真夏にスタッドレスタイヤでも大丈夫? そのままだと起きるさまざまな問題とは?
くるまのニュース / 2021年7月31日 16時10分
真夏にスタッドレスタイヤを装着したままのクルマでも、もちろんそのまま走ることはできますし、違法でもありません。ですがそれには、さまざまなデメリットがあるといいます。どんなことが考えられるのでしょうか。
■ドライやウエット路面は当然サマータイヤのほうが性能が上
暑い日が続いていますが、クルマ業界的にはこの冬に向けたスタッドレスタイヤの新製品の登場を迎える時期になっています。
ところで最近のスタッドレスタイヤは、「すぐれた氷雪路面性能」はもちろん、「ドライ路面での快適性」や「耐摩耗性」を謳うものが多くなっています。では、スタッドレスタイヤをそのまま夏タイヤとして使えるのでしょうか。
結論を先にいうと、そうした使い方は、いくつかの観点から、お勧めできません。その理由を、タイヤメーカー各社の公式サイトにあるFAQ(よくある質問)も参照しつつ、以下で解説したいと思います。
まずひとつ目の理由は、スタッドレスタイヤはサマータイヤに比べ、ドライ&ウエット性能がどうしても劣ってしまうことです。
スタッドレスタイヤは、雪面をグリップするため、タイヤ表面のトレッドに「サイプ」と呼ばれる細かい切り込みが入っています。またアイスバーンでもしっかりと路面に密着させるため、低温でも硬くなりにくいゴムが使われています。
そのため「乾燥路や湿潤路で使用する場合は、夏用タイヤに比べて制動距離が長くなる傾向がある」(出典:ブリヂストン)、「夏用タイヤ(ノーマルタイヤ)よりもハイドロプレーニング性能とブレーキ性能は低下する」(出典:TOYO TIRE)こととなります。
2021年7月15日に発表されたブリヂストンの乗用車用新スタッドレスタイヤ「ブリザックVRX3」
つまり、急に何かが飛び出してきたような状況において、サマータイヤならとっさのブレーキでなんとか止まれたとしても、スタッドレスタイヤでは制動が間に合わず事故につながる可能性があるのです。
■非降雪地域のドライバーはオールシーズンタイヤという選択肢も
次に、摩耗による劣化です。
スタッドレスタイヤは低温でも硬くなりにくいゴムを使っているため、「スタッドレスタイヤは夏用タイヤに比べてゴムが柔らかいので、夏場に使用すると夏用タイヤよりも減りが早くなる」(出典:ブリヂストン)とされています。
そしてスタッドレスタイヤは、摩耗の進行が、そのまま氷雪路面における性能の低下に直結します。
2021年7月15日に発表されたブリヂストンの乗用車用新スタッドレスタイヤ「ブリザックVRX3」。発表会にはテレビCMにも登場する女優の杏さんも登壇した
保安基準ではタイヤの溝の深さは1.6mm以上が必要とされ、これはサマータイヤもスタッドレスタイヤも共通ですが、冬用タイヤとしての使用については「スタッドレスタイヤは、溝の深さが50%に減りプラットホームが露出すると冬用タイヤとしては使用できなくなります」(出典:ブリヂストン)、「スタッドレスタイヤは溝の深さが新品時の50%摩耗したら冬用タイヤとして使うことができません」(出典:ダンロップ)と、より厳しい数値が性能の目安となります。つまり残り溝が50%となった時点で冬用タイヤとしての“寿命”が来てしまうのです。
さらに、タイヤそのものの価格にも注意が必要です。スタッドレスタイヤの価格は、一般的に、同じサイズのサマータイヤの1.5倍から2倍(サマータイヤのグレードにより異なる)と、かなり高価になっているからです。
このことから、スタッドレスタイヤを夏も履きっぱなしにすることは「いざというときに止まらない(=事故の可能性が高くなる)」「サマータイヤよりも減りやすい(=寿命が短くなる)」「サマータイヤより高価(=経済的に不利)」と、デメリットだらけであることがわかります。
※ ※ ※
でも「タイヤを履き替えたいけど、外したタイヤを保管しておくスペースがないし」という人もいるでしょう。そうした人は、以下のふたつの対応策を検討されてはいかがでしょうか。
まず、履かないタイヤ(夏期のスタッドレスタイヤ、冬期のサマータイヤ)を預かってくれる「タイヤ保管サービス」の利用です。窓口となるのはディーラー、カー用品店、ガソリンスタンドなどタイヤ交換を担う業者です。またタイヤ交換をDIYでやるという人なら、貸倉庫業者が手がけるより安価なサービスも視野に入るでしょう。
もうひとつは「オールシーズンタイヤ」の選択です。
TOYO TIREの最新オールシーズンタイヤ「セルシアス」を装着したクルマの走行シーン。都市部のドライバーにはメリットも大きい
オールシーズンタイヤは、アイスバーンなど冬の厳しい路面状況での性能を抑える一方、ドライ&ウエット性能、耐摩耗性を強化したタイヤです。サマータイヤがスリップしてしまうようなシャーベット状の雪でも走行が可能で、また「スノーフレークマーク」の認証を取得した製品は、「冬用タイヤ規制」がおこなわれている道路でも通行できます。
気温が氷点下を大きく割り込むことのない都市部などで「年数回の降雪に備えたい」という人には、有力な選択肢になるはずです。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
SUVのスタッドレスタイヤはどう選べば良いの? 横浜ゴム「iceGUARD 7」と「iceGUARD SUV G075」にはどんな違いがある? 同条件で試乗してみた
くるまのニュース / 2024年9月20日 21時30分
-
夏シーズンに「冬タイヤ購入」 一見「筋違い」も実は“メリット”しかないってホント? 雪が降らないイマ「スタッドレス」を買っておくべき理由とは
くるまのニュース / 2024年9月15日 9時10分
-
国内市場初! トーヨータイヤから氷雪上性能と耐摩耗性能を高次元で両立した小型EVトラック専用スタッドレスタイヤ「NANOENERGY M951 EV」発売
乗りものニュース / 2024年9月11日 11時12分
-
トーヨータイヤ、国内初の小型EVトラック専用スタッドレスタイヤを発売
レスポンス / 2024年9月11日 7時0分
-
EV専用パターンが氷雪上性能と耐摩耗性能を高い次元で両立 小型EVトラック専用スタッドレスタイヤ「NANOENERGY(ナノエナジー) M951 EV」を発売
Digital PR Platform / 2024年9月10日 14時45分
ランキング
-
1「SHOGUN」エミー賞受賞を喜ぶ人と抵抗ある人 日本人がアメリカで最多受賞した本当の理由
東洋経済オンライン / 2024年9月20日 13時0分
-
2「高齢者に炭水化物は毒」は大ウソである…長寿国では「パン、そば、うどん」をもりもり食べている事実
プレジデントオンライン / 2024年9月20日 15時15分
-
3朝食前に歯を磨かない人は「糞便の10倍の細菌」を飲み込んでいる…免疫細胞をヨボヨボにする歯周病菌の怖さ
プレジデントオンライン / 2024年9月20日 14時15分
-
4「ぜんたーい、止まれ!」その入場行進なんのため? 元体育主任が語る、運動会で廃止すべきこと3つ
オールアバウト / 2024年9月20日 20時35分
-
5「来来亭のラーメン」を16年以上毎日食べ続ける男性を直撃。体重の増減や健康診断の結果も教えてもらった
日刊SPA! / 2024年9月19日 15時54分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください