イタリア車だけじゃない! 高級車ブランドが本気で作ったスーパーカー3選
くるまのニュース / 2021年9月29日 16時10分
スーパーカーの代表的なメーカーといえば、フェラーリとランボルギーニが真っ先に思い浮かぶでしょう。しかし、イタリアンブランド以外でも、美しく高性能なスーパーカーが存在。そこで、高級車ブランドが本気で作ったスーパーカーを、3車種ピックアップして紹介します。
■非イタリア系の高級車メーカーから登場したスーパーカーを振り返る
日常での使い勝手を考えず、とにかくスピードを追い求めて開発されたクルマといえばスーパーカーです。とくに日本でも知名度が高いスーパーカーメーカーといえば、フェラーリとランボルギーニでしょう。
フィラーリは一貫してスーパーカーとハイエンドなスポーツカーに特化したメーカーで、ランボルギーニは今でこそ高性能SUVの「ウルス」をラインナップしていますが、2021年8月に新型「カウンタック」を発表するなど、やはりスーパーカー市場での存在感の高さはゆるぎありません。
一方、スーパーカーはイタリアンブランドだけのものとは限りません。これまでも大小さまざまなメーカーが、自身の技術力を結集してスーパーカーを開発してきました。
そこで、高級車ブランドが本気で作ったスーパーカーを、3車種ピックアップして紹介します。
●ジャガー「XJ220」
地を這うような低いフォルムがエレガントで美しい「XJ220」
イギリスを代表する高級車メーカーのひとつであるジャガーは、現在は高級サルーンとSUVが主力ですが、かつては比較的安価で(ベントレーやアストンマーティンと比べて)高性能スポーツカーメーカーとして名を馳せ、そのDNAは現行モデルの「Fタイプ」が受け継いています。
また、第二次世界大戦後はレースにも積極的に参加して数多くの勝利を重ね、1980年代には「ル・マン24時間レース」を中心に耐久レースで強さを見せつけました。
そうした背景から誕生したスーパーカーが「XJ220」です。
市販モデルの発表はバブル景気末期だった1991年の東京モーターショーで、生産はジャガーのレースマシンの開発でタッグを組んでいたトム・ウォーキンショー・レーシング(TWR)との合弁会社である「ジャガースポーツ」でおこなわれました。
外観はロー&ワイドかつ曲面を組み合わせた流麗なフォルムで、空気を切り裂くような極端なウェッジシェイプを採用。
内装はジャガーのモデルらしくレザーがふんだんに使われたゴージャスな装いですが、スパルタンな印象よりも高級サルーンをイメージさせ、美しい外観とマッチしていました。
パワートレインは当初V型12気筒エンジン+4WDを想定していましたが、最終的にはグループBのラリーカー用をベースとした3.5リッターV型6気筒DOHCツインターボをリアミッドに搭載し、駆動方式は5速MTを介して後輪のみを駆動するMRです。
最高出力は550馬力を発揮し、最高速度は217.1マイル/h(約347km/h)を、イタリアのテストコースであるナルドで記録しました。
なお、XJ220というネーミングは最高速度220マイル/hを目標としていたことに由来し、わずかに目標に届かなかったものの、当時の世界最速であることには変わりありません。
生産は1992年から開始され、本来は350台をデリバリーする予定とされていましたが、1994年まで生産された台数は281台(諸説あり)といわれています。
ちなみに、現在ネオクラシック・スーパーカーのオークション相場が上昇していますが、XJ220の直近の落札額は5000万円前後と、比較的リーズナブルといえるでしょう。
●メルセデス・ベンツ「SLRマクラーレン」
極端なロングノーズ・ショートデッキのフォルムを採用した「SLRマクラーレン」
世界的にも富の象徴であるブランドのメルセデス・ベンツは、現在、高級サルーンとSUVを主力としています。
一方で、これまでF1やル・マン24時間レース、インディカーシリーズなど、各トップカテゴリーのレースでの活躍はだれもが知るところで、そうしたテクノロジーに裏打ちされた高性能なスポーツカーの生産も数多く手掛けてきました。
現行モデルではメルセデスAMGブランドの「AMG GT」など、スーパースポーツカーをラインナップしていますが、見た目にも性能的にもスーパーカーと呼べるモデルだったのが2003年に登場したメルセデス・ベンツ「SLRマクラーレン」です。
