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無骨なフォルムで速いのがカッコいい! 伝説的なレースマシン3選

くるまのニュース / 2021年9月18日 6時10分

かつてクルマの進化に大きな影響を与えたのがレースです。レースに出場することで培った技術が市販車にフィードバックされ、市販車の性能も向上。そこで、往年のレースマシンのなかから、とくに無骨な見た目のモデルを、3車種ピックアップして紹介します。

■無骨なフォルムながら速さを誇ったレースマシンを振り返る

 故本田宗一郎氏は「レースは走る実験室」という有名な言葉を残しました。レースに出場することで技術が磨かれ、その技術を市販車にフィードバックすることで性能が向上し、進化を促すととらえられます。

 現存する世界中の自動車メーカーのほとんどが、モータースポーツに参戦した経験があり、実際に技術の向上が図られていました。

 さらに、モータースポーツで勝利することはメーカー自身や市販車の知名度、ブランドイメージの向上にもつながるため、市販車をベースにしたレーシングカーは重要な広告塔でもあります。

 一般的にフォーミュラーカーや市販車ベースのレーシングカーは、空力性能を重視した流麗なフォルムなのが理想的です。

 しかし、そんなフォルムとは真逆のマシンも存在し、さらに好成績を記録したケースもあります。

 そこで、往年のレースマシンのなかから、とくに無骨な見た目のモデルを3車種ピックアップして紹介します。

●日産初代「スカイラインGT-R」

レースで勝つことを目的に誕生した生粋のスポーツモデル「スカイラインGT-R」レースで勝つことを目的に誕生した生粋のスポーツモデル「スカイラインGT-R」

 3代目にあたる日産「C10型 スカイライン」、通称「ハコスカ」は1968年にプリンス自動車と合併した日産から発売され、同年追加された2リッター直列6気筒の「L20型」エンジン搭載車は、高性能なセダンとして人気となります。

 そして1969年にはさらに高性能化され、レースで勝つことを目的に開発した「PGC10型 スカイラインGT-R」が誕生。

 PGC10型は市販車を改造したツーリングカーレースに出場するためのベース車であり、市販の状態で高いポテンシャルを発揮する必要がありました。

 そのため、プリンス時代に開発したレースエンジンの技術をフィードバックした、量産車として世界初の2リッター直列6気筒DOHC24バルブの「S20型」エンジンを搭載。最高出力は160馬力(グロス、有鉛ハイオク仕様)を発揮するクラストップの性能を誇りました。

 初代のボディは当初4ドアセダンのみで、外観ではフロントフェイスやエンブレム以外スタンダードのL20型搭載車と大きく変わっていません。

 一方、内装は快適装備などを撤去して簡素化され、バケットシートを装着。さらに燃料タンクは100リッターの容量とされ、トランクルームの多くのスペースを占領しました。

 その後、1970年にスカイラインGT-Rは2ドアハードトップの「KPGC10型」にスイッチ。リアフェンダーにはリベット留めのオーバーフェンダーが装着され、よりレーシングカーのイメージを強調。

 レースデビューは発売年の1969年シーズンからで、初期のレース仕様では最高出力210馬力までチューンナップされ、車重も980kgに抑えられています。

 デビュー戦では決勝で1位のマシンがペナルティにより、スカイラインGT-Rが昇格して辛くも勝利を飾るという幸運なレースでしたが、後に1972年までに記録した通算50勝への第一歩となりました。

 ちなみに、当時のスカイラインGT-Rの新車価格は150万円と、スカイライン2000GTの2倍近い価格と非常に高額でした、

 当時のお金持ちはディーラーで「一番高いのをくれ」とオーダーするのが当然のことで、クルマの性格もよくわからずにスカイラインGT-Rを買ってしまい、重いクラッチとハンドル、うるさい室内に辟易して、すぐ売ってしまったという逸話もあります。

●ボルボ「240ターボエボリューション」

その速さから「空飛ぶレンガ」の異名を持つ「240ターボエボリューション」その速さから「空飛ぶレンガ」の異名を持つ「240ターボエボリューション」

 現在、ボルボというと、スタイリッシュで流麗なフォルムのSUVやステーションワゴンをつくるメーカーというイメージが定着していますが、かつては無骨で質実剛健なボディで安全性能が高いクルマのメーカーという認識が一般的でした。

