三菱新型「エアトレック」16年ぶりに復活&年内発売? タフな三菱顔採用の中国専売車とは
くるまのニュース / 2021年8月18日 14時10分
2021年4月19日に開催された上海モーターショー2021で、三菱新型「エアトレック」のデザインが世界初公開となり、その後、6月の重慶モーターショーにて正式発表されました。16年ぶりにエアトレックの名が復活することになりますが、どのようなクルマなのでしょうか。
■懐かしい車名が中国で復活。三菱「エアトレック」発売間近か
2021年4月の上海モーターショーでその登場が予告され、同年6月の重慶モーターショーにて正式に発表された三菱自動車の中国専売電動SUV「エアトレック」。
新たに、中国の政府機関、中華人民共和国工業情報化部(通称:工信部)のサイトに登場し、詳細が明らかになりました。
工信部とは、日本でいうところの経済産業省や総務省の業務を扱う機関となり、中国では自動車メーカーが新型車を正式発表する前に、その情報を工信部に届け出る必要があります。
そのため、工信部が掲載する情報を元にこれからどのようなクルマが発表されるのかが事前にわかるシステムとなっています。
エアトレックといえば、日本では2001年から2005年まで三菱が販売していたSUVを思い浮かべる方が多いでしょう。
日本国外では「アウトランダー」や「パジェロスポーツ」などの名前で販売されており、SUVでも、ワゴンでも、ミニバンでもない、まったく新しい「スマートオールラウンダー」をコンセプトとした設計思想は斬新でした。
しかし、日本独自の車名を冠した「エアトレック」は1世代限りで販売を終了。その後、海外含めてエアトレックの車名が使われたことはありませんでした。
それから16年後の2021年、姿を消したエアトレックの名前が中国でEVのコンパクトSUVとして復活することになったのです。
新型エアトレックは三菱自動車と三菱商事、広州汽車集団の合資会社「広汽三菱」が中国国内で製造・販売をおこないます。
広汽三菱は現在、「ASX(日本名:RVR)」、アウトランダー、「エクリプスクロス」を中国国内で生産していますが、今回のエアトレックがそこへ加わることにより、中国国内で現在生産・販売している車種は4つとなります。
■新型エアトレックのベースは三菱車ではない!
エアトレックの製造と販売は三菱がおこなう形となっていますが、実はベースとなっている車種は広州汽車グループ(GAC Group)傘下のEVブランド「アイオン」が展開する「V」というSUVです。
2020年6月に発売したブランドの3番目となる車種で、自社開発のアルミ製EVプラットフォームGEP2.0を採用、5G対応のコネクテッドシステムや、オートパーキングシステム、高精度地図システムを使用したレベル3の自動運転システムなど、多くの新技術を搭載しています。
海外自動車メディアが新型エアトレックを紹介した記事のなかには、「新型エアトレックのベースは2021年2月に米国で発表された新型アウトランダー」などと書かれているものもありますがこれは間違いです。
アイオンVとエアトレックの関係性はデザインからも見て取れますが、型式番号からも確実なことがわかります。
エアトレックの型式番号は「GMC6460」、アイオンVの型式番号は「GAM6460」と、製造工場を表す最初のアルファベット以外は同じ。最初の「G」は「Guangzhou=広州」を意味しています。
アイオンVの製造自体は広州汽車集団の子会社、広州乗用車有限公司が担当しており、今回、広汽三菱へ提供されデザインを少し変更して「三菱エアトレック」として製造・販売されることになりました。
EV ブランド「アイオン」が展開するSUVの「V」(画像:アイオン)
では、工信部に提出された情報を見ていきましょう。まずはボディサイズですが、全長4630mm×全幅1920mm×全高1728mm×となっており、これはアルファロメオ「ステルヴィオ」やジープ「チェロキー」に近いサイズです。
ちなみにベース車両のアイオンVは全長4650mm×全幅1920mm×全高1720mm×ホイールベースは両車とも2830mmとなっています。
パワートレイン関連はどうでしょうか。リチウムイオン電池の容量は明らかになっていませんが、航続距離はNEDC方式で500kmとすでに発表されています。
モータは日本電産(Nidec)が中国・浙江省に置く拠点、日本電産自動車モータ有限公司が生産するモータで出力は135kW。
ちなみに日本電産は京都府京都市に本拠地を置く会社です。同社はモータの製造を得意としており、パソコンのHDD用スピンドルモータや携帯電話用振動モータ、ATM用カードリーダ、電動パワステ用モータにおいては世界1位のシェアを誇っています。
現在はEV用の駆動モータに力を入れており、中国では広州汽車やジーリー(吉利)の各EV車種が日本電産製のモータを使用しています。
また、配送大手の佐川急便が採用を発表したASF株式会社(本社:東京都港区)製の配送用小型EV「G050」にも日本電産のモータとインバータが採用されています。(日本電産は「モータ」表記なので「モータ」に統一)
三菱によると、新しいエアトレックの名前は、「Ambition(野心)」、「Interesting(興味深い)」、「Relationship(関係性)」、「Talent(才能)」、「Regeneration(再生)」、「Evolution(進化)」、「Key(カギ)」 の頭文字を組み合わせたもの「AIRTREK」としています。
一方で、2005年まで日本で販売されていた初代エアトレックは「自由に冒険的な旅をする」という意味を込め、「Air」と「Trek」を合わせた造語だったのでコンセプトとしては近いものとなっています。
新型エアトレックは、前述の通り2021年6月の重慶モーターショーで発表されており、政府への届出もすでになされています。
恐らく2021年11月の広州モーターショーでは実車の展示もおこなわれ、年内の発売開始は確実と見られます。
残念ながら日本に向けてローンチされることは無いでしょうが、このクルマがどのようにして中国市場で受け入れられるのか、注目すべき点です。
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