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2035年に欧州が完全EV化!? ハイブリッドもNG? HV元祖のトヨタに与える影響は?

くるまのニュース / 2021年7月17日 7時30分

クルマの電動化が進む中、欧州は2035年に販売する新車を完全EVに移行するという方針を掲げました。実質的にハイブリッド車も販売が禁止されるものとみられますが、トヨタをはじめとした日本車メーカーにどのような影響があるのでしょうか。

■欧州で事実上ハイブリッド車が禁止になる!?

 2021年7月14日午後9時過ぎ、「欧州で2035年完全EV化の方針」という報道がネット上で一気に拡散されました。「まさかハイブリッドもNGになるなんて」と、眠気が覚めてしまった日本の自動車業界関係者が少なくなかったでしょう。

 こうした欧州での方針が日本市場にどう影響するのか、ユーザーとしても目が離せない話題だと思います。一体どういう背景があるのでしょうか。

 欧州連合(EU)の執務機関である欧州委員会(EC)が、温室効果ガスの低減の目指す欧州グリーンディール政策の一環として、今後に向けた包括的な提案を発表しました。

 欧州グリーンニューディ―ル政策は、2050年までのCO2など温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするという目標を掲げていて、現状でも「欧州は世界でもっともCO2規制や燃費規制が厳しい」といわれています。

 そのため、日系自動車メーカー各社のエンジンや電動化に関する開発担当者のほとんどが、「欧州CO2規制を最重要視して、それからアメリカ、中国、そして日本との規制内容とのすり合わせをする」と指摘するほどです。

 その欧州で今回の発表で明らかになったのが、「2035年の内燃機関(ICE:インターナル・コンバッション・エンジン)の新車販売を実質的に禁止」という厳しい内容です。

 これまで欧州各国が独自の達成目標として、20〇〇年までにガソリン車・ディーゼル車の新車販売禁止を表明してきましたが、電動化の解釈として一気にEV化するというのではなく、ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車も併存するという考えが主流でした。

 一方、今回の欧州委員会が包括的な提案を冷静に読み解くと、内燃機関の機能を併用するハイブリッド車やプラグインハイブリッド車も、事実上は2035年新車販売禁止と捉えることができます。

 これに対して、各国の自動車メーカー関係者らが欧日メディアに対してコメントしており、メーカーとして早期に電動化戦略変更を強いられるうえ、目標達成は極めて難しいという見解が紹介されています。

 ハイブリッド車といえば、世界に先駆けて「プリウス」を量産車として世に送り出したトヨタが本家本元です。トヨタのハイブリッド車は、2021年2月時点でグローバル累計販売台数が1700万台を超えました。

 2021年5月12日におこなわれた2021年3月期決算発表の際、記者からの質問に答える形で同社の執行役員でありチーフコミュニケーションオフィサーの長田推氏が直近のトヨタの電動化目標について説明しています。

 それによると、2030年における電動車販売台数見通しはグローバルで800万台。このうちの25%にあたる200万台が完全なEVを示すBEV(バッテリーEV)とFCEV(燃料電池車)と設定しています。つまり、ハイブリッド車が電動車の大半を占めるということです。

 地域別で見ると、日本は電動化率95%、そのうちBEVとFCEVを合わせたEV率は10%。北米は電動化率70%/EV率10%、中国は電動化率100%/EV率50%、そして欧州は電動化率100%/EV率40%となります。

 今回の欧州委員会の提案に準じるとなると、2030年見通しの40%をそこから5年間という短い期間で一気に100%することになり、現実的には極めて難しいといわざるを得ません。

 トヨタとしてもグローバルで行政機関への渉外活動などを通じて、欧州委員会の動向を事前にキャッチしていたはずですが、今回の欧州委員会の提案を大きな衝撃として捉えていることは間違いないでしょう。

■ハイブリッド車が普及する日本はどうなる?

 これまでトヨタの各方面に取材している限り、トヨタの電動化戦略は2019年6月に報道陣向けに実施した「EVの普及を目指して」という記者会見で公開された考えが基盤です。

 その時点でも2017年に公表した電動化の見通しを、欧州を主体とするグローバル市場の環境変化を捉えて大きく見直しています。その後もレクサスの電動化戦略を早めるなどの修正をおこなってきました。

SUVタイプの新型EV トヨタ「bZ4X」SUVタイプの新型EV トヨタ「bZ4X」

 そして2021年4月の中国・上海ショーでトヨタは、EVプラットフォーム「e-TNGA」を使う「bZ4X」を世界初公開し、「bZシリーズ」を含む新規EVを2025年までにグローバルで15車種に展開すると発表しています。

 しかし、こうしたEVシフトを欧州でさらに拡大するため、基本戦略全体を軌道修正することが必要になってくるでしょう。

 では、欧州市場での急激なEVシフトや事実上のハイブリッド車の新車販売禁止は日本にどのような影響を及ぼすのでしょうか。

 まず、国の方針としては、2020年12月に発表された「グリーン成長戦略」を2021年1月の通常国会の施政方針演説で菅義偉総理が補足する形で「2035年までに軽自動車を含めて新車100%電動化」を達成目標に掲げています。

 あくまでもこれは目標であり、欧州のCO2規制や米・カリフォルニア州のZEV法、中国のNEV施策などのような達成義務を伴う規制ではありません。

 また、トヨタの豊田章男社長が日本自動車工業会の会長という立場として、国やマスコミに対して「電動化=EVではない」と主張。

 水素燃料や再生可能エネルギー由来のe-フューエルの活用を含めたカーボンニュートラルを進めるべきとの考え方を示しています。

 トヨタ以外にも、ホンダや日産、マツダなどの社長や役員は決算発表や将来技術に関する記者発表で、「電動化は国や地域の電力供給体制や社会状況に応じて対応する」という基本的な方針は共通しています。

 こうした発言を額面通り受け取れば、ハイブリッド車の普及率が高い日本では、当面電動車はハイブリッド車が主流と思えます。

 とはいえ、これまで長年に渡り世界の自動車産業界をリードしてきたドイツが欧州グリーンディール政策で今後一気にEVシフトするなかで、日本市場に対するドイツ車の影響は小さいとはいい切れないでしょう。

 現状で、ハイブリッド車を含めた日本市場での電動化の見通しは不透明という表現が妥当かもしれません。

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