1980年代の終わりはスーパーカーの超当たり年? 超絶ハイパフォーマンスな車3選
くるまのニュース / 2021年9月14日 16時10分
非日常を是としたクルマといえば、スーパーカーです。とにかく速く走るために特化したクルマであり、これまでに伝説的なモデルが多数輩出されてきました。そんなスポーツカーのなかでも、とくに1980年代の終わりという同時期に、今も語り継がれるようなモデルが登場。そこで、スーパーカーのなかでも特別なモデルを、3車種ピックアップして紹介します。
■奇しくも同時期に誕生した超ハイパフォーマンスなスーパーカーを振り返る
今から40年以上も前の1970年代の中頃、日本では小中学生を中心にスーパーカーが一大ブームになりました。
当時、ランボルギーニ「カウンタック LP400」やフェラーリ「365GT4BB」といった、スーパーカーを象徴するようなモデルは、子どもたちにとってまるで宇宙船のような存在で、単なるクルマ以上の存在だったといえるでしょう。
その後、スーパーカーという言葉が日本で定着し、近年はコロナ禍においてお金が余っている生粋のセレブたちが、新旧関係なく投機目的でスーパーカーを買い求めるようになり、今、自動車業界では多いに注目されています。
このスーパーカーは日常とはかけ離れたモデルで、とにかく速く走るためにつくられ、見た目も性能もまさに「スーパー」です。
そして、歴代のスーパーカーのなかでも1980年代の終わり、しかも同年代に、歴史に名を残す偉大なモデルが次々と誕生。
そこで、スーパーカーのなかでも超絶ハイパフォーマンスなモデルを、3車種ピックアップして紹介します。
●ポルシェ「959」
ハイテク満載で「スカイラインGT-R」のお手本にもなったといわれる「959」
ポルシェを代表するモデルといえば「911」で、世界でもっとも有名なスポーツカーの1台でしょう。
この911シリーズのなかでも1975年に発売された「930ターボ」(後に911ターボに改名)は、スーパーカーブームの頃は紛れもないスーパーカーと呼べるモデルでした。
911というと誕生のころからリアエンジン・リアドライブ(RR)というレイアウトは不変であり、今もその伝統は守られています。
しかし、滑りやすい路面での走行安定性においてRRは不利という点は、1980年代初頭にはポルシェとしても大きな課題として認識しており、「911SC」をベースにした4WDモデルの試作もおこなわれていたほどです。
その課題のひとつの解答として開発されたのが、新世代のフルタイム4WDシステムを搭載した「959」です。
959はグループBレース車両のベースとして企画され、1986年に限定販売されました。
外観は911の全幅を拡大したようなフォルムですが、ほぼすべてのパーツが959専用になっており、外装の多くはアラミド系繊維強化プラスチックなど、当時、最先端の素材が使われています。
エンジンはグループCカーで培った技術そのものだった、水冷式シリンダーヘッドと空冷式シリンダーを組み合わせた半水冷式で、2.85リッター水平対向DOHC6気筒シーケンシャルツインターボを搭載。
最高出力は450馬力を誇り、エアロダイナミクスを追求したボディによって公称最高速度300km/h以上とされていました。
トランスミッションはスノーモード(“G”ポジション)を含む6速MTで、駆動方式は前後の駆動力を路面状態やコーナーリング時に合わせて電子制御する可変トルク式4WDを搭載しています。ちなみ“G”ポジションのギアは、オフロード走行を目的とし、1速よりもローギアの設定とアナウンスされていましたが、実際は騒音対策のためのギアだったとの逸話があります。
内装も911のデザインに準じていましたが、車高調整やダンパー調整のスイッチ、前後駆動力配分を可視化するメーターなどが追加されていました。
足まわりは各輪にダンパーを2セットずつ備えた前後ダブルウィッシュボーンを採用するなど、これもフロントがストラット、リアがセミトレーリングアームの911とは完全に別物です。
グループBホモロゲーション取得のために200台の生産予定でしたが即完売となり、最終的に292台まで増産されました。しかし、すでにWRCではグループBが消滅したため、ラリーには1986年のパリ・ダカールラリーへの参戦のみでしたが、見事に1-2フィニッシュを達成しています。
発売当時は日本にも数台の正規輸入のほか並行輸入でも入っており、定価が42万ドイツマルク=当時の邦貨で約3000万円のところ、バブル期という背景から1億円以上の価格で取引されていました。
