SUVだけど4WDは必須じゃない!? 最近流行りの「クロスオーバーSUV」って何?
くるまのニュース / 2021年9月11日 16時10分
すっかりメジャーとなったSUVのなかでも、「クロスオーバー」というジャンルに人気が集まっており、数多くのモデルが登場しています。そもそもの「クロスオーバー」とはどのようなものなのでしょうか。代表する車種とともに紹介します。
■乗用車にSUVテイストを加えたのが「クロスオーバー」
いまでは主要なカテゴリーとなったSUVですが、最近では細分化が進み、「コンパクトSUV」や「クーペ風SUV」なども登場しています。そして、それらに加えて増えているのが「クロスオーバーSUV」と呼ばれるモデルです。
じつはこのクロスオーバーには明確な基準などはなく、ふたつのジャンルを掛け合わせたモデルといった意味で使われることが多いようです。
クロスオーバーSUVはどんなモデルを指すのか、そしてどんなメリットがあるのでしょうか。
かつてはトラックなどでも用いられる頑丈な「ラダーフレーム構造」を用いた本格的なオフロード走行もできる4WD車を「クロスカントリー(クロカン)」や「RV(レクレーショナル・ヴィークル)」と呼んでいました。
しかし、頑丈だけど重いラダーフレーム構造では、衝突安全性や燃費といった環境性能など、時代のニーズに対応できなくなり、そこで、見た目はクロカンっぽいけれど乗用車と同じ「モノコック構造」で軽量(乗用車に近い車重)、かつ舗装路でも快適な4WD車として登場したのがSUV(スポーツ・ユーティリティ・ヴィークル)でした。
一方で「クロスオーバー」は、SUVのメリットである4WDと高い最低地上高を、乗用車スタイルのまま採用したモデルを指しています。
その多くは、ステーションワゴンスタイルのボディを、ちょっとした悪路でボディ下部を擦らない程度までリフトアップ。
非日常感を演出するオーバーフェンダーやルーフレールなどを追加することで、SUV感を演出したのがそもそもの成り立ちです。
これがネーミング的にもスタイル的にも流行り出し、多様なモデルが登場しているというのが現状なのです。
以上を踏まえると、クロスオーバーと名乗るにはいくつかの大きなポイントがあります。
まずは「ステーションワゴンに近いボディ形状(モノコック構造)」、「200mm前後の最低地上高」、「SUVらしいアウトドア感を演出するオーバーフェンダーやルーフレールを装着」ということが挙げられます。
あくまで舗装路をメインに走行する乗用車がベースというのも外せないポイントで、駆動方式は4WDが好ましいものの、最近では2WDのラインナップしかないクロスオーバーSUVも存在します。
■いま一押しのクロスオーバーSUVにはどんなモデルがある?
クロスオーバーSUVは、ふたつのジャンルのイイトコ取りをしているので、魅力的なクルマがたくさんあります
そのなかでも、注目すべきクロスオーバーSUVにはどんなモデルがあるのでしょうか。
●スバル「XV」
ワゴンボディを用いてSUV感のあるパーツを装備したのがスバル「XV」です。
ベースの「インプレッサ」よりアウトドア向きだけど、「フォレスター」ほどSUVでもないという絶妙なサジ加減こそクロスオーバーだといえます。
スバル「XV」
現行モデルは2017年に登場した3代目で、都会的で洗練されたデザインが特徴ですが、SUVとしての悪路走破性と高い安全性を兼ね備えたクロスオーバーへと進化しています。
ボディサイズは全長4485mm×全幅1800mm×全高1550mm(1.6i-Lアイサイト)と、高さ制限がある立体式駐車場も利用できるサイズに抑えていることから、都会での使用をメインに開発されていることがわかります。
搭載されるエンジンは、1.6リッターガソリンと2リッターハイブリッドの2種類。シンメトリカルAWDに加え、悪路での走破性を高める電子制御システム「X-MODE」を搭載するなど、じつは高い四駆性能を備えているのがポイントです。
もちろん運転支援システム「アイサイト」も全車標準搭載され、都会にもアウトドアにも
に最適なモデルに仕上がっています。
●マツダ「CX-30」
最近のマツダ車は美しいスタイルのモデルが多く、「魂動デザイン」というデザインコンセプトで統一感を持たせています。
なかでもコンパクトSUVの「CX-3」とミドルサイズSUVの「CX-5」の間を埋める「CX-30」は美しいスタイルが特徴です。
全長4395mm×全幅1795mm×全高1540mmというサイズで、全長の割には幅が広く設定されました。
一方、最低地上高はベースの「マツダ3」より35mmアップした175mmを確保。オフロードよりオンロード向きであり、立体駐車場にも入る1550mm以下の全高にとどめています。
2019年のデビュー当時のパワートレインは、2リッターガソリンと1.8リッターディーゼルでしたが、2020年に2リッターマイルドハイブリッド(SKYACTIV-X)を追加。
2リッターガソリンと2リッターマイルドハイブリッドは6速MTも選べるなど、ドライバーズカーとしての性格も色濃く出ています。
CX-30はオフロードよりワインディングのほうが似合いますが、多少の悪路でも問題なく走行できます。しかもMTで乗れるという希少性も加味すれば、魅力的な1台だといえそうです。
●ホンダ「フィット クロスター」
ホンダ「フィット」のバリエーションのひとつとして設定されたのが「フィット クロスター」です。
フィット クロスターは、専用のフロントグリルや前後バンパー、サイドガーニッシュ、ホイールアーチプロテクターなどを装備。
ベースのフィットが5ナンバーサイズなのに対し、全幅1725mmに拡大されたフィット クロスターは3ナンバーサイズとなっています。
ただし3ナンバーとはいっても専用装備によって少し幅が広くなっただけで、良好な取り回しに影響が出ることはほとんどありません。
パワーユニットはフィットと同じで、1.5リッター+2モーターの「e:HEV」と1.3リッターガソリンエンジンの2種類を用意。どちらでもFFか4WDが選択できます。
フィット クロスターがクロスオーバーSUVといえる理由は最低地上高です。16インチに上位互換されたタイヤとサスペンションのセッテイングによる足回りは、ベースモデルより25mm高い160mm(4WDは155mm)。
アウトドアにも強いSUVであれば最低地上高は200mm程度が理想ですが、わずかのアップに留めたのは、あくまで都市型コンパクトカーとしての使い勝手を優先させた結果でしょう。
また車高が高いSUVは良好な視界がメリットですが、逆に高重心となり高速道路やコーナーなどで不安定な挙動になりがちです。
その点フィット クロスターなら低重心で安定した走行性能はそのままで、都市での使用を念頭に置いたクロスオーバーSUVという仕立てになっています。
※ ※ ※ ※
「SUVは欲しいけど大きいのはイヤ、でも窮屈なのもイヤ、それでいてカッコ良さも欲しい」という人にとって、クロスオーバーSUVは最適なモデルでしょう。
人とは違うクルマに乗りたい人には、もっともおすすめのジャンルだといえます。
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