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劣化したエンジンオイルでエンジンが壊れる!? ハイブリッド車は早めにオイル交換すべき理由

くるまのニュース / 2021年9月29日 7時10分

クルマのエンジンオイルは定期的に交換することが推奨されていますが、そもそもエンジンオイルにはどのような役割があるのでしょうか。エンジンオイルの役割や種類、交換のタイミングなどを整備のプロに聞いてみました。

■エンジンを円滑に作動させるためにエンジンオイルは欠かせない

 クルマの電動化が進みつつあるものの、まだまだエンジンを搭載したクルマが主流であり、そのためエンジンオイルも必要不可欠。

 近年は交換推奨サイクルが長くなっているとはいえ、エンジンオイルは定期的な交換が必要です。

 そもそも、エンジンオイルはどのような役割を果たしているのでしょうか。

エンジンオイルを交換しないとクルマの調子が悪くなるエンジンオイルを交換しないとクルマの調子が悪くなる

 エンジンオイルは内燃機関であるエンジンにとって欠かせないもので、人間の体で例えると、エンジンが心臓だとしたらオイルは血液だといわれています。

 血液の流れが悪ければ心臓の調子が狂うわけで、それくらいエンジン搭載車にとってエンジンオイルはなくてはならないものであり、気を付ける必要があるということです。

 ガソリン車やディーゼル車のエンジンは金属部品の集合体で、内部に設置されたシリンダ内で燃料を燃やし、発生する燃焼ガスによってピストンを動かす力を駆動力に変換しています。

 精密な構造で作動しており、エンジンオイルは金属同士のパーツが擦れたりぶつかったりという直接的な接触をカバーし、密閉性を高めつつ円滑に作動させる役割を担っています。

 そのほかにもエンジンオイルには、金属部品が作動して発生する摩擦熱と燃焼室で燃料が燃えるときに発生する熱を吸収し放熱させる効果や、エンジン内部に残った汚れを取り除く役割もあります。

 これも心臓に新しい酸素や栄養素を取り込み、二酸化炭素を排出させている血液と一緒。また運動や病気などで発熱した場合も血液によって運ばれた熱を人間はさまざまな箇所から放出することで平熱を維持しているわけですが、エンジンオイルはそれと同じ役割の冷却機能をも担っています。

 唯一違うのは、血液は腎臓で老廃物と体に必要なものを仕分けして尿などに変換することできれいな状態を保ちますが、エンジンオイルを浄化させる装置はなく(オイルフィルターはその一部を担ってはいますが)、外部から定期的な交換が必要であるということです。

 なお、オイルは経年でも劣化や酸化するので、あまり乗っていないクルマであってもエンジンオイルを交換する必要があるのです。

 そんな重要な役割を担うエンジンオイルですが、交換時期を過ぎても汚れたままの状態で使い続けていたらどうなるのでしょうか。ベテラン整備士 Tさんに聞いてみました。

「エンジンを始動させると、燃焼室内に少しずつスラッジと呼ばれる汚れ(燃えカス)が発生します。エンジンオイルにはこのスラッジを吸着させることで燃焼室内に汚れを蓄積させない効果があります。エンジンオイルが真っ黒になるのはこの汚れのせいです」

 このスラッジと呼ばれる粘着性の高い汚れをエンジンオイルがある程度吸着し、オイルフィルターでろ過しています。

 しかしフィルターが目詰まりするとエンジンオイルが汚れたまま潤滑してしまい、ピストンリング下のオイルリングに蓄積、やがては不完全燃焼を起こすといいます。

「潤滑機能が衰えるとエンジン内部の金属が摩耗して燃焼室の機密性が下がり、その隙間からエンジンオイルが混入して燃えてしまうのです。

 そうなるとオイル量が減少し、さらに潤滑機能やエンジンの冷却機能も下がるという負のスパイラルになってしまいます」(整備士 Tさん)

 ここまでくると不完全燃焼によって燃費は当然悪くなり、普段は燃やさないエンジンオイルが燃えるので焦げ臭い匂いがしたり、異音が発生。最終的にはピストンの焼きつきなどでエンジンブローなど重大な故障の原因となってしまうそうです。

※ ※ ※

 エンジンオイルの交換時に悩ましいのが「グレード」と呼ばれるエンジンオイルの種類分けです。高額なオイルは性能も良さそうなのはわかるのですが、この違いとは何なのでしょうか。

「エンジン自体の性能も飛躍的に向上しているとはいえ、逆にいえばエンジンオイルにも、潤滑や洗浄、冷却だけでなく密閉性や潤滑効果など求められる性能や効果も増えています。

