重厚かつエレガントなデザインがスゴい! 往年のラグジュアリークーペ3選
くるまのニュース / 2021年10月2日 6時10分
近年、ニーズの変化から人気が低下してしまって久しいのがクーペです。その一方で、大型で高額なクーペは富裕層のパーソナルカーとして一定の需要があり、今も車種が豊富です。そんな大型クーペの歴史は古く、1960年代から1970年代には日本や海外でも隆盛を極めていました。そこで、往年のラグジュアリークーペを、3車種ピックアップして紹介します。
■日欧のクラシックなラグジュアリークーペを振り返る
クルマに対するニーズは時代によって変化しています。現在はだれもが知るとおりSUVが人気となっており、各メーカーから次々と新型SUVが発売されている状況です。
その反面、人気の低迷が続いているのがセダンとクーペで、とくに国内のモデルではラインナップの減少が続いています。
なかでも小型で比較的安価なクーペは世界的にも絶滅が危惧されていますが、一方、大型で高額なモデルは今も富裕層のパーソナルカーとして需要があり、欧州メーカーを中心に数多くラインナップされています。
大型のクーペはかつて日本でもニーズがあり、1970年代から1980年代には隆盛を極めていました。
そこで、重厚な雰囲気満点のラグジュアリークーペを、3車種ピックアップして紹介します。
●日産「セドリック/グロリア 2ドアハードトップ」
セダンのイメージを残しつつもスタイリッシュなデザインの「グロリア 2ドアハードトップ」
まだセダンが主力だった時代、日産のパーソナルカーでフラッグシップだったのが「セドリック/グロリア」です。
ボディタイプは4ドアセダンが基本ですが、昭和の時代は1車種で複数のボディを設定するのが一般的で、かつてセドリック/グロリアもセダン以外にステーションワゴン、ライトバン、そして2ドアクーペがラインナップされていました。
セドリック/グロリアで最初にクーペが登場したのは1971年に登場した「230型」からで、「セドリック/グロリア 2ドアハードトップ」と名付けられました。なお、このモデルからセドリックとグロリアは姉妹車の関係になりました。
外観ではフロントフェイスとテールランプまわりは、4ドアセダンとは異なる意匠で、若干スポーティな印象です。
キャビンはセダンのシルエットとイメージは共通としながらも、強く傾斜したリアウインドウなどクーペ独特のフォルムを形成し、均整のとれたスタイリッシュなデザインを実現。
内装は4ドアのモデルと共通のゴージャスな雰囲気で、リアシートのスペースも十分に確保しており、居住性はセダンに匹敵するものでした。
エンジンはトップグレードに2.6リッター直列6気筒SOHCの「L26型」ツインキャブを搭載し、最高出力は140馬力(グロス)を発揮し、トランスミッションは5速MTと3速ATが設定されました。
その後、セドリック/グロリア 2ドアハードトップは次世代の「330型」にもラインナップされ、その次の「430型」で消滅。1980年に誕生した初代「レパード」が、大型クーペのポジションを引き継ぎました。
●トヨタ「クラウン ハードトップ」
アグレッシブなデザインが映える流麗なフォルムの「クラウン ハードトップ」
前出のセドリック/グロリアに先駆けて、トヨタ「クラウン」は2ドアクーペをラインナップしており、むしろ日産が追従したかたちです。
1967年に登場した3代目クラウンで2ドアクーペが追加され、1971年デビューの4代目は高級車ながらアグレッシブなデザインを採用して物議をかもしたモデルでしたが、「クラウン ハードトップ」こそ、このデザインが映えたモデルといえるでしょう。
外観ではセダンよりも短いショートルーフで、傾斜角度を寝かしたリアウインドウから大きくオーバーハングしたトランクにつながるファストバックに近いシルエットを採用。全体のフォルムは大柄なボディサイズを生かした伸びやかなスタイルです。
またフロントフェイスもセダンの丸目4灯と異なり、角目2灯のモダンなデザインとするなど、さらに個性を際立たせています。
エンジンは全グレードとも2リッター直列6気筒SOHCで、もっともスポーティなモデルの「SL」ではSU型ツインキャブレターが装着され、最高出力125馬力を発揮。
4代目クラウンは数多くの先進装備も搭載した意欲作でしたが、斬新すぎるデザインが保守的なユーザーから受け入れられず販売は低迷し、発売からわずか3年という異例の短さで5代目にフルモデルチェンジしました。
その後、1979年発売の6代目までクーペがラインナップされましたが、7代目以降は廃止され、ラグジュアリークーペは1981年にデビューした初代「ソアラ」が引き継ぎました。
●ボルボ「262C」
ベルトーネによるデザインで無骨なセダンが華麗に変身した「262C」
現在、日本でもSUVとステーションワゴンの販売が好調のボルボですが、現行ラインナップは流麗なフォルムが特徴です。
しかし、1980年代までのボルボ車というと、とにかく安全性を重視した無骨なフォルムというイメージがありました。そんな典型的なボルボのイメージそのものだったのが、1974年に誕生した「200」シリーズです。
そして1977年に、「260セダン」をベースとした同社初のラグジュアリークーペ「262C」が加わりました。
外観は大型のグリルを配置した重厚なフロントフェイスとボディはセダンと共通のイメージですが、キャビンはセダンよりも100mmほど低くつくられており、直線基調のスクエアなフォルムながらエレガントなサイドビューを実現しています。
このデザインはイタリアの名門カロッツェリアであるベルトーネが担当し、生産もベルトーネに委託されました。
搭載されたエンジンは2.6リッターV型6気筒SOHC(後期型は2.8リッター)で、トランスミッション4速MTと3速ATを設定。
主にアメリカ市場をターゲットにつくられた262Cは、キャデラックやメルセデス・ベンツのクーペと競合する高級車として販売され、1981年に生産を終えました。
1986年に実質的な後継車として「780」が登場。262Cと同じくデザインと生産はベルトーネが担当し、美しいスタイルのクーペとして高く評価されました。
※ ※ ※
大型クーペの魅力というと、やはり大柄なボディサイズを生かした伸びやかなフォルムではないでしょうか。
2ドアクーペは使い勝手が良いとはいえませんが、かつてのソアラのように日本でも高い人気を誇っていました。
今ではユーザーが限定されているので、2ドアクーペが再びヒットすることは難しいといえますが、大型クーペの魅力は色褪せていません。
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