SLRマクラーレンはメルセデス・ベンツ、AMG、マクラーレンの3社による共同開発で、車名は伝説的なレーシングカーの「SLR」から名付けられました。
ボディは極端なロングノーズ・ショートデッキのスタイルで、フロントフェンダーに大きく開いたエアアウトレットと共にクラシカルな面と、フロントノーズはF1を思わせる形状とし、ドアはバタフライドアを採用するなど、当時最新のデザインコンセプトを融合しています。
長いフロントセクションに搭載されたエンジンは、5.4リッターV型8気筒SOHCにスーパーチャージャーを組み合わせ、最高出力626馬力を誇りました。
トランスミッションは耐久性を重視した結果、3つのマニュアルモードを備えた5速ATのみの設定で、リアタイヤを駆動するFRです。
また、ブレーキはカーボンコンポジットを採用し、ブレーキキャリパーはフロントに8ピストン、リアに4ピストンを搭載するなど、最高速度334km/hにふさわしいストッピングパワーとなっています。
SLRマクラーレンは後によりハイパフォーマンスな「772」や、オープンモデルの「ロードスター」、そして生産を終えようとしていた2009年には、屋根もフロントウインドウも無く約200kgものダイエットが図られた「スターリングモス」が75台限定で発売されるなど、多くのバリエーションを展開しました。
ちなみに日本でも2004年から正規輸入され、当時の価格は5775万円(消費税5%込)です。
●レクサス「LFA」
均整のとれた美しいデザインが特徴のFRスーパーカー「LFA」
トヨタは1989年にアメリカで高級車ブランドのレクサスを設立。当初は「LS(日本名、セルシオ)」や「GS(同、アリスト)」など、高級サルーンの販売からスタートし、日本でも2005年8月から展開されました。
現在はセダン、SUVに加え「LC」や「RC」といった高級パーソナルクーペをラインナップしています。
このレクサスブランドから、2010年に2シーターFRスーパーカー「LFA」が誕生。トヨタの技術の粋を集めて開発され、世界限定500台の販売で日本での価格は3750万円からに設定されました。
ボディは大パワーFRスポーツカーでは定番のロングノーズ・ショートデッキを採用し、デザインは最新の空力理論を取り入れ、それまでのトヨタ車とは一線を画するアグレッシブなフォルムとされました。
シャシはカーボン製モノコックで外板もカーボンとアルミを多用し、ブレーキもカーボンセラミックを採用したした結果、1480kgと軽量な車重を達成。
エンジンはF1で培った技術がフィードバックされ、10連独立スロットル、チタン製コンロッド、チタン製吸排気バルブを採用した4.8リッターV型10気筒DOHC自然吸気で、最高出力は560馬力を8700rpmで発揮します。
また、レッドゾーンを9000rpmに設定する高回転型ユニットは、甲高く澄んだエキゾーストノートを奏で、「天使の咆哮」と呼ばれたほどです。
トランスミッションはリアデファレンシャルギヤと一体となった6速AMTのトランスアクスルが採用され、前後重量配分は48:52というFR車では理想的なバランスを実現しました。
さらに2012年には、アップデートオプションの「ニュルブルクリンクパッケージ」を設定し、カーボン製の固定式リアウイングやカナードなど空力パーツが追加され、足まわりの強化と、エンジンも最高出力571馬力までチューンナップされました。
そしてLFAは予定どおり2012年12月に500台目がラインオフして生産を終了。今では希少なモデルということもあり、1億円以上の価格で取引されています。
※ ※ ※
スーパーカーといえば、走行性能を高めるために大排気量大出力のエンジンを搭載するのが当然でしたが、さすがに環境問題、とくにCO2削減を無視することはできず、直近ではハイブリッド化やダウンサイジングターボ化するという転換期を迎えています。
もう少し先の話ですが最終的にはピュアEVとなることも予想でき、そうなるとスーパーカーの概念や勢力図は大きく変わるかもしれません。
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