もうすぐ消えちゃうかも? 大排気量かつ高性能なNAエンジンを搭載した車3選
くるまのニュース / 2021年9月4日 6時10分
近年、環境性能の向上を目的に、パワーユニットはハイブリッドやダウンサイジングターボエンジンが主流となりました。そのため、大排気量の自然吸気エンジンは数を減らし、近い将来には淘汰されるかもしれません。そこで、優れた性能の自然吸気エンジンを搭載したクルマを、現行モデルのなかから3車種ピックアップして紹介します。
■大排気量かつ高性能! 至高の自然吸気エンジンを搭載したクルマ振り返る
現在、クルマのパワーユニットは多様化が進み、さまざまな種類が搭載されています。とくに主流となっているのが、ハイブリッドとダウンサイジングターボエンジンで、ピュアEVが普及するまではまだまだ増え続けるでしょう。
その一方で、数を大きく減らしてしまったのが、モーターのアシストも無い純粋な大排気量・自然吸気(以下NA)ガソリンエンジンです。
その多くはダウンサイジングターボか、ハイブリッド化したパワーユニットに移行しており、現行モデルでは大排気量NAエンジンもはや希少種といっていいでしょう。
しかし、現状では数少ないものの、ピュアな大排気量NAエンジン車が存在。そこで、優れた性能の自然吸気エンジンを搭載したクルマを、現行モデルのなかから3車種ピックアップして紹介します。
●ポルシェ「911 GT3 with ツーリングパッケージ」
高性能ながら派手さを抑えてクールな印象の「911 GT3 with ツーリングパッケージ」
長い歴史を誇るスポーツカーであるポルシェ「911」は、1975年に「930ターボ」が登場して以来、NAエンジンの911(カレラ)シリーズと、ターボエンジンの911ターボと、ラインナップはハッキリと分かれました。
しかし、現行モデルの先代にあたる「991型」の途中から、911カレラも3.4リッターもしくは3.8リッターNAエンジンから、3リッターのツインターボエンジンに換装され、現在は911シリーズといえばターボエンジンがスタンダードです。
一方で、頑なにNAエンジンにこだわっているモデルも存在。それはサーキット走行もターゲットとして開発された特別な高性能グレードである「911 GT3」です。
初代911 GT3は、初めて水冷化されたモデルである「996型」において、1999年に限定モデルとして追加ラインナップされ、次世代の「997型」からカタログモデルとなり、現在に至ります。
最新モデルとしては2021年6月に発表された「911 GT3 with ツーリングパッケージ」で、911 GT3に対して大型リアウイングが撤去され、電動格納式のリアスポイラーを装備。
また内装もGT3に準じていますがシックな印象のコーディネートで、雰囲気は大きく異なります。
その他のメカニズムはGT3と変わらず、ハイライトであるエンジンは4リッター水平対向6気筒NAエンジンを搭載。最高出力510馬力を8400rpmという高回転で発揮し、レブリミットは9000rpmに設定されています。
トランスミッションはオートブリッピング機能がある6速MTと、DCTである7速PDKが選択可能です。
前述のとおりGT3はサーキット走行を視野に入れた特別なモデルですが、ツーリングパッケージはストリートでの走りを重視したユーザーに向けたモデルといえます。
価格(消費税込、以下同様)は1プライスのみで2296万円、スタンダードなGT3も同価格です。
●レクサス「RC F」
サーキット走行を視野に入れて開発されたFRクーペの「RC F」
現在、レクサスのラインナップでは、フラッグシップモデルの「LC」と、スポーツテイストあふれる「RC」という2台のFRクーペが存在。
どちらも高性能な大排気量NAエンジンを設定していますが、なかでもRCには前出の911 GT3と同じくサーキット走行も視野に入れて開発された、特別な高性能モデル「RC F」が設定されています。
ボディサイズは全長4710mm×全幅1845mm×全高1390mmという体躯で、大きく張り出した前後フェンダーによってロー&ワイドの迫力あるフォルムを強調。
一方サイドビューは伸びやかなで流麗なシルエットを実現しており、美しいラインの2ドアクーペを体現しています。
