【あなたは大丈夫?】 自宅前の駐車スロープ設置は違反? 全国各地で目撃される行為がダメな理由
くるまのニュース / 2021年8月26日 9時10分
道路との段差を解消するために設置する「段差スロープ」。ホームセンターなどで簡単に購入できる屋外用品ですが、設置の仕方によっては法律に抵触して、罰せられることもあるようです。どのようなケースで違反になるのでしょうか。
■道路に段差スロープを設置すると違反になる?
住宅の敷地内の段差や、歩道と車道の高さの違いを解消するために「段差スロープ(駐車スロープ)」と呼ばれる物が設置されているのを見かけることがあります。
しかし、設置の仕方によっては法律に抵触する可能性があるといいますが、どのようなケースで違反になるのでしょうか。
段差スロープは、「段差解消プレート」、「乗り入れブロック」などと、名称は商品によってさまざまで、ホームセンターやネット通販などで簡単に購入することができます。
サイズは5cm、10cm、15cmとさまざまな段差の高さに対応しており、材質もゴム製や金属製、コンクリート製など種類も豊富です。
用途もクルマ用だけでなく、バイクや自転車にも使えるなど生活に欠かせない存在といえるでしょう。
このように便利でさまざまな用途で活躍している段差スロープですが、使い方によっては法律違反になる恐れがあります。
道路法第43条(道路に関する禁止行為)第2項では、「みだりに道路に土石、竹木等の物件をたい積し、その他道路の構造又は交通に支障を及ぼす虞(おそれ)のある行為をすること」との規定があります。
そのため、段差スロープの設置は道路法違反になってしまう可能性があります。
神奈川県川崎市道路管理部路政課の担当者に道路スロープの設置について聞いたところ、次にように話します。
「自宅や駐車場出入口前の道路上に、道路との段差などを解消するための段差スロープを設置したり、側溝の上にフタを設置したりすることはやめてほしいです。
段差スロープを設置すると、歩行者がつまずいてケガをしたり、自転車やバイクの転倒、段差スロープを跳ね上げることで、事故の原因になる恐れがあります。
さらには、段差スロープが雨水の流れを止めるため、排水処理ができずに道路が冠水する原因となることもあり、こうした場合、道路スロープを設置した人の責任となります。
そのため、設置している場合は速やかに撤去してほしいです」
※ ※ ※
実際に大阪府堺市では、ミニバイクの大学生が車道と歩道の段差解消ブロックに接触して転倒し、その後、クルマにはねられて死亡する事故も起きています。
この事故では、車道と歩道の段差を解消するための段差ブロックを設置していた飲食店経営者が、道路法違反(道路での禁止行為)容疑で書類送検されました。
飲食店経営者は堺市の国道に面した店の前に、駐車場に出入りするためにクルマ用の段差ブロックを設置。
大阪府警察の捜査段階では「ミニバイクは段差ブロックを避けられた」などと判断されました。
しかし、捜査判断に納得ができない男性の両親が堺検察審議会に申し立てをおこなった結果、堺検察審査会は「歩道の切り下げ工事をすべきだった」として大阪府警察に再捜査を求めていたものです。
また、道路に設置した段差スロープで事故が起きた場合、道路法だけでなく、民法でも設置した人に責任を問うことができます。
民法第709条(不法行為による損害賠償)では、「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」との記載があります。
段差スロープが原因で事故が起きれば、設置者は金銭面でも責任が問われることになる可能性も考えられます。
そのため、段差スロープの設置はクルマの駐車をおこなう際や、クルマを動かす際などの一時的に使用するのが望ましいといえるでしょう。
■段差スロープを使わずに段差を解消するにはどうしたらいい?
では、自宅や駐車場出入口前の段差を、段差スロープを使わずに解消したい場合はどうすれば良いでしょうか。
道路法第24条では、「道路管理者以外の者は、道路に関する工事の設計及び実施計画について道路管理者の承認を受けて道路に関する工事又は道路の維持を行うことができる」と定めています。
これについて、前述の道路管理部路政課の担当者は、次にように説明しています。
「自己負担になりますが、道路法24条に基づく手続きで、道路の歩道部分や縁石部分をなどの切り下げ工事などをおこなっていただくことになります」
放置された段差スロープはバイクや自転車の転倒事故の原因にもなる
段差スロープが原因で事故が起きることを考えると、家の車庫や駐車場から道路に出るときの段差が気になる場合でも、安易に段差スロープを置くことは避けたほうが良さそうです。
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