 そのため、ベースオイルにさまざまな添加剤を加え、その成分や性能によって分類されています」(整備士 Tさん)

 その性能は、省燃費性や耐熱性、耐摩耗性などを段階に分けたAPI(アメリカ石油協会)規格のグレードが一般的に採用されています。

 ガソリンエンジン用では、グレードは添加剤を含まない鉱物系ベースオイルの「SA」から優れた性能を持つ添加剤を加えた「SN」までありますが、2020年5月にはさらに性能を強化した新規格の「SP」が施行され、現在は13段階にも細分化されました。

「API規格のグレードは最新になるほど高性能といわれていますが、どんなクルマにも適合するわけではありません。クルマの年式ならではのエンジンに合うグレードのエンジンオイルを使うのが1番いいと思います」(整備士 Tさん)

 なお、ディーゼルエンジン用は「C」で始まるグレードがありますが、さらに排出ガスの浄化装置の有無などによって分かれているので、必ず指定のグレードを遵守しましょう。

■ハイブリッド車のエンジンオイルの交換時期は?

 もうひとつの疑問として、ハイブリッド車のエンジンオイル問題があります。駆動力の半分はモーターだとして、そうなると単純にエンジンの使用頻度もガソリン車より少ない可能性もあり、エンジンオイルの使用期間も伸びてもおかしくないと思うのですが、実際はどうなのでしょうか。

「そもそもハイブリッド車はエンジンオイルの交換が必要なのかと聞かれることがありますが、もちろん必要です。というのも、ハイブリッド車はオイルにとっては『シビアコンディション』扱いになるからなんです」(整備士 Tさん)

ハイブリッド車の代表 トヨタ「プリウス」のエンジンルームハイブリッド車の代表 トヨタ「プリウス」のエンジンルーム

 シビアコンディションというのは、クルマの走行距離の30%以上が悪路や登坂走行だったり、1回の走行が8kmに満たない走行を繰り返すような短距離走行が多い状態のことをいいます。

 パワーのためにオイルに負荷をかけているターボ車などと同じく、ハイブリッド車もオイルにとっては厳しい条件だとされているのです。

「ハイパワーを出力している場合だけでなく、低速状態が続く状況やエンジンの始動時などもオイルには負荷が大きいです。

 そしてハイブリッド車は、モーターとガソリンエンジンを交互、または同時に作動させて燃費を稼ぐシステムなので、通常のガソリンエンジンなどと比べてエンジンの始動・停止をひんぱんに繰り返しています。

 これがシビアコンディションに該当するため、通常のガソリンエンジン車より早めの交換時期が推奨されるほどオイルに負担がかかっているのです」(整備士 Tさん)

 たとえば、トヨタのガソリン車(ターボ車除く)は走行1万5000km、または1年に1回のオイル交換が推奨されていますが、シビアコンディションになると走行7500km、または6か月ごとと、より早くエンジンオイルが劣化すると考えられています。

「実際は、もっと早めに交換したほうがいいともいわれています。燃費が良くて経済性に優れているハイブリッド車ですが、複雑な構造ならではの定期的なメンテナンスが必要です」(整備士 Tさん)

 ちなみに輸入車の場合はメーカーによってオイル交換の推奨時期が異なり、メルセデス・ベンツは国産車と同じく走行1万5000kmか1年ごと、BMWは走行1万kmか1年ごと、フォルクスワーゲンは走行3万kmか2年ごとになっています。

 ただ輸入車のエンジンは国産車よりエンジンオイルの使用量も多く、その分出費も増えてしまうケースが多いことは覚えておきたいポイントです。

「交換タイミングを逃したからといってすぐに故障することはないと思いますが、街乗りで短距離ばかり走っているクルマは普通のガソリンエンジンでもシビアコンディションになりやすいといえます。

 実際、何年も交換せずにピストンにスラッジが固着してしまい、修理に大金が必要になるお客さまもいました。

 そうならないためにも、最低でも年に1回はオイル交換を心がけていただければクルマもコンディションを維持しやすいと思います」

※ ※ ※

 エンジンオイル交換はディーラーや整備工場はもちろん、近くのガソリンスタンドでもできます。

 自分でもDIYでできる作業ではありますが、ジャッキアップや専用レンチといった設備が必要だったり廃油の処理なども考えると、プロにお任せするのが良いでしょう。

 エンジンオイルを交換するとエンジンの吹き上がりが軽やかになり、調子を取り戻すのをすぐに実感できると思います。

 クルマの状態を確認する意味でも1年に1回はオイル交換をして、結果的にメンテナンス費用を抑えるのが賢いカーライフだといえるのではないでしょうか。

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