万1円という驚愕の価格で落札されたほどです。
国内でもスカイラインGT-Rの個体数は減少しており、まだまだ価格高騰はしばらく続きそうです。
●トヨタ「スープラ」
現行モデルの登場で世界的にも人気が再燃したA80型「スープラ」
前出のスカイラインGT-Rの最大のライバルといえば、トヨタ「スープラ」です。なかでも1986年に登場した3代目の「A70型」、1993年に登場した4代目「A80型」は、世界的にも人気を博しています。
とくにA80型は性能やデザインからも生粋のスポーツカーといえ、もともと欧米でもカルト的な人気がありました。
スープラが人気の理由は映画に登場したこと、そして、2019年に5代目となるスープラが復活したことで、歴代が注目されたのも要因ではないでしょうか。
A80型のトップグレード「RZ」に搭載されたエンジンは3リッター直列6気筒DOHCツインターボ「2JZ-GTE型」で、国内では自主規制値上限の280馬力ですが、チューニングによる出力向上はめざましく、ブーストアップ程度のライトチューンでも400馬力前後、タービンを含めた吸排気系やカム、ピストンなどの交換にいたるフルチューンでは1000馬力近くまで出すことも可能なところも、アメリカで人気の秘訣といえます。
現在の国内での相場は500万円ほど、RZのノーマルならば1000万円強もしますが、2021年6月に米ラスベガスのオークションでは日本円にして約6000万円で落札された個体があります。
このスープラは、2001年に公開された映画「ワイルド・スピード」の劇中車として製作された1台で、実際にハードにチューニングされ、さらにレストア済みという付加価値もありますが、6000万円とは驚かされます。
●ホンダ「NSX」
今では希少なピュアスポーツカーとして欧米でも人気の初代「NSX」
1990年に誕生したホンダ初代「NSX」は、量産車世界初のアルミ製モノコックを採用し、超高性能ながらも普段使いもこなせる懐の深さで、スーパーカーの概念を変えたといわれる名車です。
さらに、開発にはF1パイロットの故アイルトン・セナや、中嶋 悟氏が携わったというヒストリーも、ファンには大いに魅力的といえるでしょう。
NSXは2005年に生産を終え、2017年に現行モデルの2代目が登場したことも、初代の人気沸騰の理由でもあります。
2代目では電子制御満載のハイテクスーパーカーとなったため、アナログな初代、とくに「タイプR」とスタンダードモデルのMT車は世界的にも人気が急上昇しました。
NSXは欧米でも販売されたこともあって、海外でも盛んに取り引きされていますが、国内では後期型の3.2リッターモデルでノーマルのMTならば2000万円前後の相場で、タイプRならば5000万円前後といわれています。
なお、欧州では比較的相場が安いAT車が注目されており、後からMTにコンバートするケースが多いようです。
■欧州車で価格高騰が続いているモデルとは?
●ポルシェ「911」
空冷モデルのなかでもとくに人気が高い964型「911」
クラシックなフェラーリやランボルギーニの価格高騰は凄まじく、今や天文学的な価格で取り引きされており、もはや美術品と同等の扱いです。
このフェラーリやランボルギーニの価格高騰は10年ほど前から始まりましたが、そもそも販売台数が少ない希少なモデルのため、活発な取り引きとまではいえませんでした。
そのため、次にバイヤーのターゲットとなったのがポルシェ「911」の空冷モデルです。
911は1964年に第1世代が誕生。1974年に第2世代、1989年に第3世代、そして1993年に登場した第3世代までが、空冷エンジンを搭載。
この空冷モデルはどの世代も世界的に人気ですが、とくに注目されているのが限定車で、日本のファンの間では通称「役モノ」と呼ばれています。
なかでも第3世代の「964型」は日本がバブル景気だった頃に販売され、世界的にも販売台数が多く、限定車も多数存在します。
また、964型はクラシカルな911の雰囲気を残しつつも、パワーステアリングや、ちゃんと「効く」エアコン、トルコンATを初めて搭載したことなどから、普段使いもこなせるというのも人気の理由です。
とくに前述のNSXタイプRのようにサーキット走行に対応した「カレラRS」や、特別なオープンモデル「スピードスター」、モデル末期に登場した「ターボ3.6」が、今も海外では高額で取り引きされています。
●ランチア「デルタ HFインテグラーレ」
グループAカテゴリーのWRCを席巻した「デルタ HFインテグラーレ」
日本を代表するラリーマシンといえば、三菱「ランサーエボリューション」とスバル「インプレッサ WRX」が挙げられますが、この2台よりも早くにデビューし、世界ラリー選手権(WRC)を席巻していたのがランチア「デルタ HFインテグラーレ」です。
デルタは1979年にオーソドックスなFFコンパクトカーとして誕生。このデルタをベースにしたマシンでWRCに参戦するため、1986年にはアバルトの手によって開発された「デルタHF 4WD」を追加ラインナップしました。
そして1987年シーズンからWRCに参戦を果たし、1988年には出力を向上した「デルタHF インテグラーレ」が登場。サイズアップしたホイールとタイヤを収めるために、前後ブリスターフェンダーとしたワイドボディを採用して迫力ある外観に変貌します。
その後、1992年にはさらにフェンダーを拡幅し、最高出力210馬力を誇る「デルタHF インテグラーレ エボルツィオーネ」が誕生。WRCでは6年連続でメーカータイトルを獲得するなど、当時のデルタは最強を誇りました。
欧州では古くからWRCの人気が高く、参戦する車両もイメージアップにつながって、デルタだけでなくランサーエボリューションやインプレッサ WRXは、今でも欧州で高い人気を誇っています。
なかでも最終モデルに近いデルタ エボルツィオーネ/エボルツィオーネIIは、ここ最近、急激に価格が上昇し、欧州では日本円で1000万円前後の価格で取り引きされています。
※ ※ ※
クラシックカーやネオクラシックカーの価格高騰の理由のひとつに、新型コロナウイルス感染症拡大があります。
コロナ禍で世界的な経済への打撃があったにもかかわらず、一部の富裕層は旅行やファッション、パーティにお金が使えないことから、余った資金をクルマへの投資に回したというのです。
実際に、クラシックスーパーカーの落札相場は上がり、1億円以上のハイパーカーも次々と新型モデルが発表されています。
この先、コロナ禍が収まると価格上昇の期待感もあるため、高額なクルマはもはや投機の対象という状況です。
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