そして、よりアグレッシブな“Performance package”では、ボディにカーボン製のフロントスポイラーとリアウイングが装着され、サーキットでの走りで高い空力性能を発揮するだけでなく、ラグジュアリーなクーペが戦闘的なフォルムへと変貌。
搭載されるエンジンは「LC500」と共通の5リッターV型8気筒NAで、最高出力481馬力を誇り、8速ATが組み合わされます。
また、2021年9月2日に一部改良がおこなわれ、“Performance package”の内装に「F」シリーズのイメージカラーであるブルーのアクセントが採用され、ホイールも新デザインとなりました。
RC Fの価格は標準モデルが1052万円、“Carbon Exterior package”が1132万円、“Performance package”が1449万円です。
なお、ミドルクラスセダンの「IS」にも、同エンジンを搭載した北米専用モデル「IS F 500 スポーツパフォーマンス」がラインナップされています。
●日産「フーガ 370GT タイプS」
ラグジュアリーセダンながら高性能NAエンジンを搭載した「フーガ」
最後に紹介するのは日産「フーガ」です。「なぜフーガ?」と思われるかもしれませんが、日産でも最後になるかもしれない、ハイスペックな大排気量NAエンジンを搭載しているからにほかなりません。
初代フーガは、高級サルーン「セドリック/グロリア」の後継車として2004年にデビューしました。
2010年から2012年まで、フラッグシップの「シーマ」が生産を一旦終了していたことから日産の最上位車種に位置し、優れたサスペンションセッティングや、滑らかなボディラインと上質なインテリアは、それまでの日産車とは一線を画すとまでいわれたほどです。
そして、2009年には現行モデルの2代目が登場。外観は抑揚のあるグラマラスかつ流麗なシルエットが特徴で、2015年のマイナーチェンジではフロントフェイスとリアまわりのデザインを刷新すると同時に安全運転支援システムを標準装備し、2019年にはさらになる安全性能のアップデートが施されました。
搭載されるパワーユニットは225馬力の2.5リッターV型6気筒エンジン、306馬力の3.5リッターV型6気筒エンジン+68馬力のモーターでシステム最高出力364馬力と大パワーなハイブリッド、そして最高出力333馬力を発揮する3.7リッターV型6気筒NAエンジンです。
この3.7リッターエンジンは「VQ37VHR型」で、「Z34型 フェアレディZ」と同型です。出力はZよりも3馬力だけデチューンされていますが、7000rpmで最高出力を発生する高回転型となっており、ラグジュアリーセダンながらタコメーターのレッドゾーンは異例の7500rpmに設定されています。
また、上位グレードの「370GT タイプS」では、スポーツチューンドサスペンション、20インチアルミホイール、4輪アルミキャリパー対向ピストンブレーキ、4輪アクティブステアを採用してコーナリング性能を高め、さらにアルミ製ペダルやマグネシウム製パドルシフトを装備するなど、内装も機能的かつスポーティに演出。
もうすぐ国内仕様が発表される新型フェアレディZでは、エンジンが3リッターV型6気筒ツインターボ「VR30DDTT型」になるため、VQ37VHR型はフーガで最後になりそうです。
フーガの価格は、最上級の「HYBRID VIP」が723万981円、「370GT タイプS」が595万5400円、エントリーモデルの「250GT」が502万7000円です。
※ ※ ※
近年のダウンサイジングターボは環境性能が優れるというだけでなく、パワーも健在です。前述のVR30DDTT型を搭載する「スカイライン 400R」では最高出力405馬力を発揮しますから、やはりターボの効果は絶大といえるでしょう。
しかし、大排気量NAエンジンの優れたアクセルレスポンスや、高回転型エンジンの吹け上がり、音など、大いに魅力があるのも確かです。
しかし、今や純粋な内燃機関のクルマも減ってきてしまっている状況なので、近い将来には大排気量NAエンジン車を新車で入手できなくなるかもしれません。
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