異次元の加速力! ポルシェ・スーパーEVのトップモデル「タイカンターボS」を体感した
くるまのニュース / 2021年8月3日 17時10分
ポルシェブランド初となる電気自動車(EV)として登場したのが4ドアクーペ「タイカン」だ。日本では2020年に登場、その後2021年1月には後輪駆動モデルが、同年3月にはオールラウンダー「タイカンクロスツーリスモ」と、バリエーションを増やしています。今回はそのトップモデル、タイカンターボSに試乗しました。
■爆音もなくスキール音もなしで圧倒的な加速力を実現
ポルシェ「タイカン」は、ポルシェのBEV(バッテリーEV=電気自動車)として2019年に、日本では2020年に登場しました。
2021年夏の時点では、タイカン、タイカン4S、タイカンターボ、タイカンターボSという4つのグレードが用意されています。後輪駆動の2WDのタイカンは1203万円、4WDのタイカン4Sは1462万円、タイカンターボは2037万円、タイカンターボSは2468万円と別表のようにパフォーマンスの上昇とともにプライスも上昇します。
今回試乗したのはその最上級グレード、タイカンターボSです。
ターボというネーミングは、これまでのガソリンエンジンを搭載したポルシェのハイパワーバージョンと同じイメージを出したかったそうで、決してターボチャージャーが付いているわけではありません。
タイカンターボSのパフォーマンスは圧倒的です。0-100km/h加速が2.8秒というのは、カタパルトで空母から戦闘機を射出されるような(体験したことはありませんが)加速を味わえます。
それを爆音もなし、タイヤのスキール音もなしにやってのけるのです。さらにすごいのは、そのまま加速を続けるとあと7秒で200km/hに達するところ。つまり0-200km/hをたった9.8秒で加速するというのは、身体の弱い人なら目眩を起こしそうなレーシングカー並みの加速Gを感じることができるのです。
タイカンターボSのリチウムイオンバッテリーの総容量は93.4kWh、使える正味容量は83.7kWhで、フル充電で走れる距離はWLTCモードで416kmになっています。通常ならば余裕を持って300kmは走行可能です。
たしかにもっと長く走れるほうがいいとは思いますが、充電場所さえ把握していれば日常の走行ならOKでしょう。ただしレーシングサーキットでポルシェらしくアクセル全開、フルブレーキングのようなドライビングを連続すると、100km前後しか走れないかもしれません。
ガソリンエンジンのポルシェモデルで同じことをやれば、航続距離は同じくらい短くなりますが、エンジンをレッドゾーン入口までフルに回して、サーキットを連続走行できる腕のあるドライバーはなかなかいません。
ところがタイカンはBEVなので、アクセルペダルを床まで踏みつけても音もなく加速するので、ちょっと慣れれば恐怖心を持たずに誰でもできてしまいます。立ち上がりから最大トルクを出せる電気モーターの特性を活かしたハイパフォーマンスBEVの新しい時代が始まっているようです。
ポルシェ「タイカンターボS」のインパネ
強い回生ブレーキも効くBEVなのだから、巨大なキャリパーを持つポルシェ・セラミック・コンポジット・ブレーキ(PCCB)という贅沢なブレーキシステムを備えなくても良いのではないかと乗る前は思いました。
しかし実際にこの加速力を体験し、約2.3トンの重量を止めることを想像したら、サーキット走行を想定したらこのブレーキが必要なことが理解できました。ただし実際には、一般道を走っているときの低Gのブレーキングシーンでは、ほとんどが回生ブレーキで減速しています。
ブレーキペダルのフィーリングは、少し踏み込むと剛性が出て、あとは踏力だけでコントロールできるところはいつものポルシェに近い感覚です。HVやEVにあるような遠隔操作のブレーキフィールではないので扱いやすく感じました。
■鋭い加速力とともに快適な乗り心地も特筆レベル
タイカンターボSのポルシェらしさは、一般道を流しているときに感じました。
2年ほど前にポルシェ「911 GT2 RS」に一般道で試乗したことがありますが、そのとき乗り心地の良さに驚いたことを今回タイカンターボSに乗って思い出しました。
ポルシェ「タイカンターボS」の走り。黄色いキャリパーの「ポルシェセラミックコンポジットブレーキ」はタイカンターボSに標準装備
大径ホイールに薄いタイヤ、低い車高、リアには大きな羽が生えているGT2 RSなのに、小さな段差はきれいにいなし、大きめの段差、舗装の不整やうねりは大きなストロークを持つサスペンションが吸収してくれました。意外にもボディの上下動がソフトで非常に快適なのです。もちろんフワフワしている感じではなく、しっかり感はあるのにたっぷりとした上下のストロークで、乗員に衝撃を伝えないところがGT2 RSもタイカンターボSも共通していました。
もちろんこれはドライブモードがノーマルモードのときです。スポーツモード、スポーツプラスモードにステアリングスイッチで切り替えるとアクセルレスポンスのゲインが上がり、サスペンションがハードに切り替えられます。
スポーツプラスでは車高も下がり、リアアクスルステアもスポーツドライビングに合わせて曲がりやすい制御をおこないます。ポルシェエレクトリックスポーツサウンドにより、まるでエンジン車のような雰囲気までも醸し出します。ドライブモードはこの他にレンジ、インディビジュアルがあります。
ポルシェらしいところ、それはクイックに車高を上げるシステムがあることです。やはり一般車両と違ってアプローチアングルが小さく顎を擦りやすいことが理由ですが、これは必須のオプションだと感じました。
タイカンターボSはBEVだから充電しなくてはなりませんが、「ポルシェターボチャージング」ではおよそ5分で100km走行分の充電ができるということです。今回の試乗では、車内表示で51%から100%まで(チャージャー表示で40.676kWh)入れるのに43分だったから、かなり早いといえます。バッテリー満充電状態でのレンジは361kmと出ていました。
タイカンターボSは、また乗りたくなるクルマです。あの快適な乗り心地と鋭い加速力は病みつきになりそう。タイカンもやはりポルシェの魅力を満載したクルマでした。
ポルシェ「タイカンターボS」の走り
Porsche Taycan turbo S
ポルシェ タイカン ターボS
・車両価格(消費税込):2468万円
・試乗車オプション込み価格(消費税込み):2812万1000円
・全長:4965mm
・全幅:1965mm
・全高:1380mm
・ホイールベース:2900mm
・車両重量:2330kg
・原動機種類:交流誘導電動機
・バッテリー容量:93.4kWh
・モーター システム最高出力:761
・モーター システム最大トルク:1050Nm
・交流電力量消費率(WLTCモード):260.0Wh/km
・駆動方式:4WD
・最高速度:260km/h
・0-100km/h加速:2.8秒
・0−200km/h加速:9.8秒
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