ガソリン価格はなぜ上昇? コロナ禍のなか高騰を続けるその理由とは
くるまのニュース / 2021年7月22日 11時10分
ガソリン価格が高騰しています。2021年に入ってからは上昇を続け、同年7月12日時点でのレギュラーガソリン小売価格の全国平均は158円と、およそ2年8か月ぶりの高値水準となっています。東京などでは4回目の緊急事態宣言が発出されている状況のなか、なぜガソリン価格は上昇しているのでしょうか。
■レギュラーガソリン1リッターの全国平均はいま160円近い
現在、ガソリン価格がじわじわと上昇を続けています。
2019年末から2020年初頭にかけて値上がりし、2020年1月20日には151.6円(レギュラーガソリン1Lあたり全国平均/石油情報センター調べ。以下同)だったガソリン価格は、コロナ禍の拡大で2020年5月11日に124.8円まで下落。その後、秋口まで133円から135円前後の水準が続きました。
しかし2020年10月からガソリン価格は値上がりに転じ、ほぼ一本調子の上昇となります。そして2021年3月には150円台に乗せ、直近の7月12日には158円と、160円台をもうかがう状況になっています。
その理由について、石油情報センターは以下のように話します。
「日本のガソリン価格を決める最大の要素は、ガソリンの原料となる原油の輸入価格です。今回のガソリン高の背景には、その原油価格の高騰があります」
しかしコロナ禍の影響で、2020年4月には原油の先物価格が史上はじめてマイナス(販売者が購入者にお金を払って原油を引き取ってもらう)となったことが大きなニュースとなりました。なぜここにきて、原油価格が高騰しているのでしょうか。
「ワクチン接種が進んだこともあり、欧米を中心にコロナ禍からの景気回復が順調に進み、それにともない石油の消費も伸びています。そうした需要の動向が、原油価格に反映されているのです」
さらに、原油価格の先高感を見込んだ投機資金の流入も、要因のひとつとして挙げられるそうです。
「世界的にはコロナ禍の影響による金融緩和が続いており、いわば“金あまり”の状況です。一方、コロナ禍からの景気回復が進めば、原油価格はさらに上昇を続けることになるでしょう。つまりそうした考えから値上がりで利益を得ようとする投機的な資金が原油先物市場に流れ込んでいることも、今回の原油高の要因のひとつに挙げられます」
■これからの夏休みシーズンでガソリン価格はどう動く?
しかし、アメリカを中心としたシェールオイル(地下深くの泥岩に含まれている有機物を加工して取り出すオイル)採掘技術が進み、低コストでの生産ができるようになったことで、原油価格は一定の水準で頭打ちになるという見方がありました。今回の原油高には、そうしたシェールオイルの動向は影響しなかったのでしょうか。
ガソリンも軽油も、原油を精製して作られる
「2010年まで、1バレルあたり100ドルを超える水準で動いていた原油価格が、2011年に突然50ドル前後まで暴落したのは、シェールオイルの増産が大きく影響したことによるものです。以降も、原油が値上がり基調になると、シェールオイルの増産が追いつき、価格の上昇をとどめる傾向がありました。
しかし不思議なことに、今回はシェールオイルの生産回復の動きが鈍いのです。採掘業者の資金がショートしているとか、アメリカの脱炭素の流れのなかでシェールオイル採掘への新規投資が抑制されているからといった説はありますが、本当の理由はよくわかっていません」
その一方で、原油産出国で構成されるOPECプラスの生産調整はうまくいっていることが、原油高につながっているそうです。
「昨年のコロナ禍での需要減に対応するため、OPECプラスは協調して減産しました。その足並みが揃ったことで、価格の上昇がここまで続いているとみられます」
※ ※ ※
そしていまもっとも気になるのが、これからの夏休みシーズンに、こうしたガソリン価格の上昇がさらに続くのかということです。
「じつは原油価格はやや不透明な情勢にあります。まずは新型コロナウイルス変異株による感染再拡大への懸念です。たとえばイギリスでは経済活動回復とともに増加する感染者が国民に不安を招いています。そしてもうひとつは、OPECプラスが先日決定した協調減産の削減(増産)です。これに市場がどう反応するか、現段階では先行き不透明といわざるをえません。そのため今後ガソリン価格が上昇するか、下降に転じるかも判断が難しいところです」
つい先だって、高速道路各社はETC休日割引の適用除外を8月22日(日)まで延長することを決めたばかり。もしガソリン価格の高止まりがこのまま続けば、夏休みシーズンのお出かけはちょっと財布に厳しいものになりそうです。
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