まさに速く走るためだけに生まれた! 超ストイックなスポーツカー3選
くるまのニュース / 2021年8月30日 6時10分
スポーツカーやスーパーカーは速く走ることに特化したクルマですが、近年のモデルでは快適性や安全性の面も大きく進化しています。一方で、ほぼレーシングカーともいうべき、過激なスポーツカーも存在。そこで、快適性などまったく考えられていないストイックなスポーツカーを、3車種ピックアップして紹介します。
■まさに速く走るためだけを考えて開発された超ストイックなスポーツカーを振り返る
スピーディな走りに特化したクルマといえば、スポーツカーやスーパーカーが挙げられます。そうしたモデルはハイパワーなエンジンを搭載し、足まわりやブレーキも高性能なものが採用され、居住性や経済性、実用的な部分は重要視されていません。
ところが近年の高性能車では単に速いだけでなく、乗り心地も優れ、快適な装備や安全技術も充実しています。
ひと昔前は、高性能車というと乗り心地などを無視していても、ユーザーもある程度は納得していた面もありました。しかし、今ではスポーツカーやスーパーカーでもコンフォートな部分も考慮する必要があるのです。
一方で、ほぼレーシングカーともいうべき、過激なスポーツカーも存在。そこで、快適性などまったく考えられていないストイックなスポーツカーを、3車種ピックアップして紹介します。
●ケータハム「セブン」
クラシカルな見た目ながら性能は最新モデルに引けを取らない「セブン」
イギリスを代表する、レーシングカーおよびスポーツカーメーカーのロータスは、創業当時からライトウェイトスポーツカーの開発に特化し、1957年には後に傑作と評された「セブン」を発表。
セブンはキットカーとしての販売がメインで、オーナーが自分で組み立てることを基本とすることで比較的安価な価格を実現し、同社のモデルとしては空前のヒット作になりました。
シャシはレーシングカーで実績があった鋼管を組み合わせたスペースフレームとし、アルミとFRPのボディパネルを組み合わせて軽量化が図られました。
外観は往年のフォーミュラーカーのようなイメージとされ、ドライバーは後輪車軸付近に着座する古典的なロングノーズ・ショートデッキのFRスポーツカーのレイアウトです。
セブンは人気を博したことから「シリーズ4」まで続き、1973年に生産を終了。そして、同年にはセブンの製造権と販売権を、同じくイギリスのメーカーであるケータハムが引き継ぎました。
ケータハムによってつくられたセブンは、セブンシリーズの基本的なコンセプトをもっとも深く掘り下げ、最終進化系ともいえる「シリーズ3」をベースとしています。
ロータスの頃と比べエンジンやシャシ、サスペンション、ブレーキは大きく進化していますが、基本的なフォルムやレイアウト、装備はほとんど変わらず、ドアやヒーターすらオプション扱いで、廉価グレードではフロントウインドウもオプションとなっています。
グレードはエンジンの仕様や装備の違いで複数展開されていますが、トップグレードの「620R」では最高出力310馬力のエンジンを搭載しながら車重はわずか545kg。
最高速度は249km/h、0-100km/h加速は2.8秒と、完全にレーシングカーの領域です。
セブンは快適装備以外でも、ドライビングに介入するような電子デバイスは一切なく、速く走らせるにはすべてがドライバーの腕次第という古くからのピュアスポーツカーのままというのが大いに魅力的で、今も世界中で高い人気を誇っています。
●ルノー「スポールスピダー」
レーシングカーに最低限の装備を追加して公道仕様に仕立てた「スポールスピダー」
ルノーは1995年にストイックなロードゴーイングカーを発表。それが「スポールスピダー」です。
スポールスピダーはもともとワンメイクレース用車両として開発されたモデルで、これをベースに公道でも走行できるように最低限の装備を追加して、ロードバージョンが仕立てられました。
ボディはフォーミュラーカーのようにオープンの状態が基本で、簡易的なソフトトップも設定されず、発売当初はフロントウインドウが無い状態でしたが、後にフロントウインドウが装備された仕様も追加されました。
装備はヒーターやパワーステアリング、オーディオなど一切無く、普段使いはまったく考えられていません。
エンジンはリアミッドシップに最高出力150馬力を発揮する2リッター直列4気筒を搭載。スペック的にはそれほどハイパワーではありませんが、アルミ製スペースフレームとFRPの外装により900kg台の車体には十分すぎるパワーです。
また、キャビン上部を取り払ったことで極端に低い全高による低重心化と、4輪ダブルウィッシュボーンサスペンションにより、エンジンパワーよりもコーナリングスピードを重視。まさにレーシングカーのコンセプトそのものです。
スポールスピダーの製造はルノーのレース部門である「ルノースポール」が担当し、日本にも100台ほどが正規輸入されているので、いまも中古車が流通しています。
●ロータス「3-イレブン」
ロータスのロードゴーイングカーのなかでも究極のモデルだった「3-イレブン」
前述のとおりロータスはライトウェイトスポーツカーに特化したメーカーですが、時代のながれから内燃機関を搭載したモデルの廃止を発表。2021年7月には最後のエンジン搭載車として新型「エミーラ」が世界初公開され、大いに注目されました。
近年、ロータスの主力車種だったのがミッドシップ2シーターの「エリーゼ」で、日本でも人気のモデルでしたが、このエリーゼのアルミ製シャシをベースに開発されたストイックなモデルが「3-イレブン」です。
外観はエリーゼの面影はフロントフェイスにわずかに残る程度で、完全に別モノ。カーボン製のボディパネルは空力性能の重視した複雑かつボリューム感のある造形です。
さらに、ボディはオープンのみで簡易的なソフトトップもなく、フロントウインドウやドアもありません。そのためドライバーはフォーミュラーカーと同じくボディサイドをまたいで乗り込ことを強いられました。
また、3-イレブンはロードバージョンとレースバージョンの2タイプが設定され、ロードバージョンは2座になっているくらいで、当然ながら走ることに必要な装備以外はなにもありません。
リアに搭載されたエンジンはトヨタ製の3.5リッターV型6気筒DOHCにスーパーチャージャーが組み合わされ、最高出力はロードバージョンで416馬力、レースバージョンでは466馬力を誇ります。
トランスミッションはロードバージョンが6速MT、レースバージョンはパドルシフトの6速シーケンシャルを搭載。
これほどのハイパワーながら車重はロードバージョンでも925kgですから、性能的にも公道を走れるフォーミュラーカーです。
2017年7月に世界限定311台で発売された3-イレブンは、日本でも正規輸入でデリバリーされました。
※ ※ ※
冒頭にもあるとおり、現在のスポーツカーやスーパーカーは快適なドライブが可能です。
例えばホンダ「シビック タイプR」は、かつてのモデルは街中で乗るのが苦痛になるほど硬い乗り心地でしたが、最新の「FK8型」では、走行モードスイッチでコンフォートを選べばファミリカーにも使えるほど。
また生産終了が発表された2代目「NSX」も乗り心地はしなやかで、シートはラグジュアリーカーに匹敵するほどソフトに乗員を包み込みます。
ひと昔前の硬派なモデルも魅力的ですが、もはや高性能車といえども我慢を強いられる時代ではないということでしょう。
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