「F40」「F50」「エンツォ」「ラ フェラーリ」で4億円超えのもっとも高価なフェラーリは?
くるまのニュース / 2021年8月23日 19時10分
フェラーリ「F40」「F50」「エンツォ フェラーリ」「ラ フェラーリ」というスペチアーレ4台のうち、もっとも高価なクルマはどれか、「ペブルビーチ・オークション」の結果から考察する。
■歴代フェラーリのスペチアーレ4台がオークションで勢揃い
世界的なコロナ渦の影響で、規模を縮小したり、オンラインによるオークションを開催することが唯一の手段ともいえたRMサザビーズ。この事情はもちろんほかのオークショネアにも共通するところだが、2021年8月中旬の「ペブルビーチ・オークション」には、素晴らしい出品車を集めてきた。
まず注目されたのは、RMサザビーズのフェラーリ製スペチアーレのコレクションだ。これは1991年式の「F40」、1995年式の「F50」、2003年式の「エンツォ」。そして2015年式の「ラ フェラーリ」を一堂に集めて見せたものであった。ロット・ナンバーこそそれぞれに離れた数字であったため、ひとつのコレクションというわけではなかったのだが、1980年代から2000年代に誕生したスペチアーレが、現在どの程度の価値かあるのかを知るには、このオークションは非常に参考になるものといえた。
フェラーリの創業40周年を祝するため、1987年に誕生した「F40」(C)2021 Courtesy of RM Sotheby's
●「F40」
まずは1987年に誕生したフェラーリの創業40周年を祝するための一台、F40からだ。
ピニンファリーナのレオナルド・フィオラバンティの作といわれる機能的で流麗な美しさが現在でも魅力的に映るF40は、当時の軽量化技術がフルに活用された。
リアミッドには最高出力478psを発揮する3リッターV型8気筒ツインターボエンジンが搭載され、1100kgというきわめて軽量なボディを加速した。
最高速は実測値で325.8km/h。生産台数は諸説あるものの1311台というのが定説となっている。
今回RMサザビーズのオークションに登場したF40は1991年式。落札価格は242万5000ドル(邦貨換算約2億6433万円)とその人気は相変わらず高かった。
F1マシンと同様に、カーボンファイバー製のモノコックタブを基本構造体とした「F50」(C)2021 Courtesy of RM Sotheby's
●「F50」
それに続くF50は、これまであまりにもスパルタンな乗り心地で、多くのカスタマーからは敬遠される傾向にあったモデルだ。F1マシンと同様に、カーボンファイバー製のモノコックタブを基本構造体とし、その後部に4.7リッターV型12気筒自然吸気エンジンを剛結、つまりサブフレームやラバーマウントなどを介することなく直接搭載された。
F50は、F1マシンなどと同様にエンジン、そしてトランスミッションをも剛性を負担する構造物として使用しているのだ。
フェラーリにもEV化の波が押し寄せている昨今、自然吸気V型12気筒エンジンはいつまで生産されるのだろうか、という不安もカスタマーにはあったのだろう。そしてもっともスパルタンな12気筒スペチアーレは何かと考えた時に浮かんだのがF50の姿であったのだ。
オークションは予想以上に盛り上がり、最終的な落札価格は396万5000ドル(邦貨換算約4億3219万円)に達した。
わずか349台しか生産されなかったF50。出品車はこの中で76番目に生産されたモデルで、2013年にはフェラーリ・クラシケから「ベスト・F50」のタイトルも得ている。落札価格がここまで上昇したのも当然の結果なのだろう。
■もっとも高額なスペチアーレ発表
F40、F50と進化を続けたフェラーリのスペチアーレ。次に待っていたのは、その名も「エンツォ フェラーリ」とダイレクトに創業者の名前を掲げた、やはり12気筒モデルだった。
F40やF50に比べて一気にラグジュアリーな印象になった「エンツォ フェラーリ」(C)2021 Courtesy of RM Sotheby's
●「エンツォ フェラーリ」
デザインは明らかにF1マシンを意識したものとなり、リアミッドには、F50とは反対にラグジュアリー性を意識して、サブフレーム上に660psの最高出力を誇る6リッターV型12気筒自然吸気エンジンが搭載されることになった。
リッターあたりのパワーは実に110ps。それが当時最新の技術によるブランニューのエンジンであったことは、エンジンブロックがアルミニウム素材で成型されていることなどでも証明されている。
エンツォ フェラーリのエクステリアで大きな特徴となっているバタフライ式のドアを開くと、F40やF50に比べて一気にラグジュアリーな印象になったインテリアだろう。
軽量化のため、カーボンファイバーがメインマテリアルであるという事情は変わらないが、シートなどにレザー素材を用いることで、高級感を演出しているのもエンツォならではのフィニッシュだ。
ちなみにエンツォの生産は2002年から399台の限定で開始されたが、後に教皇ヨハネパウロ2世のために特別に生産された1台があり、生産台数は400台となった。
今回の落札価格は、336万ドル(邦貨換算約3億6624万円)。その人気は衰えを知らない。
フェラーリ独自のハイブリッド・システムのHY-KERSを搭載した「ラ フェラーリ」(C)2021 Courtesy of RM Sotheby's
●「ラ フェラーリ」
最後に、2013年のジュネーブ・ショーで発表されたラ フェラーリを紹介しよう。
ラ フェラーリの技術的なトピックスは、何といってもフェラーリ独自のハイブリッド・システムのHY-KERSを搭載していることだ。エレクトリック・モーターのみでの走行はできないが、エンツォ比でCO2排出量を50%削減するなど、その効果は大きかった。
ラ フェラーリはこれまでのピニンファリーナによるデザインではなく、フェラーリの社内デザインチーム、フェラーリ・デザインによってスタイリングが完成されたモデルでもある。
販売は当初499台の計画でおこなわれる予定だったが、2016年にイタリアで発生した大規模地震のチャリティのために、500台目が生産されている。
今回のオークションでの落札価格は325万ドル(邦貨換算約3億6425万円)。ほかに出品されたフェラーリのリザルトを見ても、まだまだこのブランドの強さは印象的だった。
* * *
今回出品されたスペチアーレ4台は、コンディションやカラー、仕様などの違いもあるため、4台の落札価格がそのまま4車種の現在の価値を反映しているとはいい難い部分もあるが、参考までに落札価格の低いものから並べると次のようになる。
F40、ラ フェラーリ、エンツォ フェラーリ、F50。
これはそのまま生産台数が多かった順番にも呼応している。昨今のF50の急騰ぶりも目を見張るものがあるが、生産台数が少ない方がオークションマーケットでは値が上がるという、もっともな結果であった。
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