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数億超えの超高級車は「経費で落とせる?」 憧れのスーパーカーに乗れる? 実はズルくない節税手段とは

くるまのニュース / 2021年8月2日 9時10分

経費で購入したスーパーカーを社長が乗り回すというドラマや漫画などがありますが、高級車などを「経費で乗る」ことは可能なのでしょうか。

■利益を少なくするために、クルマを購入?

 都市部を走るクルマを見ると、1000万円を超えるような高級車を見つけることは難しくありません。
 
 しかし、「クルマの予算は、年収の3分の1まで」といったような、世にいう図式を当てはめてみると、レクサス「LS」やメルセデス・ベンツ「Sクラス」といった1500万円オーバーのクルマを購入するためには、5000万円クラスの年収が必要となってしまいます。
 
 もちろん、なかにはそうした超高収入の人もいるかもしれませんが、多くの場合、法人での購入、つまり「経費で落とす」ことで、クルマを手にしていると考えられています。

 しばしば耳にする「経費で落とす」という言葉ですが、個人で購入するよりも「オトク」なことがあるのでしょうか。

 現在の日本の税制では、大前提として、事業を運営するのに必要なものやサービスについては、「費用」として計上することが認められています。

 簡単にいえば、「売上」から「費用」を引いたものが「利益」であり、法人税などの法人所得に関する税金は、この「利益」に対して課税されます。

 利益の規模や企業の規模によっても異なりますが、ある程度の規模の中小企業であれば、概ね30%前後が課税されることになります。

 飲食店の場合、客の支払った金額(売上)から、原材料費や人件費、家賃や光熱費、広告宣伝費などの「費用」を引いた金額に対して、約30%が課税されることになり、仮に年間の利益が1000万円だった場合、約300万円を国に納める必要があります。

 しかし、もし利益が半分の500万円だった場合、税額も約150万円とおよそ半分になります。

 そこで、もし想定以上に利益が出た場合は、今後事業に必要なものを購入するなどして、一定額まで利益を抑えるという考え方が出てくるのです。

 そこで登場するのがクルマです。クルマは多くの事業で必要性が認められるため(=社長や社員の移動が必要でない事業はほとんどないため)、また、数十万円から数千万円単位まで価格の幅が大きく、利益に合わせて選択の余地があるという点でも経費計上しやすいものとされています。

 ただし、クルマのような高額なものは「一発計上」することが基本的にできません。

 つまり、1000万円の利益が出た企業が、1000万円の新車を購入したからといって、利益がゼロになる(=税金の支払いがほぼゼロになる)というわけではありません。

 細かい計算は省きますが、新車の場合は、会計上は6年かけて計上される(=毎年約167万円ずつ計上される)ことになり、これを「減価償却」といいます。

 これは、新車は少なくとも6年の耐用年数を持っていると国税庁によって規定されているためです。

 つまり、この先6年にわたって安定して利益が出続けるならともかく、一時的に利益が出た場合の節税策としては、新車購入は必ずしも適していないといわれています。

 一方、中古車であれば、およそ2年から4年程度で計上することができるため、一時的な利益に対する節税策としては、中古車の需要も低くはありません。

 高年式の状態の良い中古の高級車などは、かなりの部分はこうした法人需要向けといわれています。

 また、購入ではなくリースであれば、月々の費用がそのまま経費として計上され、複雑な計算を必要としないことから、法人にとってはメリットが多いといえます。

■「経費で落とす」はズルいこと?

「経費で落とす」と聞くと、なんだかズルいことをしていると思う人もいるかもしれません。

 しかし、経費(=会社のお金)で購入すること自体は社長の判断でできても、それを「経費として認めるかどうか」は税務署の判断となります。

 例えば、複数の店舗を持つ飲食店の経営者が、店舗間の移動のためのクルマとして、ごく一般的な国産乗用車を購入した場合は、問題なく経費として認められる可能性が高いと思われますが、超高級車やスーパーカーを選んだ場合は税務署の確認が入る可能性があります。

 さらにそれが、必要以上に利益を圧迫するような高級車であれば、経費として認めらない可能性も少なくありません。

会社の社長や重役が乗るクルマといえば国産高級ミニバンのトヨタ「アルファード」を見かける機会が多い会社の社長や重役が乗るクルマといえば国産高級ミニバンのトヨタ「アルファード」を見かける機会が多い

 一方、十分に利益が出ており、なおかつ事業としての必要性が認められれば、スーパーカーはもちろん、億単位のハイパーカーも経費として認められる可能性はあります。

 例えば、高額所得を得て法人化をしているような超有名YouTuberが、自身の動画の企画の一環としてスーパーカーを購入するなどの例です。

 ある程度継続的に自身の動画などで活用している場合は、経費として認められる可能性は高いでしょう。

 前述の通り、クルマなどを「経費で落とす」ことによって、法人税の額をおさえることができます。

 経営者にもよりますが、「どうせ税金で持っていかれるなら、使ってしまおう」と考える人も少なくありません。

 ただ、事業で必要なものである限り、あくまで「節税」であり、「脱税」のような不正行為ではありません。適切な「節税」については、国税庁でも推奨されています。

 重要なのは「税務署が判断する事業での必要性」であり、社長の独断で好き勝手できるわけではないということです。

 正当な商行為で得られた売上から、事業に必要なものとして、高級車やスーパーカーを「経費で落とす」ことはまったくズルいことではありません。

 例えば、「スーパーカーミュージアム開設のため」という名目でスーパーカーを買い集めたとしても、実際には開設の準備をせず、個人的に乗り回しているだけであれば、遅かれ早かれ税務調査でその実態が暴かれ、多額の追徴金を支払うハメになるでしょう。

※ ※ ※

「経費で落とす」という言葉には、まるでお金が湧いてくるような印象を受けますが、そんなことはありません。

 そもそも、高級車やスーパーカーを検討できるほどの利益を上げなければならないからです。

 そのうえで、税務署が認めるだけの「事業での必要性」を持たなければならないと考えると、やはり高級車やスーパーカーを「経費で落とす」ことはかなりハードルが高いことなのかもしれません。

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