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「オペル」が16年ぶりに日本再参入決定! 2022年に復活するドイツブランドの勝算は

くるまのニュース / 2021年8月25日 18時10分

オペルの日本語版ウェブサイトがオープンしました。従来、2021年中としていたオペルの日本での発売開始ですが、2022年上半期に決まりました。そんなオペルとは、そもそもどんなブランドなのでしょうか。またオペルに勝算はあるのでしょうか。

■新型コロナや半導体不足の影響で日本再参入は後ろ倒しに

 2021年8月3日に、かねてより日本市場参入を発表していたドイツブランド「オペル」の日本語版サイトがオープンしました。

 昨年2020年2月に、プジョー/シトロエン/DSのブランドを展開するグループPSAジャパンが、オペルの日本市場への再参入を発表した際には2021年内のローンチとされていましたが、実際のオペルの発売開始およびディーラーオープンは2022年上半期となりました。

 これは、当初の想定を超える新型コロナウイルス感染拡大、そして半導体の世界的な供給不足などの外的要因が理由とのことです。

 そんなオペルとはいったいどんなブランドなのでしょうか。

 再参入というように、オペルは過去、日本市場で発売されていたこともあり、2006年の撤退が直近の動向となります。

 オペルは欧州ではシェアが高く、創業はなんと1862年と非常に歴史のあるブランドです。日本でいえば幕末の文久元年、明治維新による明治元年の1868年よりも6年も前のこと。カール・ベンツが自動車を発明する1886年よりも24年も前になります。

 当初はミシンを製造していましたが、1899年にオペル第一号車「システム・ルッツマン」を世に送り出します。そして第一次世界大戦前までに小型車をヒットさせ、当時のドイツ最大の自動車メーカーに成長していました。

 しかし、1920年代に創業一族の主要メンバーが死去したことを鑑み、オペルは1929年に大きな決断を下します。それがアメリカのGMとの資本提携です。以降、オペルはGM傘下のブランドとしての歴史を歩むことになります。

 第二次世界大戦によってドイツは荒廃するものの、オペルは戦後わずか1年で生産を再開。GMもすぐに復帰したことで、オペルの戦後復興は順調に進んでいきました。

 ちなみに日本でも1952年からオペルが発売されています。

 その後、欧州では小型や中型のファミリーカーとしてオペルは高い評価を得て、販売を伸ばしていきます。1970年代にはワールドカー構想をもとに、オペルの「ニューカデット」をベースにした兄弟車が世界のあちこちで誕生。日本では、当時GMと提携していたいすゞより「ジェミニ」が生まれています。

 一方、日本市場ではオイルショックの影響で、オペルの輸入が1980年代前半まで一時中断しました。

 そして1993年、輸入車販売大手のヤナセが、オペルを扱うようになりました。さらに1995年には、エントリーモデルとなる「ヴィータ」が日本に上陸。なんと200万円を下回る手ごろな価格で大人気になります。

 当時、輸入車といえばイコール高級車であり、大衆車としてのドイツブランドの登場に、オペルが注目されることになりました。

 ただし、その後のオペルの販売は伸び悩み、結局、2006年に日本から撤退してしまったのです。

■最初の導入モデルは「コルサ」「モッカ」「グランドランド」の3車種

 オペルは現在、自動車メーカー「ステランティス」のブランドとなっています。

 オペルとGMとの関係は、はるか90年ほども前の1929年から続きましたが、2017年にオペルはGMとの関係を断ち切り、グループPSAに参加しました。グループPSAとは、プジョーとシトロエン、DSの3ブランドを発売するフランスの自動車メーカーで、ここにオペルが加わることで、欧州におけるシェアはVWグループに次ぐ2位となりました。

1899年にオペルがはじめて製造した自動車、パテントモーターヴァーゲン「システム・ルッツマン」1899年にオペルがはじめて製造した自動車、パテントモーターヴァーゲン「システム・ルッツマン」

 さらにグループPSAは、2021年1月にFCA(フィアット・クライスラー・オートモビルズ)と合併、ステランティスとなりました。ステランティスの世界シェアは4位。ステランティスのなかで、オペルは唯一のドイツ・ブランドということで、技術面などで非常に重要なポジションを担います。

 オペルは、グループPSA合流後に経営計画となる「PACE!」を発表しました。

 内容は多岐に渡りますが、注目点は「2020年代の半ばまでに、欧州以外の市場での販売台数を10%にする」とあります。逆にいえば、オペルはほとんど欧州市場だけで戦っていたブランドだったのです。

 この計画に沿ってオペルは、アジア、アフリカ、南米での存在感強化に努めるといいます。さらに2022年までに新たに20の市場への参入が謳われています。その計画があるからこそ、日本への再参入が決まったのでしょう。ちなみに、日本以外にもロシア市場への再参入、コロンビアとエクアドルへの市場参入もおこなうといいます。

 また、経営計画PACE!では、電動化の推進も謳われており、2024年までには完全な電動化をおこないたいといいます。その具体例として挙げられるのが、2019年にフルモデルチェンジした「コルサ」。Bセグメントのコンパクトカーであるコルサには、純粋な電気自動車仕様の「コルサe」が用意されており、グループPSAのなかでも電動化の急先鋒といえる存在です。

※ ※ ※

 日本で最初に導入するモデルはすでに発表されています。Bセグメントハッチバックのコルサとコルサe、BセグメントSUVの「モッカ」、そしてCセグメントSUVの「グランドランド」の3車種です。ちなみにコルサは、以前日本で展開されていた際にはヴィータという車名でしたが、今回は日本でも欧州名と同じコルサの車名で登場する予定です。

コルサにはフルEV「コルサe」も用意されるコルサにはフルEV「コルサe」も用意される

 さらにMPVの「コンボ」やCセグメントハッチバックの「アストラ」など、モデルレンジは随時拡大予定となっています。

 これらはどれも日本車でも人気のジャンルばかり。しかも、どのモデルも欧州での販売価格を見ると、日本車と遜色ないレベル。ドイツのプレミアム・ブランドとは異なる価格帯で、日本に再参入することは間違いありません。

 つまり、再参入するオペルの強みは1990年代の時と同じくコストパフォーマンスです。

 ドイツ車ならではの高速走行性能を備えつつも、他のドイツ車とは違うリーズナブルさがあり、生産コストはステランティス傘下で大幅に圧縮されています。今後は、車種アーキテクチャーを9つからふたつまで減らす計画さえもあるといいます。

 ただし、1990年代から2000年代初頭のオペルは、品質面での不満もありました。それが2006年の撤退の理由のひとつとなっています。

 今度の再参入では、そこをクリアしつつ、しかもリーズナブル。それを実現できれば、オペルの日本での足場も固まるのではないでしょうか。すべては品質にかかっています。

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