 走りの方も速さというよりは、長距離をのんびりと走るツアラーという面がありましたが、そんなイメージを覆すことになったのが「240ターボ」です。

 240シリーズは1974年に誕生。ボディタイプは2ドアセダンと4ドアセダン、そしてステーションワゴンをラインナップしました。

 搭載されたエンジンは2リッターと、2.1リッター直列4気筒が設定され、1981年にはターボチャージャーが装着された「240ターボ」が登場。

 最高出力155馬力を発揮し、0-100km/h加速は9秒、最高速度195km/hを達成するなど、十分に高性能モデルといえました。

 しかし、240ターボはさらに進化し、ヨーロッパツーリングカー選手権(ETC)に出場するため、1983年にグループA規定に則った500台限定の「240ターボエボリューション」が登場します。

 240ターボエボリューションのエンジンは大風量のターボチャージャーが装着され、吸気管内に水を噴射してエンジン内部の冷却と空気密度を高める「ウォーターインジェクション」を装備。

 実際のレース用では最高出力300馬力以上を誇り、お世辞にも空力性能が良いとはいえない無骨なフォルムにも関わらず、最高速度は260km/hに達したといいます。

 ボルボがETCに本格参戦した1984年は2勝にとどまりましたが、翌1985年には14戦中6勝し、チャンピオンを獲得。

 また、1985年の全日本ツーリングカー選手権最終戦に欧州から遠征してきており、1-2フィニッシュを飾るなど圧倒的な速さを見せつけました。

 当時のETCで240ターボエボリューションが戦った相手というと、BMW「635」やローバー「3500 V8」といったスタイリッシュなボディで大排気量エンジンを搭載したマシンばかりです。

 そんな相手に対して、無骨なスタイルと小排気量エンジンで善戦した240ターボエボリューションは、速さを称賛する意味で「空飛ぶレンガ」と呼ばれました。

●AMGメルセデス「300SEL 6.8」

ラグジュアリーサルーンをベースに戦闘マシンに仕立てられた「300SEL 6.8」ラグジュアリーサルーンをベースに戦闘マシンに仕立てられた「300SEL 6.8」

 現在、メルセデス・ベンツの高性能モデルというと、メルセデスAMGブランドのラインナップですが、かつては自社でも高性能モデルを開発していました。

 なかでも初期の高性能モデルとして今も語り継がれる存在なのが、1967年に発売された「W109型 300SEL 6.3」です。

 W109型は1965年に誕生した同社のフラッグシップセダンで、今に続く「Sクラス」の源流といえるモデルです。このW109型のトップモデルが300SEL 6.3であり、当時ショーファードリブンのリムジン「600」用の6.3リッターV型8気筒エンジンが搭載されました。

 外観はフォーマルなセダンにしか見えませんが、6.3リッターエンジンは最高出力250馬力を発揮し、0-100km/h加速は6.5秒と当時のポルシェ「911」に匹敵。実際に「スポーツカーを追い回せるセダン」と呼ばれていたといいます。

 そして、この300SEL 6.3をベースにAMGがチューニングしたレースマシンのAMGメルセデス「300SEL 6.8」が、1971年に登場。エンジンは最高出力428馬力を発揮し、最高速度265km/h以上、0-100km/h加速は6.1秒を誇りました。

 同年の「スパ・フランコルシャン24時間レース」に出場するとクラス優勝を飾り、総合でも2位に入る好成績を収め、これがきっかけでAMGはメルセデス・ベンツのチューナーとして広く知られるようになり、後に市販車の公認チューナー、さらに1999年にダイムラーに吸収されて以降は、メルセデス・ベンツの高性能車ブランドを担うようになり現在に至ります。

 ちなみに300SEL 6.8の重量は1635kgもあり、ついたあだ名がカラーリングも含め「Red Pig(赤い豚)」です。

※ ※ ※

 冒頭にあるとおりレースで培った技術によって、市販車のポテンシャルが向上した実例は数多くありますが、近年はあまり見られなくなってしまいました。

 というのも、市販車をベースにしたハイレベルなレースが少なくなり、エンジンやシャシは開発費削減のため共通化されるケースや、F1など最高峰のレースではあまりにも市販車とはかけ離れたレギュレーションとなったからです。

 また、市販車の技術も飛躍的に向上したこともあり、もはやレースとは異なるベクトルで開発が進んでいることも関係していると思われます。

 ホンダは今シーズンでF1から撤退を決めていますが、今後は他メーカーもレースを戦う意義が問われるのではないでしょうか。

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