なお、斬新かつ複雑なメカニズムの駆動システムは成熟していらず、トラブルも多発したといい、日本で修理できない場合はドイツ本国に戻されたそうです。
●フェラーリ「F40」
公道を走れるレーシングカーとして開発された超ストイックなマシン「F40」
フェラーリはスーパーカーの生産に特化したメーカーであることは誰もが知るところです。このフェラーリがつくるクルマには通常のカタログモデルのほかに、「スペチアーレ」と呼ばれる特別な顧客のための特別なモデルが存在します。
スペチアーレは数年に1度つくられますが、なかでもフェラーリが創業40周年を迎えた1987年に発売された「F40」は、もっとも有名なモデルではないでしょうか。
F40はノーマルの状態でもレースに出場が可能なほどの性能と装備が与えられたストイックなモデルで、前出のポルシェ959が電子制御のカタマリだったのに対し、F40は昔ながらのアナログなスーパーカーにおける頂点に君臨したモデルです。
シャシは当時最新の複合素材や接着剤などが使われた、軽量・高剛性のセミモノコック構造を採用。
このシャシのリアミッドシップに搭載されたエンジンは、最高出力478馬力を誇る3リッターV型8気筒ツインターボで、組み合わされたトランスミッションは5速MTのみです。
このエンジンは1984年に販売されたスペチアーレの「288GTO」用エンジンをベースにさらにチューニングが施され、F40では公称最高速度324km/hと、発売当時の市販モデルのなかでは世界最速をマークしました。
公道を走れるレーシングカーとして開発されたF40には、パワーステアリングはもちろんブレーキサーボすら装備されず、快適装備も一切無く、とても普段使いできるクルマではありませんでした。
しかし、発表されると世界中のフェラーリディーラーに注文が殺到。ちょうどバブル景気に湧いていた日本でもプレミアが付いて、新車価格4650万円だったものが最高で2億円以上にハネ上がったといわれています。
●ルーフ「CTR」
F40をも上まわる速度を記録したハイパフォーマンスマシンの「CTR」
BMW車のチューナーとして名を馳せたアルピナは、後にチューナーから自動車メーカーのひとつとして認められました。このアルピナと同じく、フォルクスワーゲン車やポルシェ911のチューナーからメーカーへと昇格したのがRUF(ルーフ)です。
ルーフのモデルは、ポルシェから911のシャシ(ホワイトボディ)が供給され、独自のモディファイをおこない、エンジンもルーフ流のチューニングをおこなって搭載する手法で生産。
このルーフの名が世界中に知れ渡るきっかけとなったのが、1987年につくられたルーフ「CTR」です。
CTRは一見すると911カレラと同様なボディに見えますが、911ターボよりもナローな独自形状のワイドフェンダーとされ、Aピラー上端から屋根伝いにリアハッチまで延びる溶接リブは空力性能向上のため撤去。
また、フロント/リアフード、ドアはアルミ製とされ、前後バンパーをFRP製に変更。室内は2シーター化し、トータルで200kgもの軽量化に成功。
ミラーも空力性能を重視した形状となっており、エンブレムは「RUF」のものに替えられています。
リアに搭載されたエンジンは3.4リッター空冷水平対向6気筒SOHCツインターボで、最高出力は469馬力を誇り、5速MTを介して後輪を駆動。最高速度は342km/hを達成し、前述のF40の市販車記録を塗り替えました。
ちなみに外観がイエローのCTRが、当時ニュルブルクリンクを走っていたことからイエローバードと呼ばれましたが、当然ながらほかのカラーリングも存在します。
※ ※ ※
最後に紹介したCTRですが、2017年に新たなCTRが誕生しました。初代CTRの誕生30周年を記念したモデルで、外観は初代と大きく変わっていません。
しかし、911をベースとした初代とまったく異なり、完全にゼロから製作。ルーフ独自のアルミ製スペースフレームにカーボン製のボディをまとい、ボディ形状を初代に似せているだけです。
エンジンは3.6リッター水冷水平対向6気筒DOHCツインターボを搭載。最高出力は710馬力を絞り出し、最高速度は360km/hに到達するなど、もはやハイパーカーの領域といっていいモデルでした。
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