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自動運転車の事故、選手村の実態は? 「交通環境もしっかり整えないと難しい」 今後の課題はどこに

くるまのニュース / 2021年8月31日 19時29分

2021年8月26日午後、東京2020パラリンピック競技大会の選手村で低速自動運転車「eパレット」と選手が接触する事故が起きました。実際の選手村の様子を交えて、今後の自動運転における課題を自動車評論家・国沢光宏氏が解説します。

■低速自動運転車との接触事故、今後の課題は?

 東京2020パラリンピックの選手村で起きた低速自動運転車「eパレット」の事故、さまざまなメディアで取り上げられ、車両を開発したトヨタに対する批判も出ていた。
 
 確かに事故直後は情報も少なく、さまざまな受け取り方が出てきてしまう。4日経って状況が“ほぼ”判明したのでレポートしてみたい。
 
 最後まで読んで頂ければ解る通り、自動運転の難しさを感じさせます。

 まず自動車ジャーナリスト・岡崎五朗氏が提供してくれたeパレットの運行動画(2倍速)を見てみた。

 場所は選手村の中、一応道路や横断歩道という造りながら、関係者によれば公道ではないため、eパレットは基本的にどこを走っても良いし歩いても良いという。

 大きいショッピングセンターや遊園地で、子供を乗せたトレインの遊具を走らせるようなもの。

 動画を見れば解る通り、少なからぬ歩行者は横断歩道を渡る気が無い。eパレットの直前を横切ろうともしてくる。

 当然ながらeパレットは自動停止します。発進はeパレットに乗っているオペレーターがおこなう。

 オペレーターが操作をおこなわないと歩行者が車両の近くにいたら、いつまでも走り出せない。

 スマホを持って脇見している人が接近しているけれど、自動運転だったら停車しただろう。

 また、横断歩道の手前に安全運行をサポートする誘導員がいる。

 自動運転は「横断歩道を渡ろうとしている人」だと判断するため、安全確認後、後ろに移動している。

 動画を見て解る通り、今回の選手村は自動運転をする環境としては条件が厳し過ぎるんだと思う。

 だからこそ緊急時に停止させる役割だったオペレーターが、自分の判断によって発進操作していたそうだ。

 今回、こんな状況の中で接触は起きた。eパレットは横断歩道の手前で一旦停止。誘導員も安全だと判断したらしい。

 オペレーターが手動で発進して右折。その直後、左前あたりに歩いてきた人が接触して転倒してしまう(接触時は歩行者を検知したため自動減速中。そもそも交差点なので歩くくらいの速度だったようだ。1~2km/hという情報も)。

 さて、日本の警察は「事故防止」より「誰が悪いか」を決めるコンセプト。

 被害が出たら必ず悪いヤツがいて、そいつを懲らしめたら事故が無くなるという概念です。

 ただ新しい技術は航空機事故と同じく“ 犯人捜し”より事故の原因を見つけ、次の事故を起こさないようにすることこそ重要。今回の事故を受け、警察が捜査を開始した。

 皆さんどう思われるだろうか。

 eパレットの自動運転システム、しっかり稼働しているし、接触したのはマニュアル操作時。車両を開発した人を犯人にすることなど難しい。

 オペレーターも日常的におこなっていた操作であり、はたまた積極的に車両へ当たってくる人がいると予想しにくい。車両の近くに人が居たら動けないとなれば、移動手段にならないです。

 なかには「誘導員がしっかりガイドすればいい」と思うだろうけれど、eパレットに近づいたら自動停止するため、ある程度の距離から声を掛けるしか無い。

 また今回の柔道選手、白杖を持っていなかったため、配慮も出来なかったという。

 参考までに書いておくと、視覚障害を持っている人が公道を単独移動する際は、道交法第14条で白杖の使用が義務づけられている。

 ただ柔道選手は全盲の人では無く、視野狭窄(見える部分が限られてしまう)ということ。

 おそらく注意すれば白杖なくても移動出来たんだと思う。たまたまeパレットや誘導員が視野狭窄の見えない部分に入ってしまったのかもしれない。

 では、こんな状況で発生した接触、果たして誰が悪いか決められるだろうか。皆さん、一生懸命やっている。

 ちなみに運行再開するための対応は、「1)eパレットの走行音を大きくする」「2) 誘導員を3倍に増やして交通インフラを確保する」「3)選手や関係者には大会組織委員会から『移動時のルールを周知してください』というお願いを出す」、というもの。

 自動運転の実現には交通環境もしっかり整えないと難しい、ということがよく解ります。

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